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昨年の秋にローンチした、ビギンの職人応援企画「ビギンファンディング」。6回目となる今回は、愛媛発、造船職人の命を守る足場板を家具に再生する「瀬戸内造船家具」が登場しました。

ブランド初となるコラボレーションがビギンで実現。塗料や焦げの跡をそのまま活かした座面に、黒皮鉄の脚を組み合わせたスツールを共同開発しました。温かみのある音が拡がるスピーカー機能も携える、“再生”をテーマにした一脚です。

瀬戸内造船家具

足場板の再生プロジェクトでありブランド。愛媛県今治市の造船会社「浅川造船」、伊予市の真聖建設が運営するセレクトショップ「ConTenna(コンテナ)」、そして企画・運営を行う「オズマピーアール」の3社によって発足。

『ビギンニュース』では、その開発ストーリーを全3回に分けてお届けしています。今回は奏ではじめた再生ストーリー編。スツールの製作工程と「瀬戸内造船家具」の未来をご紹介します。

読者の皆さんと一緒にデザインを考えた足場板と音を“再生”する瀬戸内サウンドスツール

今回のコラボレーションでは、商品化を検討している3つのアイデアがありました。それらをビギンマーケットのインスタグラムで読者の皆さんに紹介し、それぞれに対してご意見を募りました。その結果、選ばれたのがウッドスピーカーの機能を追加したスツール。モデル名を瀬戸内サウンドスツールといいます。

3つのアイデアの中から厳選

アイデアをもとに作った3種類のサンプル。猫が爪研ぎできるレッグにロープを巻きつけたモデル(写真中央)と昔懐かしい図工室にありそうなモデル(写真右)。

電子スピーカーのような音響装置とはいきませんが、座面に開けた溝にスマホを差し込んで音楽を鳴らせば、音が優しく広がります。デスクや枕元など耳元の近くに置いて温かみのある音を楽しむというイメージです。

こちらの画像はサンプル品です。完成品には、座面にスマホ操作用の半円の穴が空いています。

写真のiPhone14 proをスタンドに差し込んだ場合はケースあり、なしどちらでも不自由なく使えます。スマホの差し込み口には半円の穴も空けて、スマホを差し込んだまま操作できる仕様に。ですが、スマホの機種やケースの厚みによっては対応しない場合もあるので、悪しからず。

造船の歴史が刻まれた座面

オイルを塗っていない状態
オイルを塗り終わった直後

肝心な足場板は、座面に使用しています。造船の街・今治で、造船職人が船造りに魂を燃やした歴史を、座面に残るペンキの跡やコテの焦げ目から感じられます。座面には石油や合成顔料を含まないオイルを浸透させ、ツヤを出し品よく仕上げました。

レッグの素材には、青光りする黒皮鉄を採用しています。鉄を1000度ほどの高温で整形した際、温度が下がるときに鉄が酸化してできる被膜を“黒皮”といい、着色塗装した黒では表現できない鉄本来の色ムラが残り、素材を立体的に見せます。

古材を使用したスツールですが、座面はていねいな仕上げが施されているため、木材が手に刺さることはなく、レッグの先はゴムを貼り付けているのでフローリングも傷つきにくくしています。

では、こちらの音楽と足場板を“再生”する一脚は、いかにして作られているのか。ここからはその制作過程をご紹介します。

素材の味を活かすために、“やりすぎない”を心がけました

製作を担当するのは、愛媛県伊予市で工務店、真聖建設の代表を務める吉野さん。ConTennaのオーナーも務める氏がこだわったのは、足場板ならではの趣を残すこと削りすぎない、薄くしすぎない、加工しすぎない。使う前からヴィンテージさながらの重厚感を漂わせるのは、“やりすぎないモノづくり”の賜物です。

「足場板は、ただの板じゃないでしょ? 素材としては現役でありながら、船造りで活躍してきた歴史も残る。キレイに作ろうと思えばいくらでもキレイにできるけど、せっかく足場板でスツールを作るんだから味を活かさなきゃ」と吉野さん。

製作に移る前に、まず足場板を自動かんな機にかけて下拵え。薄くならないように注意しながら表面を削り、滑らかにしていきます。

座面の直径は腰を掛けるのにちょうどいい34センチ。足場板1本では奥行きが足りないので、2本を横並びで接着しベースを作ります。通常は木材の表面と裏面を揃えますが、今作の場合はより味わい深い方の面を、座面の上にして結合。これも吉野さんのこだわりです。

結合するときは、双方の側面にジョイントカッターで穴を開けます。一方にブナの圧縮剤のチップを差し込んで、もう一方にボンドを流し込みます。“ビスケットジョイント”という接着方法で、組み木と同じ要領で足場板が強力にくっつきます。

四角の板は、乾燥させるために一晩寝かせます。強くくっついたら、クロスカットソーという電動の丸鋸を使って丸くカット。出来上がった円盤は電動ペーパーで滑らかになるまでヤスリをかけます。形が整ったら、今度はスピーカーのディテールを施す工程へ。

座面にはスマホを差し込む長方形の穴が空いています。そして、側面には音を拡げるためのメガホンの形状を模した穴が2つ。このディテールは、ルーターという電動工具と電動ドリルを使って追加しています。

無骨でプリミティブな足場板の雰囲気を生かすことがマスト条件。なので、座面に音を反響させるために、何か特別な機材を埋め込むのをやめました。シンプルな構造から響く音は自然派で暖かい。少しでも豊かに鳴るように、吉野さんに無理を言って穴の深さやサイズを1ミリ単位で何度も調整しました。

“再生”をテーマにした世界に一つだけの一脚

かくして出来上がった瀬戸内サウンドスツール。上の写真の通り、足場板の風合いは可能な限り残しているため、座面の趣が一脚一脚全て異なります。家族団欒を楽しむダイニングや一人暮らしのワンルームにプラスしやすいヴィンテージ・ライクな佇まいも魅力のひとつです。

座るのはもちろん……

踏み台としても活躍!

どっしりとした重さがあり、安定性が高いので、座るのはもちろん踏み台としても活躍します。そのほか、ソファーの隣でサイドテーブルのように使ってもいいですし、座面の上に観葉植物をおいてディスプレイしてもよさそうです。

仲間を増やして、造船古材の可能性をさらに広げる

これから瀬戸内造船家具はプロジェクトに賛同してくれる仲間を増やしていく予定。オズマピーアールの一ノ瀬さんは「地元のデザイナーとコラボレーションするのもおもしろうそう」とプロジェクトの将来を見据えます。所在をなくした古い足場板の再生ストーリーは始まったばかりです。>>>詳しくはこちら

次回はお届けするのは番外編。「瀬戸内造船家具」の家具のサンプルを取り扱っている愛媛県松山市のカフェバー&ショールーミングストア「道後一会(どうごいちえ)」をピックアップ。柑橘系の香りがフワッと香るクラフトビールや新感覚みかんジュースを堪能できる道後温泉近くの新名所についてご紹介します。

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