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仕事終わりの一杯といえばビール! ですが、その市場は年々下降気味。原因の一つに“若者のビール離れ”が課題として挙げられます。そこでサントリーは昨年の秋、炭酸で割って飲むビール『ビアボール』を開発。新感覚の次世代ビールに、世のビール好きはもちろん、若者の間でも評判となっています。

前半では『ビアボール』の発起人であり、自身も大のビール好きを公言する佐藤さんにご登場いただき、前代未聞の炭酸割りビールのアイデアがいかにして思い浮かんだのか、そのきっかけについてお話を伺いました。後半ではいよいよ開発の工程へ。学生から“存在自体がアルハラ”と揶揄されてしまったビール。意気消沈した佐藤さんが、自宅のキッチンへ戻ってしたこととは一体なんだったのでしょう。

前編:営業中の居酒屋で“割る”を知る

今回のビギニン

サントリー 佐藤勇介

1986年生まれ。サントリー株式会社 ビールカンパニー マーケティング本部 イノベーション部。入社14年目。入社後は営業経験を積んだのち、マーケティング本部へ。21年4月に発足したイノベーション部で「ビアボール」のブランドマネージャーとしてチームを率いる。一番好きなビアボールの飲み方は王道の炭酸割り。1対3の黄金比で晩酌タイムを楽しんでいる。

Struggle:
ビールへの冒涜か。熱意を届けるために自主制作

Z世代が楽しんで飲めるビールとはどんなビールか。そう佐藤さんが考えたとき、頭に浮かんだのが営業時代から温めていたビールを炭酸で割って飲むアイデア。自社の製品、『こだわり酒場 レモンサワーの素』もヒントとなりました。「自分で完成させるという“体験”をビールでも実現しよう」と佐藤さんは、新商品の方向性を決めるとチームのメンバーに相談をもちかけます。

ですが、「サントリー」は、代表製品である『ザ・プレミアム・モルツ』や新ジャンル『金麦』など、世に名の知れた大ヒットブランドを抱える、いわばビール王国。当然ながらイノベーション部の社員もビール好きが多く、ビールに炭酸水を混ぜるなどという邪道なアイデアは「お前何を言ってんだよ(笑)」と冗談半分に交わされるのみでした。

佐藤さんが実際につくったビールのアイスブロック。ビールを凍らせる冷やすと水分とアルコールが分離する。アルコール部分のみをカットして溶かせば、お手製のビールに。ちなみに、かき氷のシロップを凍らせしたときも同じ現象が起こる。

ならば、「自分で試作品をつくりプレゼンしよう」と思いついた佐藤さん。新企画に対する執念で、早速キッチンで実験スタート。炭酸と混ぜても存在感を残せるアルコール度数13%〜15%くらいのお手製ビールをつくります。それを水筒に入れて、チームのメンバーに炭酸水と一緒に振る舞いました。

「美味しいor美味しくないは置いといて、とにかく場が盛り上がったんです。自分の好きな割合はどれか、レモン風味の炭酸水にすると味はどう変わるのか。皆さんが楽しんでいる様子を見て、これは若者にも届く商品になると確信したんです」

サントリー 岡島高穂 さん。ビールカンパニー 生産研究本部 商品開発研究部

『ビアボール』の特徴のひとつは、アルコール度数が16%であること。これは酵母による発酵だけで発酵で醸造したビールとしては驚きの高さ。当然、開発は困難を極めました。商品開発研究部の岡島さんも「積み上げてきた研究成果があったから、なんとか成功した」と話されます。

「佐藤から初めてアイデアを聞いたときは、何言ってんだって本当に思いました(笑)。どんな味になるのが正解なのか。味のすり合わせができない、いや、わからないままで開発を始めたんです」

「サントリー」のビールづくりを簡単に説明すると、大麦を収穫し、それを麦芽にする製麦工程から始まります。麦芽と温水を混ぜ、麦汁をつくり、発酵工程で、麦汁に酵母を加えることで麦汁に含まれる糖から酵母がアルコールを生成します。

発酵に時間をかければアルコール度数が上がるというわけではなく、酵母はすごく繊細な生き物で、自分でつくりだしたアルコールであっても、アルコールが高くなると弱ってしまい、発酵が途中で止まってしまいます。

「今回使用した酵母は10年程前から着目し、発酵のさせ方について研究を続けてきました。その酵母を使えば簡単にできるって訳でもなくて(笑)。取り掛かった初めの頃は10 %くらいまで引き上げるのが限界でした」

ビール好きがつくった、炭酸水で割って飲むビール。『ビアボール』はあくまでもビールとして楽しんでほしい。特に苦味の質に関しては、納得いくまで何度も何度も試醸を繰り返しました。ただ、アルコール度数が高ければいいワケじゃない。佐藤さんはそのこだわりを語ります。

