特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「唯一生地まで自社生産した、これぞ! 正真正銘のメイド・イン・ハワイブランド」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#06です。
シャヒーンズのコットン製アロハシャツ
TEACHER:アロハシャツ歴史研究家 角田 潤さん
アロハシャツは見るだけでハワイア~ンな気分をかき立てますが、実は日本と密接な関係が。「現地で徹底調査した結果、1935年頃にホノルルの個人商店で、日本から輸入されたプリント生地から作られたものがアロハの起源だと考えています」。
「最初期のアロハは女性物の着物にありそうな派手な花柄だったそうです。そのせいで“アロハは着古した着物から作られた”なんていう俗説も生まれました(苦笑)」。
「おそらくそれは誤りなんですが、1950年頃に和風の柄が多く出てきたり、戦後も日本製の生地が多く使われていたりと、日本と深い結びつきを感じることも、アロハが日本人の心をくすぐる理由のひとつなんだと思います」。
古着市場でも常に人気の高いアイテムですが、価格は数千円~ウン十万円とピンキリ。でも1万~3万円台のリアルプライスでも通好みのアロハが入手できるんだそう!
「狙い目はシャヒーンズというブランド。アロハといえばレーヨン素材がポピュラーですが、ここは珍しくコットンが主軸。レーヨンのほうが発色はいいんですが、コットンなら汗ばむ時季に着てもベタつきにくいし洗濯も手軽にできます。またハワイに自社で生地工場を設けていた唯一のブランドというのも魅力。柄も独創的で通ウケもいいし、値が上がる前に手に入れるのが賢明です」。
ガシガシ着られるコットンアロハ、惹かれちゃうでしょ?
シャヒーンズ・オブ・ホノルルのコットン製アロハシャツ
シャヒーンズ・オブ・ホノルルは1947年頃から1988年までアロハシャツを製作していた知る人ぞ知る名門。ハワイで唯一自社で生地のプリント工場を設け、デザイナーも雇い、他メーカーにはない柄を数々生み出していた。こちらのʼ60年代製アロハに描かれたハイビスカスも瑞々しくてキュート♡ 1万3750円(ドラセナ)
愛らしくも迫力大!のハイビスカス柄
絶対暗記の[傑作柄2TOP]
アロハシャツに使われる柄は無数にあるが、ここでは知らなきゃ恥ずかしっ!?な2つの超有名柄をご紹介します!
最も知名度の高い[メニュー柄]
情熱的な色使いと魅惑的な女性が目印
マッキントッシュのメニュー柄アロハシャツ
ハワイ航路の豪華客船内にあるレストランのメニューに使われていたイラストを基にした柄。上はフランク・マッキントッシュという画家が描いたもの。7万9800円(フェイクα)
通なら誰もが焦がれる[ランド·オブ·アロハ柄]
英字入りのリボンがレアモノの証し!
ランド・オブ・アロハ柄アロハシャツ
“HAWAII LAND of ALOHA”と書かれたリボンがなびく有名柄。同柄はオーバープリントが一般的だが、写真は’50年代頃の抜染バージョン。憧れの一着だ。7万9800円(フェイクα)
覚えておきたい[2大染色技法]
柄と同じくらい重要な要素が染色方法。ここではアロハシャツを代表する2つの技を把握しておきましょう。
クッキリ鮮やか!な[抜染]
無地染色された生地の色を脱色して柄を表す染色技法のこと。輪郭がボヤけず柄のエッジが立っているのが魅力。12万8000円(フェイクα)
多色使いが魅力的な[オーバープリント]
版画の要領で何度も色をのせる技法。多色やグラデが魅力。写真はユージン・サベージという画家が描いたメニュー柄。19万8000円(フェイクα)
アロハシャツ歴史研究家
角田 潤さん
ライターや編集者として活躍するかたわら、20年以上にわたってアロハシャツを研究する第一人者。3000枚近いアロハを所有する。
[ビギン2019年10月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人