誰もが「ポルシェ」に憧れるのはナゼか? 基礎知識から人気モデル、中古相場まで徹底検証
有機的かつ官能的なフォルムはドイツ的エンジニアリングの賜物
ポルシェ[PORSCHE]
911 カレラ カブリオレ
8世代目となる現行911は全モデルがワイドボディを採用。よりパワフルになった3l水平対向6気筒エンジンの出力特性に最適化した8速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)を搭載。安全運転支援システムやコネクテッド機能の充実ぶりも話題に。写真はルーフが開くカブリオレモデル。1654万円〜(ポルシェコネクト)
クルマ好きに「人生で一度は乗ってみたいクルマは?」と聞いて誰しも
“ポルシェ!”と答えるのはナゼ?
教えてくれたのは……
自動車ジャーナリスト 渡辺敏史さん
かつてビギンでも連載を持っていた超売れっ子。ポルシェは07年に1年落ちのボクスター(987型)、15年に2年落ちのケイマン(981型)と乗り継ぎ、20年に、今も乗る02年式の911(996型)のティプトロニック(AT)を購入。
ポルシェ、とくにフラッグシップたる911は、クルマ好きなら誰しも憧れる存在。所詮高嶺の花と思いいつ、自分もワンチャンあれば……なんて読者も多いでしょう。しかしなぜ、男たちは911にこうも惹かれるのか? 渡辺敏史さんは、「変わらない魅力があるから」と分析します。
「911は絶えず進化していますが、水平対向6気筒エンジンや、それを後輪の上に積むリアエンジン・リアドライブ(RR)の構成は、63年の初代以来不変。一目で911とわかる有機的なファストバックスタイルもそうです。ちなみにこのデザインは、RRで最高の空力を追求した結果」。
「911の源流である356、もっといえばそれ以前に速度記録達成のために作られたポルシェ64から延々と継承され、磨かれてきたデザインです。ここまでモロモロ変えずに作られ続けたスポーツカーは他にはなく、ここが大きな魅力になっているのは間違いないと思います」
さらに自身が911ユーザーである渡辺さんは、独特の走行フィールも信者が多い理由と言います。「駆動輪に重いエンジンが乗っているのでトラクション、つまり車体の蹴り出しがすごくいいんです。またブレーキをかけたときも姿勢が安定している」。
「つまり、走る、止まるという基本性能が優れているんです。ただ、後ろが重いため、旋回時にお尻が振られることも。とくに空冷の古い911はその癖を飲み込んで運転する必要がありますが、そこも逆にクルマ好きにはたまらない個性と映るんです」
また意外と911は実用性が高いところも魅力だと渡辺さん。「まずいいのが車格です。最近はだいぶ幅が広がったものの、それでも街中で持て余すサイズじゃありません。法規上は4人乗りのために後席があり、そこを荷物置きとして使えるのもいい。さらに見逃せないのが故障の少なさ。ボクのは水冷の02年式ですが、今まで一度も大きな故障はなく、維持費も思ったほどかかっていません」
なお渡辺さんは、911以前にはケイマン、その前にはボクスターを所有していましたが、そちらもまったく壊れなかったそうです。「新車も中古も、最近911の値段は高騰してますから、ポルシェの走りをカジュアルに楽しみたいならボクスターやケイマンを狙うのはありでしょう。またどうしても911というのなら、ボクと同じくらいの年式の水冷AT車を狙うといいかも。今なら300〜400万円くらいで買えますよ」
ポルシェオーナーとなる夢を叶えるなら今かもしれませんよ!?
ポルシェのエンブレムは、本社があるシュトゥットガルト市の紋章にある馬を中心に配し、周囲に同市が所属するヴュルテンベルク州の紋章の要素を取り入れたものだ。馬がフェラーリと似ているが、フェラーリのそれは、イタリア空軍の英雄フランチェスコ・バラッカの部隊がつけていたマークを拝借したもの。同部隊のマークは、バラッカが撃墜したドイツ空軍機についていたシュトゥットガルトの紋章が元という説もあり、ルーツは同じ?
どうやってポルシェに乗る?
一世代前ボクスター&ケイマンでスポーティを味わうのもヨシ!
いきなり新車ポルシェには手が出ないから……。
ポルシェといえば911。誰もが認める世界最高峰のスポーツカーであり、伝統ある911ばかりに注目しがちだけどもっと気軽に乗れるスポーツカーが存在する。それが911の弟分といえるボクスターとケイマンだ。どちらも2人乗りなため、趣味性が高いように思われるが、911よりもコンパクトゆえに運転が容易で
さらに実用性にも優れたモデルとなっている。そして性能はポルシェそのもの。さらにこの2台はボディの形こそ違うものの中身はほぼ一緒。つまり見た目の好みから選ぶこともできる。
新車も中古車も高価な911には手が出せないけどポルシェには興味があるという方、こちらの2台はいかが?
911よりも気軽に乗れるポルシェのエントリーモデル
ポルシェ[PORSCHE]
ボクスター[981型]
ポルシェを象徴する「911」の弟分として1996年に誕生したボクスター。当時人気だった開閉可能な屋根をもつ2人乗りオープンカーとして登場。世界的ヒット作となった。その3世代目が981型といわれる、この先代ボクスター。搭載エンジンが異なる265ps仕様と315ps仕様があり、ポルシェらしく安定感がある走行フィールが楽しめる。スタンダードモデルの新車時価格は584万〜809.5万円だったが、中古車市場では400万円台から購入可能。
認定中古:680-1460万円
一般中古:410-1770万円
意外と実用性に優れる2人乗りのスポーツカー
ポルシェ[PORSCHE]
ケイマン[981型]
ボクスターの双子と呼べるのが、屋根のあるボディを採用したケイマン。こちらもボクスターと同じ2人乗りだ。搭載しているエンジンは2種類で、それぞれ275ps仕様と325ps仕様になっていてボクスターよりも若干パワフル。エンジンが運転席後ろに載っているため、買い物時などボンネット下と後部のトランクに荷物が収まるので実用性も高い。スタンダードモデルの新車時価格は612万〜843.4万円。中古車価格帯は390万〜920万円となっている。
認定中古:570-1320万円
一般中古:380-920万円