アランニット編み(あらんにっとあみ) – 世界の職人ワザ 大事典

太い糸&手編みによる唯一無二の立体的な柄

アイルランドの西側に位置し、石灰岩でできた3つの島からなるアラン諸島。100年以上前からその地の漁師や、その妻たちが手で編み上げていたフィッシャーマンズセーターの製法を受け継ぐのがアランニット編み。太い糸を立体的に編み込むケーブル模様が有名だが、これは漁に使うロープを表しており、大漁を祈願していた。また、各家庭により模様は異なっていたが、それは漁師たちが遭難したときに身元を確認するためだったともいわれる。前と後ろの身頃を分けて編むのも特徴で、現在も熟練のニッターによりひとつひとつ手編みで仕上げられている。

ハンドニットの最高峰、アランニットの代表格が「インバーアラン」。1975年に創業、約3000人の在宅ニッターを抱えており、熟練した職人技を絶やすことなくアラン諸島の伝統を継承し続けているのだ。

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伝統の手編みで仕立てているため、まったく同じものがないインバーアランのニット。アウターとして着るざっくりしたローゲージニットの流行に伴い、人気再燃中だ。写真は秋から春まで長く着用できる定番のベスト。

※本記事に掲載されている商品の仕様などの情報は、原則として2012年Begin9月号の特集に掲載された当時の情報となります。現在の仕様や情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。