「岡島もむちゃくちゃビール好き。一緒にいろんなアルコール度数で炭酸割りを試しましたが、二人とも一番やりたかったことは、みんなにビールを好きになってもらいたいということ。ビールらしい風味や苦味を感じながら、すっきりとした後味で飲みやすい。そのちょうどいいバランスを考えたとき、アルコール度数は16%に決まりました」

Reach:
濃さを自分で調整できるビール業界のZ世代

ビールの美味しさを広めたい!という佐藤さんの熱意が生んだ『ビアボール』。ビール×氷×炭酸水という、これまでにない全く新しい組み合わせで、ビールの魅力を全世代へ向けて再提案します。

値段は一般的なビールと比べてやや高め。ですが、おすすめの1対3の割合でドリンクをつくった場合、一本(容量:334ml)につき約8杯分も確保できます。ほかのビールと差別化を図るため、瓶入りの販売方法にもこだわりました。

「プロジェクトに参加していた大学生のなかで、どうしてもビールを最後まで好きになれずにいた子がいたんです。どこか本人も私に対して申しわけなさそうな態度で。でも、完成品を試飲してもらうと『ビアボールならとても美味しくビールを飲めましたっ!』って私の元に嬉しそうに駆け寄ってきてくれたんです。あぁ、つくってよかったなって、その時に改めて思いました」

編集部調査! ビアボールって何で割るのが美味しいの?

製品はまだ昨年の11月に販売開始したばかり。ビールを新しいフェーズへ導く業界のZ世代『ビアボール』の快進撃は、まだまだこれからです。そこで、少しでも魅力をお届けするために、ビギンは独自でいろんな飲み方に挑戦してみました。ここからは、特に美味しかった組み合わせをご紹介しますね〜。もう一度言っておきますけど……あくまでも、シェア拡大のための試飲ですからネ(笑)。

ここはパリ!? 酸味と苦味のマリアージュを楽しめる!

1936年に、フランスの地中海沿岸で誕生して以来、長年愛され続けている果汁入り炭酸飲料『オランジーナ』とミックス! 俗に言う“カシオレ”っぽい甘いテイストになるかと思いきや、オレンジの酸味とホップの苦味が合わさって、なんともお洒落な味わい。とはいえ、飲みやすさはビール単品に比べて段違い! ビール好きならビアボール:オランジーナ=1:1でもいいかも!?

芳醇な麦の香りにノックダウン! 口当たりもチョ〜滑らか

素材の味を知るには、まずはそのまま。アルコール度数16 %と聞いて、まずやってみたかったのがストレート。ロックグラスに半分ほど注いで『ビアボール』を口に含むと、麦の芳醇な香りがフワッと鼻に抜け一瞬でその味わいのトリコに♡。まるで上質な日本酒を飲んでいるかのようなフルーティな後味にノックダウン寸前でした。まさかビールを“舐める”日が来るとは……。ビール好きの皆さん、ぜひご賞味あれ!

罪悪感控えめ! あえて炭酸と混ぜない飲み方もアリ

体がビールでできていると言っても過言ではないほどにビール党の編集部・タケイ。ビールは飲みたいけど、健康にも気をつけたい。そんなジレンマを『ビアボール』で解消すべく、お相手には血圧に不安のある方にも人気な『胡麻麦茶』をセレクト。比率は王道の1対3で、いざ試飲! 一抹の不安を抱えながらゴクリと飲むと、ビール特有の苦みと喉越しを感じられ、ウーロンハイでは満たされなかった“飲んでる感”をしっかり堪能できました!

紹介した3通りの飲み方のほか、ペプシやフルーツティーでも試してみました。基本はどの飲み方でもビールの存在感はしっかりしていながら、ビール初心者でも飲みやすいテイストでした。あと、氷が入っているのでずっと冷たいままなところも高ポイント! 少しくらい氷が溶け出してしまっても、味わいが薄まるというよりは、舌あたりがかろやかになる感覚に近いです。まだまだ楽しめそうな『ビアボール』の飲み方探求。お近くのスーパーで、ぜひお買い求めくださいね〜♪

日本初、炭酸で割ってつくる自由なビール。香ばしい麦の味わいとアロマホップ100%によるフルーティーな香りが合わさった爽快な後味。専用の再栓キャップ付きだから、一度に飲み切らなくてもいい。アルコール度数16%。334ml / 768円。

(問)サントリー お客様センター
https://www.suntory.co.jp/customer/

※表示価格は税込み


写真/宮前一喜 文/妹尾龍都 編集 / 武井峻

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