バウハウス最後の巨匠の7変化スツール“ウルムスツール”
欲しいモノ大全「デザイナーズ日用品」
部屋の模様替えに、新生活の始まるこの季節はベストシーズン。いっちょ素敵なインテリアを新調したいところです。 が、物価高が続く昨今、“大物”に手を出すのはなかなか勇気のいる話……。そこでビギンはコスパの最大化を考えました。 インテリアのプロ、ジョー スズキさんをアドバイザーに迎え、ツウのみぞ知る裏話とともに、間違いのない理由をみっちり解説します!
ビギンと一緒に語れる日用品を選びました!
インテリアの巨匠 ジョー スズキ氏
国際的な金融機関での勤務を経て、デザイン・文筆の世界へ。10余年の海外生活経験をもち、その独特の視点には定評が。著書に『名作家具のヒミツ』(エクスナレッジ)等があり。(写真:田中良和)
バウハウス最後の巨匠マックス・ビル考案

from Switzerland
Max Bill(1908-1994)
スプーンから都市計画までと称されるように、ありとあらゆる分野のデザインを手掛け、現代デザインの礎を築いた人物。画家や彫刻家としての顔ももち、グラフィック作品も多く残した。
wb form[ヴェービーフォーム]
ウルムスツール
【椅子】【サイドテーブル】【棚】【踏み台】【オットマン】……etc.とさまざまな形態に“変化する”傑作スツール。釘を用いずに、5つのパーツを組継ぎや相互はぎといった木組み工法で作り上げた匠の品だ。約2.1kg。W39×H44×D29cm。4万9500円(メトロクス)





春の模様替え。現実的に考えた“デザイナーズ日用品”
“最強のただの箱” 「ウルム」はすべてをウム
「これだけシンプルでいて機能的。インテリアに合う時代を超えたデザインで、美しい。歳を取っても愛でられる素晴らしいスツールだと思います」とジョーさんが賞するウルムスツールは、1954年生まれ。
在りし日のマックス・ビル。彼は芸術性と大量生産における機能性の融合を進めたバウハウスの理念を、後世へ継承することに尽力した。
旧西ドイツのウルムに開設され、バウハウスの理念を説いていたウルム造形大学の初代学長、マックス・ビルと、アシスタントを務めていたハンス・ギュジョロの手によってデザインされました。
ただの箱のようにも見えるこのスツール、なぜに機能的かと申しますと、普通に置けばサイドテーブルや椅子になり、横向きに置けば棚になる。スタッキングもできるから、将来拡張することが可能と変幻自在なんですね。学生たちにいたっては棒をハンドルにして、鞄代わりに教科書を積んで教室を移動していたというから驚きです。
経年を経て色が変化した姿(上段)
ちなみに写真のそれは、軽量なスプルース材を用いたオリジナル。持ち運びを考えた設計を鑑みれば、この材質のものを指名買いするのがツウな選択といえます。そして上写真の上段は、経年を経て色が変化した姿。買い足してコントラストを楽しむのも、お洒落でしょう?
日焼けすると飴色に育っていく
天面の裏側にさりげなくデザイナーのサインを印字
※表示価格は税込み
[ビギン2024年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。