[1位]今月のいいモノランキング
サプライヤーの廃業で定番デニム生地が枯渇⁉ マーガレット・ハウエル×エドウインのグレイキャストデニム
マーガレット・ハウエル×エドウインのグレイキャストデニム
世界情勢や作り手の高齢化、素材の確保といった諸事情から絶滅が危ぶまれる「絶滅危惧服」。2023年の12月号でもお届けしましたが、今回ご紹介するのは絶滅可能性が100%のパンツです。
2023年で20周年を迎えたマーガレット・ハウエルとエドウインのコラボコレクション。中でも「グレイキャストデニム」は、2010年のデビュー以降、不変の人気を誇るコレクションのシンボルです。なのにナゼ⁉……そのワケは多くのブランドが頭を抱える素材の確保にありました。
使用されているのはマーガレット・ハウエルのために作られた11.5オンスのデニム。グレイッシュなインディゴブルーが特徴の生地は、糸を製造する工程で削り落とされた落ち綿を混紡したドット糸が使用されており、繊細なネップが味わい深い表情を醸し出します。ただ、この生地を生産してきた工場が廃業し、確保していたストックも底を突いた、というのが絶滅に至った経緯です。
よ~く見ると細かなネップ♡
さらにマーガレット・ハウエルの定番ペインターがベースとなるこのモデルの内股には、生地を巻き重ね、複数のチェーンステッチを縫い合わせる巻き縫いを採用。エドウインの工場でもこの縫製ができる職人はわずか3名。加えてベルトループを手付けするという手が込んだ逸品なのです。
別注オリジナルのカーキ色ステッチ
そんな有難味をひしひしと感じながら穿いてみるとやっぱりイイ! ボリューミィなスニーカーでラフにこなしてもよし、白シャツと革靴でクリーンにまとめてもよし。ワイドなペインターなのにグレイッシュなブルーのおかげでワーク特有の灰汁が抜け、サラッとこなせるのが真骨頂です。
大人顔ゆえの着回し力の高さも◎
今後入手できる可能性がグレーゾーンならまだしも、このパンツは絶滅が確定的。後世へと残すべく購入するかどうか白黒つけるのは今です!
今季で灰番⁉
両社のコラボデニムはヴィンテージ加工をせず、ワンウォッシュや生にこだわるのが伝統。中でもこの生地は長い間大切に使い続けられてきた渾身作だ。今季のモデルはパッチポケットをよりワイドにすることでペインターらしい武骨さが表現されている。4万6200円。
(問)マーガレット・ハウエル
☎03-5785-6445
※表示価格は税込み
[ビギン2024年2-3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。