乗って優しい見て渋イイ。「クロモリ」ロードバイクでロングライドしよう
【スローソロ活を始めてみる】 歳を重ねて仕事もある程度コントロールでき、まとまった時間が取れるようになってきた。ならばその時間、ゆったり没頭できる趣味に充ててみない? この先も長く楽しめる、極上のスローなソロ活のヒントをご提案します。
末永~く、ゆったり走ろう クロモリ(クロムモリブデン鋼)で“ロング”ライド
“ちょっとそこまで”の足が、車一択というアナタ。たまに自転車に替えてみてはいかがでしょう? ランニングほど億劫じゃないし、風を切る爽快感と、景色を愛でる充実感は格別。 とくに、ゆったり長〜く走るのに適したクロモリのロードバイクなら、見た目もクラシカルでいつもの服装にも馴染むし、トレンドにも左右されず、丈夫で長持ちするから、生涯をともに過ごせる相棒に。車では得難い高揚感をどうか末永く……。
教えてくれたのは
ムロフィス シニアマネージャー 嶋田哲也さん
1982年生まれ。大の運動好きで、休日になるとトレランを筆頭に、さまざまなアクティビティに繰り出す趣味人。毎日自宅からオフィスまで、約20㎞の道のりをロードバイク通勤する猛者で、現在は6台の自転車を所有している。
乗って優しい見て渋イイモノ好き最良の“足”
「17年前に先輩からMTBを譲ってもらってから自転車にハマってしまって、これまでピストバイクやカーボンロード、BMXと、素材もジャンルもバラバラの自転車を10台近く乗り継いできました」。 そんなバラエティに富んだ自転車を愛でてきた嶋田さんも、現在メイン使いしているクロモリのロードバイクこそ、ひとり時間の友に相応しいと推します。 「やっぱり自転車好きにとっては王道中の王道。僕は4年前に都心から少し距離のある地域に引っ越すことにしたんですが、遠くに移動する足として入手しました」 そもそも“クロモリ”というのは、“クロムモリブデン鋼”の略称で、100年以上前から自転車に使われていたという、歴史あるマテリアル。他の素材よりしなりがあり、ゆったり長〜く走るのに適していると言われています。 「カーボンやアルミの自転車も乗ったことあるんですけど、正直それほど大きな違いは体感できてないんですよね(苦笑)」とぶっちゃける嶋田さん。ではなぜ古式ゆかしいクロモリが、廃れることなく愛され続けているんでしょう? 「もちろん上級者のなかには、僕では知覚できないクロモリ特有の、粘りのある乗り心地が好きという方も多いと思います。ただ正直言うと純粋に見た目がいいというのが大きいんじゃないかなと(笑)。最先端のカーボンロードだと凄くレーシーな印象で、競技用のワンピースじゃないと違和感が出がち。その点クロモリロードは大体が昔ながらのホリゾンタルフレームだし、チューブも細くて、すごくクラシカル。今日みたいなレトロスポーツテイストにも合うし、普段のカジュアルでも馴染んで見えるから、服好きにも響くと思います。丈夫で他の素材より修理しやすいし、むしろキズも味になるから、メンテしながら乗ればウン十年添い遂げられる。適度に運動にもなるし、所有欲も満たせる、最高のツールだと思います」
クロモリ製細身フレームは見た目と機能を兼備する!
カーボン、アルミ、スチールというのが、ロードバイクの3大マテリアル。加工しやすく、古くから用いられてきたクロモリはスチールの一種で、炭素鋼にクロムとモリブデン等を配合した合金のこと。他の素材よりもしなやかで、弾性のある独特の乗り味もさることながら、職人の息吹きを感じる造形美も人気の要因。流行に左右されない永世定番的存在だ。
トップチューブが地面と並行なホリゾンタルは、クラシカルな印象が持ち味。傾斜がついたスローピングは、現在のレース用バイクの主流。クロモリロードの多くは前者を採用。
初めてヴィンテージクロモリを買うなら専門店に相談してみよう
NAKAGAWA
ロードレーサー 初めてなら、専門店に相談してみると◎。こちらは大阪府寝屋川市の名門によって90年代前半に製造されたもの。超良好な状態もさることながら、コンポーネントもすべて往年のSHIMANO600アルテグラでセットアップさされたこだわりの一台。販売価格20万円台。
ハンドメイドのクロモリにこだわった人気自転車店。オリジナルのサイクルウェアも大好評。 住所:茨城県土浦市上坂田610 電話:029-893-3190 営業時間:10:00~17:00 定休火:火・水
ヴィンテージはハードルが高い……なら新品という手も大アリ!
Panasonic[パナソニック]
ORCC44 同社は自転車のパイオニアであり、現在もクロモリロードのフレームオーダーが可能。納期は約1か月。写真の完成車は台数限定につき、気になる方はお早めに。デザインは追加オプションあり。本体価格18万7000円〜(パナソニック サイクルテックお客様相談窓口)
嶋田さんのクロモリカスタム実例
パーツごとに買い集めて、一からこの愛機を組み立てたという嶋田さん。ヴィンテージのクロモリフレームだからこそ、細部まで徹底的に映えを意識してカスタマイズしている。
片倉シルク
クロモリロードバイク 1964年の東京五輪で著名な日本代表選手が乗っていたとされる、レジェンドブランド、片倉シルク。通の間では憧れの存在で、嶋田さんは4年前にネットオークションで約6万円で入手。「もともと下地が見える塗装だったんですが、間違えてコンパウンドをつけて磨いてしまい、コーティングがところどころ剥がれて部分的に錆びが出てしまったんです……。しかしそれすら渋味に通じるのが、クロモリの魅力かもしれません」
❶クラシック感あるコットン製バーテープ シリコンやEVA樹脂など、さまざまな材質があるバーテープにあって、最もクラシカルなコットンテープを愛用。素朴な風合いがクロモリと好相性だし、グレーカラーも渋イイ。
❷クロモリと馴染むスチール製ホルダー ボトルホルダーはプラスチック製品が多いなか、クロモリとのペアリングを考慮してスチール製ホルダーに。年月を経るうちに、フレームと一緒に小傷が増える様も愛おしいそう。
❸スタイリッシュなスパイダーサドル 樹脂製メッシュで組み上げられた、通称“スパイダーサドル”。とにかく軽く、クッション性にも優れ、数々の自転車愛好家たちのお尻をトリコにしてきた名サドルとして著名。
❹悪目立ちしないスリムポンプ ロード好き必携のポンプ(空気入れ)もさまざまなタイプが存在しているが、嶋田さんはヴィンテージの細いアルミ製ポンプを、あえてシートチューブに沿わせるように格納。 ※表示価格は税込み
[ビギン2025年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。