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学生時代から地方創生に興味があった中村さん。地域を元気にするために、まずは国がどのような政策を行っているのか知らなければいけないとの思いから通商産業省(現経済産業省)で9年半勤務。その後地元である八女市にUターンし、新規事業としてお茶の販売をスタートさせます。ペットボトルボトルのお茶に市場が奪われつつある状況を打破するために開発したのがミント緑茶でした。

ミント緑茶の販売を行って2年が経ったある日、中村さんは使用していたハーブの品質に違和感を覚えます。その違和感とは海外産ハーブの「ロットぶれ」でした。箱を空けてみなければわからない状況に危機感を覚えた中村さんは、自社でハーブの栽培を行うことを決意します。しかし、ハーブ栽培は長い年月を要するものでした…。

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今回のビギニン

中村さんの写真

中村園 代表 中村健一さん

1972年生まれ。八女市出身。九州大学大学院工学研究院 機械工学専攻。1998年通商産業省(現経済産業省)に入省。官僚としてテキサス大学オースチン校大学院にて技術経営学について学ぶ。在学中に行われた起業コンテストにて植物を使った事業(体に悪影響を及ぼす土中の重金属を除去する技術)の起業について発表し見事優勝。2007年に家業である中村製紙所へ、2011年に社長就任後、中村園を設立。2016年から農業に参入した。

Struggle:
3年の紆余曲折を経て最高のハーブティーが誕生

ハーブの写真

お茶の生産を行っているのであれば、ハーブティーも簡単にできるような気がしてしまいますが、実際はお茶のノウハウとハーブティーのそれは全くの別物で、何から始めたら良いのかわからないゼロからのスタートだったそうです。とにかく片っ端から調べてみたものの、有力な情報は得られず、試行錯誤を繰り返す日々。

ハーブの写真
摘みたてのミントを炭酸に入れてかき混ぜるだけで、爽やかで芳醇なミントソーダが完成。畑ならではの贅沢な飲み方。

高温でハーブを乾燥させてみると、まったく味がしないものになってしまったことから、ひらめいた低温での乾燥方法。「低温だったらハーブの香りをうまく引き出すことができるかもしれない」。そう思い有力な情報を手にするために参加した食品展示会。しかし、そこで食品メーカーの担当者から「低温での乾燥なんてどこもやっていないですよ」と衝撃の一言を告げられます。他社がやっていないのであれば、自社でどうにかするしかないと手探りの研究期間は続いたのでした。

ハーブティーの写真
乾燥作業を終えた中村園のハーブ。鮮やかな色と鼻を抜ける良い香りが唯一無二。

その後、ようやく完成形に近いハーブティーが作れたそうですが、それを別の日に作ってみると再現することができない。温度や湿度の絶妙なバランスによって誕生したその味を再現するのに1年がかかり、市場に出すことができる商品が完成した頃には3年の月日が経っていました。

苦労の末に誕生した中村園のハーブティーは福岡女子大学との共同研究により、他社のハーブティーよりも有効成分量が約2倍含まれていることが科学的に証明されています。

2倍という驚異的な数値の裏には、その日どのような作業を行ったのか作業履歴を残す地道な努力がありました。

用紙の写真
5W1Hが要約された作業日報。作業内容について詳細が書かれています。

全ての作業を数字化することはもちろんですが、「いつ・どこで・誰が・なにを・どのようにしたのか」の5W1Hを1枚の用紙に集約することは、品質の管理に役立つほか、例えば万が一誤った農薬を散布しても市場に流出することを未然に防ぐことに繋がります。

中村さんの写真
「日頃から管理を徹底することが大切」と語る中村さん。

農業初心者で始めたハーブ栽培。現在ではハーブの形で品質の良し悪しがわかるようになったそうです。ハーブは1番摘みが最も美味しく、2番、3番摘みになると香りが強くなってくるのだとか。

 

Reach:
予防医療都市の構築とオーガニック食品を作る街づくりを目指して

カモミールティーの写真
カモミールが入っているティーポット。味はもちろん、見た目にも美しい。

現在は蓄積したデータを元に、乾燥機、ティーバッグ封入機、電解水装置などを開発。適切な温度、湿度で質の良いハーブティーを生産することができるようになったそうです。

シソの写真
一株で9回ほどの収穫ができるシソ。漢方として使用されています。

2015年にお茶の栽培をスタート、2017年ハーブ栽培、そして2020年からは念願だった生薬の栽培としてシソの栽培に着手することに。2022年からはさらに生薬の種類を増やしてさらなる発展を目指して農業と向き合っています。

GLOBALG.A.P.認証の写真

どこよりも品質にこだっている中村園は、安心安全・環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践している証明として「GLOBALG.A.P.認証」を取得しました。GLOBALG.A.P.は、国際的な小売業者や食品メーカーなどによる、食の安全のために活動する組織GFSI(Global Food Safe Initiative)の承認認証規格です。

最後に今後のビジョンについて伺いました。

中村さんの写真

1つ目は、予防医療都市を作ること。長期滞在型の医農連携を目指しているそうです。中村さんの元には医療関係者からの関心の声も寄せられており、身体が悪くなってから手術をする従来の医療ではなく、健康的な身体の維持を目指す予防医療学に業界全体がシフトチェンジしてきているのだとか。薬も症状に直接に効くものから、体質改善に重きを置くものへと変わってくると言います。

2つ目は、オーガニック食品を作るための地域づくり。「地域づくりとあるように、オーガニック食品を作るためには農家だけが頑張っても意味がありません。最終的に使用する消費者はもちろん、加工業者、個人農家みんなを巻き込んで行う必要があると考えています」と中村さん。

「オーガニック=自然農法と勘違いしている方もいます。しかしオーガニック認証を受けた肥料や農薬を使っても良い場合もあります。闇雲に、有機肥料しか使わない、農薬は一切使わないとなるとコストが3倍かかってきて産業としてやっていくのはだいぶ難しいでしょう。まずは作り手側が売り手に対して正しい知識を持ってもらうことがオーガニック食品を作る街づくりの最初のステップですね」

ハーブソルトの写真
中村園で扱うハーブソルト。肉、魚はもちろん、野菜とも相性抜群。かけるだけでいつもの料理が格段に美味しくなる。[ハーブソルト ミルセット]バジル×ローズマリー/ミル+20g 2200円

お茶の写真

ハーブティーを普段から楽しんでいる方はもちろんですが、これまでハーブティーを飲んだことがない方も質の高さに驚くこと間違いなし。お茶どころの紙屋さんが作った、嫌味のない志の香りを、ティータイムに楽しんでみてはいかがでしょうか。

中村園ハーブティーの写真

中村園 ハーブティー
ハーブの香りを最大限に引き立たせるために、収穫後すぐに、ハーブの種類、使用用途に応じて細かく設定された独自のレシピで乾燥加工を行う。品質にバラつきが出やすい天日干しに比べ、機械で乾燥させることでハーブに含まれている有効成分が失われにくくなり、香りはもちろん美しい色みも楽しめる。有効成分量が豊富に含まれていることは研究機関によって実証されており、例えばローズマリーに含まれるテルピネオールはイタリア産の約50倍含まれる。素人でもわかる、圧倒的な香りの差を感じるハーブティー。レモングラス、カモミール、ローズマリーなどの14種類ハーブを、シングル、ブレンドで展開。左から、ブラックペパーミント7包入1026円、ペパーミント×八女特上煎茶7包入918円、レモングラス×ローズマリー7包入1026円

(問)中村園
https://shop.nakamura-en.jp/

※表示価格は税込みです


写真/椿原大樹 文/梨木由美

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