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文房具グルメ

セーラー万年筆 SHIKIORI 四季織

気軽に外食に行くこともままならない昨今だが、やはり家庭では簡単に再現できないお店ならではの味や楽しみもある。その最たるもののひとつが、料理人が腕によりをかけ、趣向を凝らしたコース料理だろう。そんなコース料理の中で、和洋中を問わず私が最も愛してやまないのが「前菜の盛り合わせ」である。

前菜とはいわずもがな、コースの最初に供される料理のこと。後からやってくるメインディッシュの前に、食欲を目覚めさせる役割を担っている。そのため、ボリュームは少々控え目。フレッシュな刺激のある味わいで、見た目にもワクワクするような盛り付けのものが多い。前菜が美味しければ、それだけでもう「今日は期待できそうだぞ」と心の中で腕まくりである。ましてや盛り合わせとくれば……その魅力はメインディッシュにも勝るとも劣らない。

そんな「前菜の盛り合わせ」的な文具として今回紹介したいのが、セーラー万年筆の「四季織」カートリッジインクである。

「四季織」はもともと、“日本の自然が織りなす四季を感じる” をテーマにしたセーラー万年筆の筆記具ブランドで、万年筆やボールペン、インクなどを展開している。なかでも日本の四季をイメージした全20色のボトルインクは、その絶妙な色合いと和を感じさせる上品なネーミングもあって、万年筆愛好家の人気を集めている。

しかし、万年筆を使い始めたばかりというライトユーザーにとって、ボトルインクは少々ハードルが高い。キレイな色が揃っているから、あれもこれもと欲しくはなるのだけれど、やみくもに買い集めてしまうと、使い切れずに持て余すのではないか?と不安になって出しかけた手を引っ込めることもある。ボトルインクを万年筆で使うためには、コンバーターなどの専用の器具も準備しないといけないし、インク瓶を安全に並べておける保管場所も必要だ。価格もひと瓶1000円と、高価すぎるというほどではないものの、色数を揃えるにはそれなりに覚悟がいる金額だ。

などと思っていたところ、今年の6月に登場したのが「四季織」のカートリッジインクである。全20色の「四季織」インクをそのまま、万年筆に挿すだけで使えるカートリッジに仕立てたもので、価格は3本入りで350円となっている。従来のボトルインクでは、よほどの健啖家でなければ全色制覇は難しかったが、これなら誰でも気軽に好きな色を味見・・できる。ライトな万年筆ユーザーにとっては「こういうの、待ってました!」といいたくなるような製品だ。

セーラー万年筆 SHIKIORI 四季織

「四季織」カートリッジインクは、パッケージもよい。カートリッジ3本が入るプラケースが付いてくるおかげで、持ち運びも保管も気軽だ。外箱は豆本のようなデザインになっており、机の上に出しっぱなしにしてもかわいらしい。ボトルインクはどうしても使い切ることを考えて無難な色を選びがちだが、「四季織」カートリッジインクなら普段選ばないような鮮やかな色にも挑戦したくなる。何色か集めて並べたところは、まさに前菜の盛り合わせ!といった華やかさである。

せっかく万年筆を使っているのに、結局いつも黒やブルーブラックのインクを選んでしまう人や、ボトルインクを使ってみたいけどちょっと敷居が高いと感じている人もいるだろう。そんな人にとって「四季織」カートリッジインクは、メインディッシュにたどり着く前の、ちょうどいい前菜になるはずだ。

めくるめく万年筆とインクのマリアージュというフルコースを最後まで味わうかどうか、まず前菜をいただいてから決めても遅くはない。

350円(3本入り)
https://sailor.co.jp/product/13-0350/
※表示価格は税抜き

ヨシムラマリ

ヨシムラマリ

神奈川県出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手掛けている。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。

文房具グルメとは? 価格やブランド名だけでは価値が計り知れない、味わい深い文房具の数々。フランス料理店でシャンパングラスを傾ける記念日もあれば、無性にカップ麺が食べたくなる日もありますよね? そんな日常と重ねあわせて、文房具に造詣の深い気鋭のイラストレーターが気になるアイテムとの至福のひとときをご紹介!

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