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SOYFFEE ソイフィー

今回ピックアップするのは、朝ご飯の定番メニューとして、目玉焼きや味噌汁と並び、日本人から親しまれている「納豆」。以前、ビギニンでも納豆好きが高じて納豆マガジンを作っちゃった編集者、村上竜一さんを紹介(詳しくはこちら)しましたが、とある調査によると、日本人のおよそ8割が納豆好きなんだとか。歴史を遡ると、日本の芸術家であり美食家としても名を馳せる、北大路魯山人先生も納豆に魅せられたうちの一人です。

今やコンビニでもプライベートブランドの納豆が販売され、24時間いつでも納豆にありつけます。その起源は諸説あり、なかでも有力なのが“聖徳太子が愛馬のエサとして仕入れていた煮豆が余ってしまい、捨てるのも忍びないので藁に包んで保管していたところ、納豆が出来上がっていた”という説。「独特のニオイを放つネバネバの大豆を、よくぞ食べてみようと思ったな」というのが筆者の正直な感想ですが、おかげさまで、私たちは美味しい朝を迎えられているというわけです。

納豆の種類は、大まかに甘納豆・糸引き納豆・寺納豆の3つに分けられます。私たちが普段ご飯のお供として食べているのは糸引き納豆。丸大豆やひきわりをはじめ、黒豆を使ったものやカレー味のものなど、多種多様な種類が存在します。しかし、「生クリームと一緒に食べてもおいしい納豆」なんて聞いたことありますか? “納豆=ご飯のお供”という概念を覆す、世界に届くおいしい納豆「SOYFFEE™(ソイフィー)」を開発した小野岡さんに開発エピソードを伺いました。

今回のビギニン

Shonan Soy Studio代表 小野岡圭太さん

1990年生まれ。神奈川県平塚市出身。2009年から2014年の6年間、学生時代を海外で過ごす。帰国後、大手外資系化学メーカーに入社。社員として働く傍ら、2019年に古民家を改修したコーヒー納豆製造所「Shonan Soy Studio(ショウナン ソイ スタジオ)」を神奈川県・大磯町に開業。2022年には、アートとチルをコンセプトにしたプライベートホテル「norm.(ノーム)」とコラボし、神奈川県・茅ヶ崎市に発酵大豆を中心としたテイクアウトカフェ「SOY BREWERY(ソイブリュワリー)」をオープン。趣味は料理で、休日はビールを片手に得意のイタリアンを作って気分をリフレッシュするそう。

Idea:
納豆=靴下を3日間履き続けたニオいの食べ物

幼い頃から起業することを夢に見ていた小野岡さん。自身が高校一年生のときに、イギリスへ短期留学した影響もあり、高校三年生のときには親を説得し、ホームステイを受け入れ、高校卒業と同時にアメリカの大学へ進学。大学生時代はアメリカやヨーロッパ諸国で過ごしました。最終的にはニューヨークのバークレー大学で国際経済学を専攻。「1日200ページの論文(もちろん英語の)を読めとかザラで。レッドブルを大量に呑みまくって乗り切りました」とにっこり笑顔で当時を振り返ってくれました。

小野岡さんは、6年間の海外生活のなかで2度、新規事業に着手しています。一つ目はヘンプをメイン素材としたアパレル事業、二つ目はYouTubeを利用した英会話スクール。どちらも利益を上げられましたが、大きくスケールさせることができず、一度どこかの企業に就職し実力をつけてから起業することにして、日本に帰国されました。

2012年、ニューヨークにて。左から小野岡さん、小野岡さんのお母さん、ルームメイト。

そんな小野岡さんが納豆を意識し始めたのは、2014年、米国から帰国するときでした。アメリカで最も有名な新聞『ニューヨークタイムズ』で納豆が特集されていました。当時、すでに健康意識の高い人やヴィーガン思考を持った人がアメリカにも多くいて、ヘルシーな和食が市民権を得るなか、納豆特集は味噌汁や豆腐など大豆を使った料理の人気に拍車をかけました。

Eat 納豆 live longer

納豆が健康にいい理由は、大豆を丸ごと摂取できるから。そもそも大豆はタンパク質、脂質、カルシウム、鉄など人体に必要な栄養のほか、イソフラボンや食物繊維による美容効果にも期待できる食材です。改めて言うまでもありませんが、その大豆を納豆菌によって発酵させたのが納豆です。

そして、発酵時に生成される「納豆キナーゼ」という酵素が、納豆を健康フードの地位に押し上げている理由の一つ。「納豆キナーゼ」は血流を改善すると言われており、納豆は糖尿や高血圧など生活習慣病に悩む人にも推奨されています。

