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Lee リー カウボーイパンツ カウボーイジャケット

パンツも、ジャケットもウンチク&“見どころ”てんこ盛り!

1942年、第二次世界大戦に参戦していたアメリカでは、軍用品の生産、および戦地への供給を最優先とすべく、戦時製品監督局(Wartime Product Supervision Bureau/略称W.P.B.)が国内で生産される民生品の素材や部材、デザイン、製造法などに対して物資統制を行っていました。このことはジーンズの生産においても例外ではなく、使用する生地や金属などの部材の簡素化などが企業に義務づけられました。

これを受け、Lee(1898年、米・カンザス州サリナにてヘンリー・デヴィッド・リー氏により、雑貨卸売業として創業。衣料の自社生産は1911年~)も、1926年に世界初のジッパーフライジーンズとして発売されて以来、同ブランドの主力となっていた名品「101Z」の生産を休止し、ボタンフライの製品に絞るといった対策に取り組みました。そして、これらは「大戦モデル」などと呼ばれ、この時期だけに見られる特異なディテールを持つがゆえに、のちにLeeのファンたちに一目置かれる存在となったのです。

ところで現在、Leeでは100年以上もの歴史の中で輩出してきた伝説的モデルを忠実に復刻し、オリジナルと遜色のない品質で再現するプロジェクト「Lee アーカイブス(ARCHIVES)」を継続的に展開しています。そしてこのほど(2021年1月)、その成果のひとつとして「WWⅡ大戦モデル」と銘打ったパンツとジャケットをリリースしました。これらはLeeのアーカイブに現存する「大戦モデル」をもとに、それを忠実に復刻したもの。たとえば、ジッパーは使われておらず、ボタンやリベットは真鍮や銅から鉄製の無着色のものに変更。従来はトリプルステッチであった箇所はダブルステッチに簡略化し、デニム生地は第二次大戦期まで採用されていた右綾織りに……といったように、細部まで徹底的に当時の仕様&ディテールが再現されているのです。

戦時の厳しい社会情勢の下、たゆまぬモノ作りに努め、時代を乗り越えようとしたLee。その逞しい姿の一端をうかがい知ることのできる「WWⅡ大戦モデル」は、レアもの狙いのコレクターならずとも注目したいコレクションといえるでしょう。

WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル/WWⅡ 101 COWBOY PANTS 1943 model
2万円

Lee リー WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル

Lee リー WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル

Leeのアーカイブにおいて現存数が圧倒的に少ない「101 大戦モデル」の中から、1943年に生産されたヴィンテージを忠実に復刻したのがこちら。Leeのデニム生地といえば左綾織りですが、本品では当時まで採用されていた右綾を採用。もちろんボタンフライ仕様で、フライボタンも、そのうえに取り付けられている汎用性月桂樹柄のトップボタンも、そしてポケットの口元左右を補強する「UFOリベット」も無着色の鉄製です。また、バックポケットの内布と、それを縫い留めるための縫製が廃されているのは、とりわけ一目で「わかりやすい」特徴といえるでしょう。

まさに見どころ満載な、この「WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル」。以下では、ことに注目したいディテールについて解説します。

Lee リー WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル タックボタン

戦時下、軍用にジッパーが大量に必要となったため、Leeは「COWBOY」の名を冠したジッパータイプ「101Z」を生産休止とし、ボタンフライモデルのみの生産とした。タックボタンは、トップに汎用性月桂樹柄ボタンで、フライボタンは無刻印のものとし、いずれの素材も真鍮や銅から、より供給が安定していた鉄に切り替えて、しかもそれらを無着色で使用した。

Lee リー WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル リベット

ポケットやクロッチ(股部分)を補強するリベットも、従来からの銅製から鉄製に変更。無着色で、そこに「Lee」の刻印が施された、この通称「UFOリベット」が使われているのも、「大戦モデル」の大きな特徴といえる。なお、コインポケットのリベットは省略されている。

Lee リー WWⅡ 101 カウボーイパンツ 1943モデル バックポケット

Leeのワークパンツのバックポケットは内側に補強用の布を当て、その上部を、意匠を兼ねた縫製で留めるというのがならわしとなっている。しかし「大戦モデル」のバックポケットでは、補強布&縫製を省略。Leeのパンツを見慣れた目には、極めて異例の後ろ身頃に映ることだろう。

WWⅡ 101J カウボーイジャケット/WWⅡ 101J COWBOY JACKET
3万円

Lee リー WWⅡ 101J カウボーイジャケット

Lee リー WWⅡ 101J カウボーイジャケット

こちらもLeeのアーカイブにて現存数が少ない、まさに幻の1着である「101 カウボーイジャケット 大戦モデル」をもとに、それを忠実に復刻したものです。生地は上記のパンツと同様の右綾織りで、フロントやポケットフラップに採用されている月桂樹ボタンが無着色の鉄製であるのもパンツと同じです。

ワークウェアであることを誇示するトリプルステッチをダブルステッチにし、ポケットフラップを丸みのあるパターンに変更するなどの仕様は、縫製工程の簡略化に貢献。また、後ろ身頃では腰回りを締めるためのバックルが廃されており、しかし、その腰締めの際に生地に融通を持たせるためのプリーツ、およびその下部の補強用リベットは残されている、というのも本品の大きな特徴です。

Lee リー WWⅡ 101J カウボーイジャケット ボタン

前合わせ、および胸ポケットに使われるボタンには、メッキ加工が省略された月桂樹ボタンを採用。これはミリタリー衣料のボタンを汎用品として使用することを余儀なくされた結果であり、物資統制の一例である。とはいえ、このボタンは2プロングのS字ワイヤー入りゆえ、非常に堅牢なのだ。

Lee リー WWⅡ 101J カウボーイジャケット フラップ

縫製工程の簡略化と縫製の難易度軽減のため、「大戦モデル」では胸ポケットのフラップが丸みを帯びた形状に変更された。しかし、ポケットの口元、ならびにフラップ両端に打ち込まれたリベットは耐久性を保つのに不可欠との主張が戦時製品監督局に認められたのか、統制の対象とならずに済み、そのまま残された。

Lee リー WWⅡ 101J カウボーイジャケット 後ろ身頃

元来、後ろ身頃はバックルバック仕様(すでに機能的には形骸化し、一種の様式として残されていたのだが)で、その調整用のプリーツが設けられていた。が、戦時下では、そのストラップとバックルの省略が余儀なくされた。一方、ストラップを固定するリベット、およびプリーツは残され、結果、「大戦モデル」特異のデザインとなったのだ。

掲載商品取り扱い店:

問い合わせ先/リー・ジャパン ☎ 0120-026-101
https://lee-japan.jp/
 
※表示価格は税抜き


文/山田純貴

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