「世界も羨む技術と感性。自分もそのレベルに追いつきたい」セイコー/シチズン
ライムスター 宇多丸さんの俺的名作時計
【セイコー】プロスペックスと【シチズン】アテッサ
このセイコー、森田芳光映画監督の遺品なんです。『森田芳光全映画』という本を奥様でプロデューサーでもある三沢和子さんと一緒に作り上げたあと、彼女からいただきました。時計を譲り受けるなんて大変なこと。恐れ多いと思ったんですが、つけるとブレス調節をすることなく僕の腕にぴったり。これは運命と思い、謹んで頂戴した次第。
生前の監督にお会いしたことがないのですが、この時計のゴツさは愛用されていた8mmカメラなどに通じるものがあり、そこを気に入っていたのかなと夢想しています。いずれにしろ監督の魂の一部を受け継いだ感があり、とても大切にしている一本です。
そんなわけで普段はこちらのアテッサ2本を着用。アテッサには心底惚れ込んでいます。最近ハイファッションを好むようになったせいか、この時計の素材、デザイン、メカニズムのすべてに通底する“ハイ”な感じに痺れるんです。潔いまでにエッジィで、ある意味、侘び寂びの精神に通じると言える。
もちろんグランドセイコーも素敵だなと思っています。あっちはもう少しオーセンティックで、スーツを着るときに合わせたいかな。時計は西洋にガッツリした伝統があり、付け焼き刃では参戦できない領域のものじゃないですか。
国産時計ブランドはそこに踏み込み、日本的な細やかな技術や感性で独自に進化させ、遂には世界が羨む存在となった。日本語でラップをやる身として刺激を受けますし、自分もこのレベルに達したいと願う。僕は若い人が背伸びして時計を買う姿を尊いものと感じていますが、ぜひ国産時計も選択肢に加えてみて欲しいと思います。
森田芳光監督の魂を受け継いだ一本
セイコー
プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBDB001
TOP画像で宇多丸さんが着用しているのが、敬愛する森田芳光監督の遺品のセイコー。“ずっとあげる人を探していた”という奥様から2年前に譲り受けた。05年にリリースされたもので、宇多丸さんは斜めに配されたリューズや、スプリングドライブ特有の流れるような針の動きがお気に入り。
独自の進化ぶりに心が鼓舞される
シチズン
アテッサ ACT Line CC4044-53E(左)/アテッサ CC4004-58E(右)
何かイケてる国産時計はないものかと探していたときに出会ったのがアテッサ。19年にまず右を、22年に左を入手。2本とも普段からライブまでフル活躍。
ライムスター
宇多丸さん
ヒップホップグループ「ライムスター」のラッパーで、TBSラジオ『アフター6ジャンクション』のパーソナリティ。6/21新アルバム『Open The Window』発売。全国ツアーで17年ぶり日本武道館公演が決定!
[おいしい時計選びの極意]自分が死んだ後まで価値の残るものを!
TBSラジオにて放送中、月~金曜日18:00~21:00放送の帯ワイド生番組。宇多丸さんと曜日ごとのパートナーがMCとなり、ゲーム、映画、音楽、漫画・アニメ、アート等様々な文化を紹介する“聴くカルチャー番組”。通称「アトロク」。
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。