日本のエスプリに世界も注目 ジャパトラこそ究極のクラシックだ

創業120年の老舗が紡ぐ 半纏ベストはしっとり纏える

アメトラの鬼才、トム・ブラウンは、2016年発表のコレクションでテーラードと着物を融合。メゾン マルジェラの名作・タビブーツは足袋がモチーフとされています。

世界も認める日本伝統工芸が醸すエスプリ。その可能性を、九州の伝統工芸を元に服作りを行うソウボウのディレクター・藤田貴久氏はこう話します。

「久留米絣かすりの機屋に訪れる海外の美大生やデザイナーは、こんなに素晴らしいものがあるのになぜ日本人は目を向けないのかと驚くそう。かつて身近だった伝統工芸も、便利で選択肢が増えた現代ではリアルじゃないかもしれません。」

「ただ本来は日本の生活や風土に馴染むもの。モダナイズすることで、より身近な存在となるはずです」

そんなソウボウのベストは、気軽な羽織として愛されてきた半纏を日本独自のワンマイルウェアにアレンジしたもの。製作を依頼したのは、大正2年から半纏を作る福岡の宮田織物。縫製から綿入れまで全て手作業で、細やかに行き届いたその手仕事は熟練した職人だからこそなせる業だ。

一つ一つ綿を入れ、職人たちが手まつりで縫い上げる

久留米絣の伝統哲学を継いだ同社生地も素朴な味わいで、ストライプのパイピングをアクセントに加えたことで、モダンでしっとり纏える仕上がりに。異なる趣が楽しめるリバーシブル仕様も気が利いています。

昨今は米英トラッドの復権が目覚ましいですが、先人が紡いできた伝統と現代の感性を融合したジャパニーズトラッド＝ジャパトラこそ、私たちにとって究極のクラシックと改めて思う次第！　下に続くジャパトラもぜひチェックを♪

トップ写真／ブラームスのシャツ3万3000円、同パンツ4万1800円（ワンダリズム）　ブルーブルーのスウェット2万900円（ハリウッド ランチ マーケット） クラークス オリジナルズのシューズ2万5300円（クラークスジャパン）

sowbow［ソウボウ］
CHAN-CHANKO

袖なし半纏のちゃんちゃんこを、よりアウターらしく着られるゆとりあるサイズ感にアレンジ。ネップ糸を使い濃淡を表現した筑後織の生地に、鮮やかなパイピングが好バランスだ。リバーシブル仕様。3万6300円（ソウボウ）

伝統と現代の感性を融合したジャパトラアイテム［６選］

①眠っていた道行コート、シャツに転生！

プロッパーのカーゴパンツ2万6400円（ハイ！ スタンダード）　その他スタイリスト私物

Relier81［ルリエ エイトワン］
MICHIYUKI SHIRTS

女性が着物の上に羽織る「道行コート」の、使われずに眠っていた1970〜80年代ものを一枚のシャツにアップサイクル！　着物とはまた違う鮮やかで個性豊かな柄は、むしろ今っぽい。シルクの贅沢な着心地も堪能して。各2万6400円（ルリエ エイトワン）

②こうもラフにシェルを羽織れるなんて！

WAROBE［ワローブ］
SOFT THREE LAYER HAORI TECH

昔ながらの羽織が、じつは超ハイスペック！　表地はリップストップナイロンを使った防水透湿素材で、フロントにはマグネット式のベルトも装着。ご覧の通りゆったりデザインで、シェルパーカ以上に気軽に羽織れる!? 4万9500円（トローヴショップ湯島店）

③硬派なのに品がある KIMONO feat.MA-1

YASHIKI［ヤシキ］
MEBUKI KNIT Blouson

このニット、無骨なデザインながら、どこかオリエンタルで柔和な雰囲気もある……。というのも、肩の自然な落ちを表現するべく着物のパターンで仕立てたMA-1だから。ブレーティング編みによる、奥行きのある表情も魅力だ。4万7300円（アルファ PR）

④型破りを意味する破れ格子で攻める

名取屋染工場×fennica［なとりやそめこうじょう×フェニカ］
復刻型 あずま袋 破れ格子

明治35年創業の仙台の老舗「名取屋染工場」で染め上げたフェニカのあずま袋シリーズから。江戸時代からあるとされる破れ格子をのせたアバンギャルドな雰囲気は、写真のようなカジュアルコーデのアクセントにももってこいだ。1650円（ビームス ジャパン）

プロッパーのカーゴパンツ2万6400円（ハイ！ スタンダード）　リプロダクション オブ ファウンドのスニーカー3万3000円（アイ ファウンド）　その他スタイリスト私物

⑤スポサンと差がつく和モダンな佇まい

JOJO FOR WILD LIFE TAILOR［ジョジョ フォー ワイルド ライフ テーラー］
JOJO EX

京都の老舗履物匠「祇園ない藤」が、草履をモダンに再構築したサンダル。機能性の高いパーツなどを採用していて疲れにくい。フェイクスウェードが品のあるワールド ライフ テーラーの別注カラーも必見！　各3万5200円（ワイルド ライフ テーラー）

⑥強さとニュアンス増した古のワークパンツ

Snow Peak［スノーピーク］
NORAGI PANTS

日本のワークパンツ「野良着」をベースに、アウトドアで使える「もんぺ」をイメージした独特のデザインでアップデート。豊かなムラを表現したオーガニックコットンの生地は、限界まで高密度に織ることでタフな仕上がりに。2万8600円（スノーピーク）

ブラームスのジャケット6万9300円（ワンダリズム）　ア ボンタージのTシャツ1万2100円（ブリックレイヤー）　リプロダクション オブ ファウンドのスニーカー2万9700円（アイ ファウンド）　その他スタイリスト私物
 
※表示価格は税込み

［ビギン2024年4月号の記事を再構成］スタッフクレジットは本誌をご覧ください。