レイザーラモンRGさんに「バードウォッチング」の醍醐味と“あるある”を聞いてみた
趣味も全力芸人に聞く! アウトドア編
バードウォッチングを“そのヘン”で楽しむ
“気づく”だけで野鳥がこんなに!?
野鳥観察というと大自然に浸りながら──というイメージがありますが、じつはそのヘンでも楽しめるんです。そんなお気楽な楽しみ方を推奨するレイザーラモンRGさんに、野鳥観察の醍醐味と“あるある”を聞きました!
「姿も鳴き声も、季節の移ろいもすべてを楽しめるサイコーの娯楽です!」
レイザーラモンRGさん
1974年、熊本県生まれ。1997年、HGさんとお笑いコンビ『レイザーラモン』を結成する。万物のあるあるを名曲に乗せて歌う芸でブレイク。野鳥やスニーカー、バイク等を愛する趣味人としての顔ももつ。著書に『人生はあるあるである』(小学館よしもと新書)がある。
日本野鳥の会 バードウォッチング長靴
ぬかるみを歩くのに便利な日本野鳥の会のヒット商品。「何がイイってめっちゃ小さくなるところ。フェスに行く人たちの間でも人気です。たまの大雪の日にもあると助かります」とRGさん。別色が6930円(日本野鳥の会)
2月24日まで、東京・上野公園の国立科学博物館では、鳥類をテーマにした特別展「鳥 〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統〜」を開催(休日:月曜日[2月17日は開館])。600点以上の剥製・骨格標本が並ぶさまは圧巻だ。RGさんの音声ガイドとともに堪能あれ。
スズメとカラス、ハトで始める野鳥観察のススメ
──RGさんはいつ頃から野鳥に興味を持たれたんですか?
RG:20005年ぐらいだったと思います。『アメトーク』で○○芸人が始まって、何か趣味はないんか? というのが求められていたんですね。そんなとき、あの『日本野鳥の会』に入れば紅白歌合戦にも裏から出られるんじゃないか? と“ボケ”で思いまして。で、いざ入会してみると会報誌が届いて、これが面白い。野鳥の仕事も入ったりしたので、ちょっとずつ勉強していくうちに……という感じですね。最初はボケからでした。
──そんな始まりで(笑)。でもいまではすっかり鳥好きじゃないですか。何に惹かれたんですか?
RG:まず美しい色とか、見た目。デザインっていう言い方が合っているかわかりませんが、そこに惹かれましたね。クルマとかバイクとかスニーカーとか、僕が好きなものに近いものがあって。渡り鳥の種類で季節が読めるのも楽しいです。あとは、声。声を聴くのは音楽を楽しむのと一緒ですし、声を聴いて鳥に近づいていく過程は釣りに似ていたりして。総合的な趣味として野鳥観察っていいな、という結論にたどり着きました。
野鳥を見つけたらとにかく動画に収める!!
「動画で撮りましょう。姿が見えなければ音を撮るだけでもいいです」とRGさん。「もし『ヒーッ』という声で、それが12月だったら、12月、野鳥、ヒーッ、で検索してみる。すると、ジョウビタキだ! とわかったりします。動画で撮れば、後からも楽しめるんですよ」
──なるほど! バードウォッチングを楽しむにあたり、初心者はどこから始めればよいでしょう?
RG:僕はいつも「ハードルを下げてください」ということをお伝えしています。最初からカワセミを観てやろうとかイヌワシを観てやろうみたいな気持ちだと、なかなか出会えないんで続かないです。だから、まずはスズメとカラス、ハトでテンション上げましょうと。
──そのヘンにいる鳥ですね。
RG:なので双眼鏡すらいらない。たとえばスズメも、注意深く観てみると意外な行動があったりして。砂浴びっていうんですが、地面に体を擦り付けてばい菌とかを落とすんです。だから、公園なんかでスズメが地面に下りていたら観察してみると楽しいですよ。それから、カラスにもハシブトガラスとハシボソガラスという種類がいて。クチバシの太さでわかるんですが、渋谷のセンター街とかでゴミを漁ってるのは大概、ハシブトのほう。それが郊外に行くにつれて、ハシボソが増えていく。たまに「えーもうここハシボソなんだ!」と思うようなこともあって、見分けるのが楽しいですね。聞いた話だと、元々はハシブトのほうが山奥に暮らしていた種だったのですが、高度経済成長でビルがいっぱい建ち、生ゴミがバンバン出るようになって、アブラが好物だったことから都心に出るようになった。それで暮らす場所が逆転したらしいです。
どこにでもいるスズメのレアな砂浴び
スズメ
カラスの違いがわかれば野鳥クロウト!?
