特集・連載
ニッポンの今どき焼き物図鑑[1.沖縄]
今どき焼き物を狙うなら……個性爆発の「やちむん」だ!
ニッポンの今どき焼き物図鑑 お洒落な洋食器で朝食、できたらな~♪って、ちょっとお待ちください。ここ数年、いつも買い物に行くセレクトショップが扱いを増やし、え、米海軍のプレート!? これ外国のダイナーの器じゃ!? なんて見紛うような“欲しい!”と唸る、ニッポンの焼き物が続出中。今回そんな今どき焼き物を、その産地の特徴も一緒に学べる図鑑にしてみました。「焼き物」=「古くさい?」なんてイメージは、だ~いぶ遅れちゃってますので、気をつけてくださいね! この記事は特集・連載「ニッポンの今どき焼き物図鑑」#01です。
ここ数年セレクトショップでの取り扱いも増えてきている、お洒落なニッポンの焼き物たち。焼き物が古くさいなんてイメージは、もう時代遅れなんです……! 今回は沖縄エリアで見つけた“今どき焼き物”たちをご紹介。服好きなアナタも焼き物の魅力にハマってしまうこと間違いなし♡
色落ちデニムカラーでストライプ!?
味がいい感じに出ている色落ちデニムみたいなブルー。それもそのはず、この青、沖縄伝統の焼き物である「やちむん」に並ぶ伝統工芸「琉球藍」の甕の底に残った泥藍を釉薬に使っているからこそ出る、リアル・インディゴの色なんです。
そのかすれ具合も含めてこだわり半端ないってって話ですが、作陶されているのがラルフ ローレンをはじめとするアパレル業界で活躍後、知る人ぞ知る沖縄の洒脱なホテル&ショップ「ORRS」を開いたオーナーと聞けば納得。
焼き物も服と同じ感覚で選べばいい!と教えてくれる、ファッション好きのための今どきの焼き物No.1 。まさにこれこそお手本でしょう♪
ORRS
オールズの琉球藍ストライププレート
ストライプのかすれに加え、表面の貫入(土と釉薬の収縮率の違いから出るヒビ)が味に。プレートMφ約23cm。4200円。プレートLφ約30cm。7200円(以上、アクメ ファニチャー 渋谷店)
新作は……ネ、ネイティブ~!?
ベースは、ネイティブアメリカンの居住地でもあるアメリカ中西部のレッドロックを思わせる、独自にブレンドした赤土。黒の釉薬をかけて素地の赤土を見せることで柄を表現している。
プレートは表裏で柄アリ/ナシのリバーシブルになっているなど、まさにファッション発想。完売中なので、2019年初頭の再リリースを待つべし!
プレートは表裏で柄アリ/ナシのリバーシブル仕様
沖縄の名店 ORRS/オールズ(沖縄県中頭郡)
沖縄のサーフ文化発祥地
服から器まで、オーナー佐藤陽介氏の“欲しいもの”を実現したショップ&ホテル。カントリーな温かさと海辺の爽やかさをMIXした店内と客室の雰囲気は、抜群に洒脱。住所:沖縄県中頭郡北谷町宮城1-142 ☎098-988-5180
お洒落な人は、ダイナミックな柄「ザ・やちむん」も活用!!
薩摩に招かれていた朝鮮人陶工から製陶方法が伝わった1616年がやちむんの歴史の始まり。1682年、島内に点在していた窯場を牧志市の壺屋に集中して一大やちむんエリアを形成。“壺屋焼”と呼ばれるように。
大正時代にこれを見て感激し、本土に紹介したのが民藝運動の父、柳 宗悦だ。1980年には人気作家の大嶺實清氏をはじめとする陶芸4人が読谷村に共同で登り窯を築いたことから“読谷山焼”が発展。自然をモチーフにした伸びやかな紋様と鮮やかな色合いがインテリア小物としての効きがよく、ただ置いてあるだけでもお洒落!
でもって、下はビームススタッフの「やちむんSNAP」(笑)。百聞は一見にしかず……でしょう?





写真左/やちむん伝統カラーが際立つジグザグ柄 写真右/釉薬の流れ具合が1枚1枚違う自由さ
左/松田米司氏の7寸皿
右/松田共司氏の7寸皿
1990年読谷村に「北窯」を築いた双子の松田兄弟は、読谷山焼で抜群の知名度を誇る2トップ。左/米司さんのジグザグ柄皿φ約21cm。4500円。右/共司さんの縁飴掛け流し皿φ約21cm。4600円(以上、インターナショナルギャラリー ビームス)
その大胆な柄は目に飛び込んでくる
山田真萬氏のマグカップ&4寸マカイ
日本のみならず、世界各国での評価が高い山田氏の作品。勢いのある大胆な筆致の赤絵は、伝統の色合いを踏襲しながらもどこかモダンな佇まい。大嶺氏と共同で開いた読谷村窯で作陶。マグ7800円。マカイ(碗)φ約12×H5.5cm。7800円(以上、インターナショナルギャラリー ビームス)
読谷山焼[よみたんざんやき](沖縄県読谷村)
80歳を超えてなお現役で活躍する人気作家、大嶺實清氏が1980年に共同で構えた窯を中心に、19の窯や工房が点在。いわゆる「やちむんの里」と呼ばれる焼き物エリアに。
【読谷山窯】沖縄特有の赤瓦が青空に映える登り窯。
大嶺實清、金城明光、玉元輝政、山田真萬の4氏が共同で1980年に開窯。共同売店も隣接。「やちむんの里」には松田兄弟の「北窯」を含め4つの登り窯があり、工房やギャラリーが点在。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。