特集・連載
ニッポンの今どき焼き物図鑑[6.北関東]
ぽってりしてて可愛い♡益子焼が生まれた本当のワケ
ニッポンの今どき焼き物図鑑 お洒落な洋食器で朝食、できたらな~♪って、ちょっとお待ちください。ここ数年、いつも買い物に行くセレクトショップが扱いを増やし、え、米海軍のプレート!? これ外国のダイナーの器じゃ!? なんて見紛うような“欲しい!”と唸る、ニッポンの焼き物が続出中。今回そんな今どき焼き物を、その産地の特徴も一緒に学べる図鑑にしてみました。「焼き物」=「古くさい?」なんてイメージは、だ~いぶ遅れちゃってますので、気をつけてくださいね! この記事は特集・連載「ニッポンの今どき焼き物図鑑」#06です。
食卓やお部屋を華やかにしたい! と思ってすぐに浮かぶのは、海外のホテルやダイナーでもおなじみのおしゃれな器じゃない? でもちょっと待って。実はいま「これ、日本のなの!?」と思わず二度見してしまう、おしゃれな焼き物が続々と登場してるんです。今回は、一度は耳にしたことがある栃木県の代表的な焼き物、益子焼をご紹介。服好きなアナタこそ焼き物の魅力にハマッてしまうかもね?
難しい土を逆手にとった“ぽってり感”に愛の声
今どき焼き物の代表格として、もはや押しも押されもせぬ存在となった益子焼。「ぽってりしてて可愛い」なんて声もよく聞きますが、これ実は、正直いって良質とは言いがたい益子の土のせい。造形しにくく割れやすかったため、分厚くする“必要があった”というのがホントのところ。
一方で益子の父、濱田庄司氏は、そんな益子の土と釉薬を使った新たな表現を模索。結果、なんともいえない無骨でモダンな器が生まれたわけ。
最近ではその特徴を活かして、海外ダイナー風など、斬新なアイテムも登場。まさに、民藝運動に端を発する「用の美」ならぬ「要の美」と言えるでしょう。
粗くて割れやすい「新福寺粘土」
益子焼に使われるのは、栃木県内で採れる新福寺粘土などがベース。鉄分と砂気の多い粗い土で造形が難しく、気泡が多いので割れやすい。そのため厚手に作らざるを得ないのだ。
今どき焼き物のメッカ「濱田窯」は知っておくべき!
濱田庄司が開窯、現在は次男・晋作氏、孫・友緒氏が運営。下の作品にも使われている益子を代表する「柿釉」など、庄司の伝統の技法を受け継ぎ、一大産地を牽引し続けている。
近現代日本を代表する陶芸家。人間国宝。京都→英国を経て、益子に移住。1977年には蒐集した民芸品を展示する益子参考館を開館。
陶芸界の“ハマショー”の意匠を継ぐ
なくなっていた柄・形を復刻!
フェニカ別注 濱田窯ヴィンテージ復刻
2色の釉薬を使った、絵付けに頼らないシンプルなデザインがいい。上から時計回りに、8寸皿φ24.6cm。4500円。六角皿φ13.9×H3cm。2000円。ボウル小φ15×H7cm。3000円。ボウル大φ18×H7.5cm。3500円(以上、インターナショナルギャラリー ビームス)
アクメ ファニチャーのクロックスシリーズ
’60年代のアメリカンダイナーで使われていた食器をもとにデザイン。ボリューム感◎。スープボウルφ約12×H6cm。2700円。マグカップφ約8.8×H8.4cm。2500円。ソーサーφ15cm。1200円。プレートSφ7.5cm。1500円。同Lφ24.5cm。3500円(以上、アクメ ファニチャー 渋谷店)
益子の“ぽってり感”を活かし海外ダイナー風に♪
益子焼[ましこやき](栃木県益子町)
江戸末期に誕生、粗い土を使った厚手で頑丈な器が特徴。1924年、民藝運動の指導者の一人、濱田庄司が窯を開き関東有数の産地に。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。