「ホールフーズマーケット(米国のグロサリー・ストアチェーン)で、豆腐が一丁4ドルで販売されていたんです。日本では100円くらいで買える食材なのに。日本の伝統食である納豆も、ちょっとお洒落にブランディングすれば、高級志向の人のニーズに刺さるんじゃないかってアイデアがそのとき思い浮かびました」

和食×大豆の発酵食品の価値に気づいた小野岡さん。しかし、アメリカのルームメイトたちに目をやると、納豆を食べられない人ばかりでした。「3日間履き続けた靴下のニオいがすると言って(笑)。味噌汁や枝豆は食べているのに、みんな拒絶。納豆のほうが栄養価は高いはずなのに、マジか!?って思いました」

Trigger:
ラオスで富の再循環を目の当たりにする

日本に帰国した小野岡さんは、大手の外資系化学メーカーに入社し、8年間在籍しました。はじめの2年間は粘着剤やテープを工業系の企業に売り込む営業を務め、その後は、建築・インテリア資材を企画する部署に。実験や開発こそ携わらなかったものの、商品を企画するための化学的な知識が必要で、小野岡さんは会社員時代に「化学の面白さを知った」と振り返ります。

ターニングポイントとなったのは、日本に戻ってきて1年目、24歳で行ったラオス旅行。「東南アジアの国で貧富の差が激しいと思っていた」という小野岡さんでしたが、現地に降り立つとストリートチルドレンはもちろん、物乞いにくる子どももいないハッピーな環境が広がっていました。

「仏教の国、ラオスでは、朝の5時くらいに托鉢(たくはつ)というオレンジ色の服を着たお坊さんたちが、住民のところを回るカルチャーがあるんです。それは住民たちにお米を恵んでもらうため。恵みの米でお坊さんたちは自分のお腹も満たすし、寺に集まってくる貧しい子どもたちにも再配分するんですね。それを見たときに感動して、日本でもこのサイクルを作れたらなって妄想しました」

2015年にラオスへ旅行した時の写真。

小野岡さんが、そもそも起業を志したのは「人助け」をしたいから。ラオスの光景を見て、再び起業の夢が動き出します。自分にできることは何か。自身のスキルと経験の棚卸したとき、頭に浮かんだのがアメリカでの納豆に関するエトセトラ。

「ニオわない納豆を作ろう!」

後編:アフリカの人が納豆を食べるとコーヒーを感じる!? に続く

右 /SOYFFEE™ Original Double(ソイフィーオリジナルダブル)

北海道産の乾燥大豆に、ラオス産コーヒー豆を使用したコーヒーをたっぷり含ませて発酵させたニオわない納豆。納豆特有の香りは控えめだが、栄養素は失われておらず、粘り気も残っている。食べると口の中にコーヒーフレーバーが広がり、アイスクリームやホイップクリームと一緒に食べても美味しい。80g/702円。110g/864円。

左 /SOYFFEE™ Original-Honey (ソイフィー オリジナルハニー)

プレーンなソイフィーに、すっきりとした甘さが特徴の「湘南産の生はちみつ」をプラス。納豆菌の発酵によるネバネバがはちみつに絡みつくので、口の中でコーヒーとはちみつの香りを長時間堪能できる。果肉入りのジャムのような感覚で、パンケーキやトーストにのせて食べたい。90g/810円

SOYFFEE™ Powder Chocolate Block with Coffee Beans(ソイフィー パワー チョコレート ブロック ウィズ コーヒー ビーンズ)

京都のチョコレートメーカー「Dari K」と共同開発した乳製品不使用のヴィーガンチョコレート。78%カカオを使用したチョコレートの中に、粉末状にしたソイフィーとラオスのコーヒーロースター「SINOUK(シノウク)」のコーヒー豆を投入。サクサクとした食感でコーヒーの風味もするため、デスクワークのお供にも最適。60g/1200円

NATTO JERKY (ナットウジャーキー)

納豆インフルエンサー「なっとう娘」とのコラボ作。“ヘルシージャンク”をキーワードに商品開発を進め、味付けした大豆を納豆菌で発酵させ、低温・長時間乾燥し、手でつまんで食べられるように仕上げた。ペッパーガーリック味とショウユ味、2種類のフレーバーがあり、どちらも味付け濃いめでお酒のお供にちょうどいい。各767円。3個セット2130円。

(問)ショウナンソイスタジオ
https://soyffee.thebase.in/

※表示価格は税込み


写真/宮前一喜 文/妹尾龍都

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