特集・連載
1944年~ 戦後豊かになった米国でミッドセンチュリーブーム到来
戦後豊かになった米国でミッドセンチュリーブーム到来
傑作インテリアの“実は”な実話年表 ミッドセンチュリー、バウハウス、イームズ、ヴィトラ……etc. インテリアの歴史に残る名作家具にはちゃ~んとそのワケがあるんです! そこで今回は傑作家具の歴史を振り返りつつ、見た目ではわからない“実は〇〇”な知られざる裏話を紹介します。 この記事は特集・連載「傑作インテリアの“実は”な実話年表」#02です。
世界に影響を与えたバウハウス。しかし、ヒトラーの弾圧により有能なデザイナーは次々にアメリカへ亡命。こうして戦後、デザインの本場はアメリカへと移ります。
戦争で培った軍事技術や素材を用いた家具が台頭。戦後、生活が豊かになった米国市民が人気の火つけ役となった。写真はこの時代を率いたハーマンミラー社のデザイナー。
1944年
実は……世界の巨匠が救世主!?
emeco[エメコ]
NAVYチェア
潜水艦用に軽くて頑丈なアルミ製の椅子を開発した同社。戦後は経営が苦しく倒産寸前に。そのとき、かのアルマーニ氏から発注を受けます。すると、このまま潰せないと社長自ら奮起。倒産の危機を脱したそう。W39×H86×D50cm。9万8000円。(ロイヤルファニチャーコレクション)
とにかく丈夫なアルミ製で当時は150年の保証付き(驚)
デザイナー不明
1945年
実は……負傷兵の骨を支えた技術を応用
Herman Miller[ハーマンミラー]
イームズ プライウッド ラウンジチェア
イームズ夫妻は、第二次大戦中に負傷兵を支える添え木の生産を請け負います。その数約20万本! そのときのノウハウが、人体にフィットする3次元の成形合板の椅子の開発とその大量生産を可能にしたってワケです。W55.9×H67.4×D61.6cm。15万円~。(ハーマンミラージャパン)
軍から開発を依頼された添え木
チャールズ&レイ・イームズ(アメリカ)
1945年
実は……常識を覆した楕円形
vitra.[ヴィトラ]
コーヒー テーブル
NY近代美術館の館長邸のために作ったテーブルが原型。その独特の楕円形は、生産効率から丸型や四角形のものが常識だった当時のデザイナーたちを驚かせ、後のデザインに影響を与えたとか。人の距離が近くなり会話しやすいのも◎。W128×H40×D93cm。22万4000円。(ヴィトラ)
イサム・ノグチ(アメリカ)
1948年8月15日
2代目忠犬ハチ公除幕式開催
1950年
実は……世界初のプラスチック製
Herman Miller[ハーマンミラー]
イームズ プラスチック シェルサイドチェア
世界初のプラスチック素材を採用した背座一体の椅子。丈夫で金属より軽く、おまけにローコストとあって、公共機関から個人まで幅広く愛用されました。ファブリックで覆わず素材をむき出しにした、当時では斬新な見た目も人気の理由です。W45.7×H80×D54.6cm。4万3000円~。(ハーマンミラージャパン)
チャールズ&レイ・イームズ(アメリカ)
1951年
実は……“町興し”のために生まれた!?
OZEKI[オゼキ]
AKARI
鵜飼を見物しに岐阜県を訪れたイサム・ノグチは、そこで岐阜提灯に魅了されます。そんな縁で提灯復興のために製作したAKARIは、いわば“町興し傑作”。和紙から透ける光が空間を優しく照らしてくれる。Φ55×H52cm。1万9000円。(ヤマギワ) ※コードは別売り
イサム・ノグチ(アメリカ)
1952年
実は……ラフ・シモンズも愛用
PHANTOM HANDS[ファントムハンズ]
PH28
伝統的な手工芸の技術と、チークなど地産素材を用いたインドの家具。近年、ヴィンテージ市場で注目を集めており、愛用者にはかのラフ・シモンズ氏も名を連ねる。2015年よりインドの工房、ファントムハンズが再生産を開始。W52×H78×D58.5cm。32万円。(五割一分)
ピエール・ジャンヌレ(スイス)
1953年5月29日
人類初のエベレスト登頂
1956年
実は……小指1本で持てるほど軽い
Cassina[カッシーナ]
スーパーレジェーラ
イタリア語で“超軽量”を意味するスーパーレジェーラ。重量わずか1.7kgで、子どもは軽々と、女性は小指1本で持てるほど軽い。貫の部分だけ太い断面が三角状の脚を採用し、頑丈かつ軽量に仕上げられている。W40.5×H83×D45cm。16万6000円~。(カッシーナ・イクスシー青山本店)
子どもでも持ち運びラクラク
ジオ・ポンティ(イタリア)
1958年
実は……最高級ホテルの顔として作られた
Fritz Hansen[フリッツ・ハンセン]
エッグチェア
コペンハーゲンにある世界有数のデザインホテル、SASロイヤルホテル。この設計を手掛けたヤコブセンが、ロビー用に作ったのがこの椅子です。独特の流線形が、適度なパーソナル空間と極上の座り心地を実現。W86×H107×D79cm。78万2000円~。(フリッツ・ハンセン 青山本店)
アルネ・ヤコブセン(デンマーク)
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。