ポストオーバーオールズ 大淵 毅さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #051
「ジェリーフィッシュを思い出して毎日着けたくなる時計」
ポストオーバーオールズ デザイナー 大淵 毅さん
流行を追いかけるタイプでは全然ないのだけれど、もう30年以上前に流行ったスウォッチの「ジェリーフィッシュ」という時計は何だか欲しくなり、御多分に漏れず買ったんです。ケースやストラップが透明だからか合わせを選ばないし、機械式時計のように扱いに気を使わなくてもいい。
だから毎日のように着けていたんだけど、すぐに全体が黄ばんじゃって。その後、何本も買い継いだのを覚えています。それが最近、ジェリーフィッシュそっくりのモデルが出たことを知って、久々に着けてみたくなりました。
やっぱりデザインが好きなのかな。文字盤から覗く機械が、僕が愛する1920年〜’30年代のマシンエイジといわれる時代のプロダクトを思わせて。時分針は信号みたいに派手なんだけど、この時計だと浮かないから不思議ですね。
ちなみに僕が買ったのは、当時のジェリーフィッシュより一回り大きい「クリアリー ニュー ジェント」というモデル。もっと近いサイズや大径のモデルも出ていて、じつは全部欲しかったりします。
デニムのように味が増していくモノもあれば、綺麗なうちが一番イイものもある。この時計は後者だし、儚いからこそ美しい面もあるので、使い古したらまた新しいのを買って楽しもうと思います。
SWATCH[スウォッチ]
クリアリー ニュー ジェント
’83年の名作「ジェリーフィッシュ」をオマージュした、透明の色使いが印象的なシリーズ。ケースのプラスチックにはバイオ由来の素材を使用し、環境へ配慮している。径41mm。3気圧防水。1万780円(スウォッチ コール)
ポストオーバーオールズ デザイナー
大淵 毅(おおふちたけし)
1962年生まれ。’93年に「ポストオーバーオールズ」をスタートさせ、NYを拠点に長きにわたり活動してきた。’18年の夏に拠点を日本へ移し、地元に程近い東京・八幡山にアトリエ兼直営店をオープン。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年5月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。