特集・連載
“モノ好き中枢”を刺激する歴史からOPEN the DOOR “テント”編
安くはないのにナゼ? 「ogawa」のテントが支持される理由とモノ作りの歴史
アウトドアはじめる!! パーフェクトBOOK 「今年こそアウトドアを!」というアナタへ。初心者、ギア音痴、センスゼロでも大丈夫♪ これならできる! 買っていいじゃん!なリアルなフィーリングを交えながら、アウトドアテク&モノ選びをどこよりもやさしくレクチャーします。きっと家族から、彼女から、友達から見直されること間違いなし! それに正しいギア選びをすれば、IN⇔OUTで使えて普段の生活までアップグレードしてくれますし、損はありません♡ さぁ、いざフィールドへ! この記事は特集・連載「アウトドアはじめる!! パーフェクトBOOK」#14です。
決して安くはないのに多くの愛用者が存在し、コアなキャンパーも別格として信頼を置く“ogawa”のテント。この独自の地位はどのように築かれたのか。現社長に、そのモノ作りの歴史を語っていただきました。(キャンパルジャパン 代表取締役CEO 伊川良雄さん・談)
戦争から娯楽まで「歴史の幕開け」に張り込み続けた
現在は「キャンパルジャパン」という社名ですが、ベテランのキャンパーには旧社名の「小川テント」のほうが馴染みがあるかもしれませんね。1914年の開業時の屋号は「小川治兵衛商店」で、当初は主に軍用テントやザックなどを手掛けていました。
民生用のアイテムに力を注ぐようになったのは戦争が終わってから。もちろん戦後の日本にはアウトドアレジャーを楽しむ余裕はなく、’50年代は海外向けにキャンプテントの輸出等も行っていました。
’60年代に発売した「オーナーロッジ」が、国内向けに作った第1号です。これは欧州のロッジ型テントを研究して開発したもの。手前味噌ですが、日本の気候や風土に合わせた仕様で、画期的な製品だったと思います。フレーム構造の創意工夫により強靭で、当時主流だった三角テントより居住性も格段に上。だいぶポップな色みですが(笑)、それもキャンプという新しいレジャーの浸透に寄与したと思います。
その後もいろんなテントをリリースしていくなか、’80年代に入ると遂に日本に本格的なキャンプブームが到来します。その頃の小川テントは自社製品以外にさまざまなブランドのOEMも手掛けていました。そういう意味で日本のキャンプシーンを縁の下で支えた存在だったと言えるかもしれません。
ちなみに小川テントはキャンプ製品と並行し、大阪万博のパビリオンのテントなど“大型膜構造物”分野でも業績を残しています。あの東京ドームの天井の内張りも小川テントが手掛けたもの。キャンプ以外にも当時の娯楽全般に関わってきたことは私たちの誇りです。
’90年代に入ると軽量で安価なテントが多く出回り、本格的な私どものテントは苦戦しました。正直、他社の価格戦略についていけなかったのです(苦笑)。でもコアなキャンパーには日本を代表する高級テントとして根強く支持され、有難いことに今「ogawa」ブランドで展開する製品にもその評価が継続しているように感じます。
じつは最近、道具にこだわるキャンパーの間でヴィンテージテントがちょっとしたブームで、私どもの古い製品も人気が高いようです。実際、初期のオーナーロッジなどをキャンプ場で見かけると、非常に味があってカッコいい!
頑丈なものを作っていたからこそ、こうして今も現役で使われるのでしょうね。これからも将来のヴィンテージとなりうる骨太な製品を作っていきたいと考えています。
家族5人をすっぽり守るタフ&快適スペック
ogawa/オガワ
アポロン
タフなフレーム構成に、大型メッシュパネルを備えたフライを採用することで快適な空間を実現。その大きさゆえ素人が一人で設営するにはややハイレベルながら、居心地は別格だ! 末永く使い続けたい本格派テント♪ 5人用。14万5000円(キャンパルジャパン)
大型だから設営は素人一人じゃ無理(泣)
【設営解説】
❶テントを広げ、スリーブに4本のポールを通して立てる。
❷残りの3本のポールを天井に通す。
❸ルーフフライを被せて完成! 大人数名で26分20秒で完了。
キャンパルジャパン 代表取締役CEO
伊川良雄さん
東京都出身。1992年に小川テントに入社。同社から分社独立した小川キャンパルを経て、2016年12月よりキャンパルジャパンのCEOに就任した。趣味もキャンプ。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年6月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。