ハシブトガラス(左)/ハシボソガラス(右)
──カラスにもそんな深い話が!
RG:あと最近、街にムクドリがめちゃ増えてるじゃないですか。その後を追って猛禽類のオオタカやハヤブサが新宿に住み出したなんて話もあって。鳥って適応力がハンパじゃないんです。そう考えると、地球上で一番スゴい生物なんじゃないか!? と畏敬の念に駆られるんですよね。我が身1つ、着の身着のまま? でどこにも行けて、どこでも暮らせるんですから。あ、ちなみに猛禽類が餌にするハトの話ですが、よく公園に群れでいるハトは、伝書鳩として持ち込まれたのが増えちゃった外来種のドバト。それとは別に、元々日本にはキジバトというハトがいて、それを見つけるのも楽しいですね。朝方に「ホー、ホホッホホー♪」と鳴いてるのがキジバト。鱗模様があって、よくつがいでいます。
鳴き声でわかる地味~なハトの違い
キジバト(左)/ドバト(右)
──ああ! 朝よく聞きますね。
RG:あと、水鳥の観察は初心者にもおすすめです。かなり近づいても逃げないので。先日、不忍池に行ったのですが、そこはオナガガモがたくさんいて。一方、秋田のある池ではカルガモばかりいた。池によって“仕切ってる鳥”が違うのも楽しいですね。あと水辺の鳥だと、アオサギもデカいので観るとテンション上がると思います。
──ほか、RGさん的野鳥観察のおすすめスポットはありますか?
RG:冬は柿が熟れますから、柿の木周りを注目してみてください。ヒヨドリとかシジュウカラとか、野生化したワカケホンセイインコとかよく来ますよ。ちなみにヒヨドリって世界的には激レアらしくて、バードウォッチャーが“外国からヒヨドリ観にきがち♪”です。
──エーッ! そんな激レア鳥がそのヘンにいるとは驚きです。
RG:だからバードウォッチングって、ハードルを下げればタダで楽しめる。鳥が好きなだけで旅行先でもどんな鳥がいるんだろう? って楽しさが乗りますし、ホント、サイコーの娯楽だと思いますね!
【紅白歌合戦】終盤“日本野鳥の会の皆さん”が双眼鏡を覗きながら客席をカウントする印象は強いが、担当したのは6回のみ。
【ムクドリ】騒音や糞害が大問題に。追い払うのにはタカが有効で、RGさん曰く最近は街で「鷹匠、タカ放ちがち♪」だそう。
【ワカケホンセイインコ】黄緑色の外来種で、電線などに群れでいることも多い。キュイーッ! と怪鳥っぽい声がしたら、十中八九コイツ。
はやく誰かに言いたい~♪
野鳥あるある3選
「鳥あるある、いくつかあるんですけど筆頭がこれ」とRGさんが披露してくれたのがこちら。「メジロの色っていわゆる鶯色なんで間違えがちなんです。それにウグイスって、声はよく聞くけど姿はほとんど見せない。見せてもグレーっぽい色の地味な鳥なんですよ」
つがいで寄り添って泳ぐその姿から仲睦まじい夫婦の例えをオシドリ夫婦というけれど、「じつはオシドリのオス、1年ごとにメスをとっかえひっかえしがち」とRGさん。「鶯餡もそうですが、鳥が語源の表現ってたくさんある。言葉を深掘りするのも楽しいですね」
獲物を小枝に突き刺す「モズのはやにえ」で有名なモズだが、「モズあるあるも1個だけあります」と披露してくれたのがこちら。「屋外の鳥かごで飼っている鳥は、よくモズに狩られちゃうみたいです。扉を開けたり隙間から突いたり。モズ、アタマいいんですね」
神戸どうぶつ王国
ハシビロコウがいることで有名な『神戸どうぶつ王国』の醍醐味は、柵がないところ。触れるのはNGだが、珍しい鳥がそのヘンを歩いてたりして、めちゃ近くで鳥観られがち♪
住所:兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-9
営業時間:10:00〜17:00
定休日:木曜日
電話:078-302-8899
※表示価格は税込み
[ビギン2025年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。