ティンバークルー 小久保圭介さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #060
「いつかこの時計で父を思い出してくれたら」
ティンバークルー 代表 小久保圭介さん
きっかけは俳優ジャッキー・チェンの言葉。「息子には独り立ちできる能力があるから、財産を残すつもりはない」。同じ思いだった僕はいたく共感。その代わり、いつか息子2人に残したいと思ったのが時計です。
僕には父の時計を失くした苦い経験がある。そこで永久保証付きのメーカーを探すなかで出合ったのが、オーデマ ピゲのコード 11.59でした。
スポーツウォッチの名作、ロイヤル オークの誕生から47年ぶりに登場したモデルは、名前に職人魂や伝統などの意味が込められていますが、最も惹かれたのは創業以来家族経営を守り、アイコニックな八角形の意匠を継承しているところ。
兄弟で選べるようにと後からロイヤル オークも購入。こちらも男の子っぽいルックスのクロノグラフにしました。建材を扱う職業柄、泥ハネや傷は当たり前。そもそもタフなスポーツウォッチでラバーベルトに替えてあるので、仕事でもプライベートでもガンガン使っています。
その姿を見ているからか、息子も遊びに行くときに気軽に拝借。玄関にちょい置きした時計が見当たらず「ママ! パパの時計知らない?」と慌てたことも。まだ中学生と高校生だから価値はわからないみたい。
この時計を父の背中として見習えとか、そんな大層な思いは込めていません。ただ、父との“思い出”として、ずっと手元に置いてくれたらいいなと思っています。
UDEMARS PIGUET[オーデマ ピゲ]
コード 11.59
ブランドアイコンである八角形のデザインは、ロイヤル オーク(右)ではベゼルに、コード11.59(左)ではミドルケースの形に息づいている。本来はSSベルトだが、敏感肌もあってラバーベルトにカスタマイズ。本人私物。
ティンバークルー 代表
小久保圭介(こくぼけいすけ)
1976年生まれ。建材や造園、プロダクトを手掛ける建材屋「ティンバークルー」の代表。特に床材のエイジング技術はアパレルショップや飲食店から信頼が厚い。新たに床材の既製品の販売もスタート。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年6月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。