世界的なパンデミックが人類を襲い、私たちの生活は激変しました。今なお、多くの人が先の見えない不安やストレスを抱えています。仕事や恋愛に行き詰まると、不安やもどかしさからネガティブな気持ちになることもあります。
そんな自分を変えるには、まずはポジティブな心を持つことが大切です。家族や友人と前向きな気持ちで日々を過ごしていきたいですよね。今回のビギニンでは、手帳に自分で自分を褒める一文を書き込むことで、前向きになる気持ちを後押ししてくれる「ほめほめノート」を考案した牧野彰邦さんを紹介します。
そもそも「ほめほめノート」とは、一日10個ずつ、その日の自分の行動や感情などを言語化してノートに書き留めていくというもの。一日二日、一週間と、書き続けていくうちに、だんだんと自分のいいところを見ようとするクセが身につきはじめ、普段、何気なく感じていた、ささいなことに対しても、「よくやったな」と自分で自分を褒めるようになっていくのだそう。自分に出来なかったことではなく、出来たことに目を向けて、小さな達成感を積み重ねていく。「きょうはこれができた」、「こんなことがわかった」、「あそこまで行けた」といった具合に。
今回のビギニン
GOOD&SHARE代表 牧野彰邦(まきの・てるくに)さん
1985年福井県生まれ。二児の父。食品メーカー営業職などを経て、2019年に「家庭と仕事の両立」のため、起業を決意。GOOD&SHAREを立ち上げる。「まいにち、家族と夕ごはんを食べる」ことがモットーであり、しあわせです。
Idea:
生真面目ゆえに生まれたオリジナルノート
以前は、東京で食品会社の営業職をしていた牧野さん。東京の大学を卒業後、福井に本社のある食品会社に就職。都内の営業所に勤務し、得意先を中心に、お客様に信頼される営業担当になるために、日々の業務に精一杯取り組んでいました。
「無農薬の玄米や、食物アレルギーをお持ちのかたでも食べられるパンやお菓子を、製造・販売している会社でした。商品を必要として下さる方にお届けし、喜んで頂ける、とてもやりがいがある仕事でした。」
仕事への手応えを感じ、順調にキャリアを重ねて行くはずでしたが、勤めていた会社が突然、買収されてしまい、転職を余儀なくされることになりました。
転職活動を始めたものの、なかなかこれまでのように、やりがいを感じられる、興味が持てる仕事に巡り会うことができずにいたのだそう。
「ゴールが見えない期間が長く続くと、肉体的にも精神的にも疲れが出てきてしまい、そのうちに、自分には何もできないんじゃないか、といったように、後ろ向きの考えに陥ってしまいました。自分とマッチする会社と巡り合うにはどうすればいいのか? なんとか前向きに考えられるようになりたいと思い、コーチングを受けることにしました。」
そんな折、コーチから受けたアドバイスが、「これまでに自分がやってきたことを、ノートに書いてみてください。」、ということだったそうです。
「生真面目な僕は、その夜、試しにノートに、これまで自分がやってきたことを書いてみました。すると結果的に15個くらい、一気にかけてしまったんです。そのとき僕は「自分は何もできないと、思い込んでいただけなんじゃないか」と気づきました。それと同時に、ちょっとした充実感を得られたので、その日から1日10個ずつ、自分をほめてみることにしたんです。 」自分をほめ続けていくうちに、だんだんと考え方が前向きになり、
そのおかげで行動も前向きになり、以前に比べて、生きやすさを感じるようになったそうです。自分をほめるという単純なことですが、周りにすすめると、よろこばれることが多かったため、専用のノートとして、つくってみることに。この体験こそが、今回ご紹介する「ほめほめノート」を考案するに至った出発点となったのです。
ほめるのが苦手な方でも続けやすいようにと、ノートには、「ほめ上手になれる、ほめ方のコツ」、といった牧野さんからのアドバイスや「ほめるためのヒント集」といった、牧野さんが実際に書き留めてきた例文などが至る所に記されている。最初は、できるだけ小さなことからほめることが大切だと牧野は言います。。そうやって、少しずつ「ほめのハードル」を下げていくことで、だんだんと自分をほめることが上手になるのだそうです。
Trigger:
育児とやりがいのある仕事の両立を目指して
2014年に長女が誕生して、2015年には都内から現在、家族で暮らす神奈川県の大磯町に引っ越してきた牧野さん。大磯町から、片道1時間半ほどの時間を使って、都内の営業所まで通勤していました。その後、思いもよらぬ出来事から、転職活動余儀なくされたのが2019年。ライフステージの移り変わりとともに、仕事へ向き合う気持ちにも少し変化が訪れます。
「転職するにあたって、最も意識したことが、仕事に取り組む時間と、子どもと過ごす時間のバランスについてでした。仕事は、子どもが成長してからでも復帰することができますが、我が子と一緒にいる時間は一生で今しかありませんからね。色んなことに興味津々で輝いている目も、スヤスヤ眠る横顔も、今しか見ることができない姿です。自分の子供が大きくなってから、『小さいときもっと一緒にいてあげれば良かったな』と後悔してしまうのは、とても悲しいことだと思ったのです」
とはいえ、やはり仕事の求人は都内が中心。都内へ戻ろうにも、子供の保育園や小学校問題、都心に近づく場合は家賃が上がる、部屋が狭くなるといった具合に、子育て世代にとっては引越しのハードルが高いのも事実でした。ならば、仕事と育児の両立を目指して起業するしかない、と一念発起。「ほめほめノート」を商品化することで起業を果たしました。現在、「ほめほめノート」は、自社ECサイトをはじめ、都内や神奈川県内にある独立系ブックストアを中心に、癒し効果との相乗効果なども追い風に、エステサロンやアロマショップなど、SNSを中心とした口コミによりジワジワと話題を呼び、その販路を広げています。
さて、後半では、実際にどのように作られたか、そしてどんな場所で買うことができるのかをお届けします。
後編:「自分のための」褒めコンテンツとは?に続く
1日10個ずつ、自分のことをほめるためのノート。30日分用意されており、その日できたことや、自分のいいところ、持っているものなど、自由に書くことができます。ノートには、節目ごとにチェックポイントを設けてあり、「3日目」「10日目」「20日目」「30日目」を書き終えた方に向けて、メッセージが用意されています。ノートは、180度に開く、糸かがり製本を採用することで、ページを手で押さておく必要がないため、ストレスなく書くことができます。さらに、角丸加工が施されており、カドが潰れてしまう心配もなく、丈夫で長期保存にも適しています。B6サイズ (厚さ4mm)、全48頁。全3色(プラチナホワイト、ロイヤルブルー、キャメル)。各1320円
(問)GOOD&SHARE https://goodandshare.com/homehomenote/
※表示価格は税込み
取材・文/伊澤一臣 撮影/椙本裕子