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連載[令和に響く昭和のハナシ]

今の時代にむしろイイ? 昭和レトロな“買い物カゴ”の魅力に胸キュン♪

カゴ

エモさ満点のジャポニズム傑作を知る[令和に響く昭和のハナシ]
昭和を愛し、昭和暮らしを謳歌する平山 雄による、後世に語り継ぎたい名作語り。今回のテーマは、昭和に姿を消した“あのカゴ”。

Profile
平山 雄さん

昭和ヲタク

平山 雄さん

古物商として働きながら、SNSやブログを通じて昭和をレポート。著書に『昭和ぐらしで令和を生きる』(303BOOKS)など。

母との思い出も呼び起こす、かつての“お買い物の必需品”

唐突ですが、ビニールワイヤーをご存知ですか? ビニールワイヤーとは、帯状のビニールの中に細い針金が入ったもので、高度経済成長期にさまざまな家庭用品に用いられた素材の一つです(現代ではビニールに覆われたワイヤーロープのことを指すので、ここで言うそれとは、モノや用途がまったく異なります)。

僕が子供だった昭和40年代の日常の光景を思い出すと、くず入れをはじめ、脱衣カゴやマガジンラックなど、ビニールワイヤーを編み込んで作られた日用品が、いつも身近にありました。

そんな中でも特に印象に残っているのが、今回ご紹介する買い物カゴ。当時はレジ袋のような便利なものは世の中にまだなかったので、主婦が買い物をする時は、誰もがビニールワイヤー製の買い物カゴを活用していました。

スパイラル構造耐久性とデザイン性を兼備する編み込みスパイラル構造

僕のおふくろや当時の主婦たちの買い物姿を思い出してみると、頭にスカーフを巻き、エプロンを身につけたまま買い物カゴを肘に掛け、サンダルを履いて出かけるというのが一つの定番スタイルでした。

そんな主婦たちにとって、買い物の必需品だったビニールワイヤー製の買い物カゴも、昭和50年代に入った辺りから徐々に見かけることが少なくなっていったような気がします。その理由としては、ファッションを含めたスタイルの流行による影響や、使い勝手などいろいろ考えられますが、大きな理由の一つとして、スーパーマーケットの普及による影響があったような気がします。

もちろん、地域にもよるので一概には言えませんが、僕が住んでいた新宿においては、その頃から「いなげや」や「大丸ピーコック」などのさまざまなスーパーマーケットがオープンしはじめ、買い物の仕方が大きく変わっていきました。

それまでは、八百屋や豆腐屋などの個人商店をハシゴするような“こまめ”な買い物だったので、買い物の量もカゴ一つで間に合いました。しかしながらスーパーマーケットではいろいろな食材が売っているため、まとめ買いがしやすくなり、次第にナイロン製の大きな手提げ袋などを使う主婦が多くなっていったような気がします。

なぜそんなことを覚えているかというと、僕は子供の頃いつもおふくろの買い物に付いていくタイプだったんです。なぜなら、「グリコ」や「ケロッグ コーンフレーク」などのオマケ付きのお菓子を買ってもらえるからなんですけど(笑)。そんな買い物の思い出もあって、ビニールワイヤー製の買い物カゴを見ると、懐かしくて胸がキュンとしちゃいます。

今の時代にむしろイイ?
 
古くは1973年のオイルショック。最近では2020年のレジ袋有料化。さまざまな変化を経て、マイバッグ派が多数を占めるようになった現代。しばらくはお役御免だったけれど、むしろ現代にフィットしている!?

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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