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腕時計好き、いや、いいモノ好きなら絶対に知っていないとマズイ、後世に語り継がれる時計開発の名勝負を厳選してみました。さぁ第3戦、FIGHT!
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知っておくべき名勝負 3

1957→1969年
機械式を追い詰めたムーブメントとは?
『”次世代ムーブメント”のエース争い下克上』

 

相次ぐ主役交代のなか、機械式は暗黒期に突入していくのだった!
機械式時計はゼンマイを動力源とし、精度はガンギ車、アンクル、ヒゲゼンマイ、テンプなどからなる脱進調速機構が司っている。この16世紀から変わらぬ基本構造に、1957年頃から電池で時計を動かすという独自の構造を持つ新世代ムーブメントが各社から次々と開発され、覇権争いに突入していく。まず最初にメスを入れたのは米国のハミルトンだった。

1957年
ゼンマイの代わりに電池を動力源とする
電磁テンプ式ムーブメントが誕生

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【ハミルトン】
ベンチュラ
1946年頃から構想がスタートし、遂に’57年に完成した世界初の電池式時計。鬼才デザイナー、リチャード・アービブ氏による前衛的な三角ケースも大きな話題を集めたが、じつは電池式シリーズには円形ケースもあったのだ。
 

しかし3年後には……

王座交代

 
その行く手を阻むべく現れたのが、同じ米国のブローバが’60年に発表したアキュトロン。これも電池式だが、テンプの代わりに音叉の共鳴振動に目を向けたのが画期的で、なんと日差±2秒の精度を実現。これまた600種以上のバリエが作られるほど大人気となる。

1960年
音叉から派生する共鳴振動を利用した
音叉式ムーブメントが誕生

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【ブローバ】
アキュトロン
音叉の共鳴振動で時を刻む、世界初の音叉式電子腕時計。さまざまなバリエがあるなか、もっとも人気が高かったのは文字盤を外して内部機構を視認できるようにした上の「スペースビュー」。まさに元祖スケルトン時計だ。

 

 

しかしさらに9年後には……

王座交代

 
だが、この革命ムーブの栄華は長く続かなかった。そう、セイコーが’69年に世界初のクォーツ腕時計を発表したからだ。その精度は機械式の数十倍から100倍にあたる月差±5秒!

1969年
水晶振動子を利用した
クォーツ式腕時計ムーブメントが誕生

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【セイコー】
アストロン
セイコーは新たな調速システムとして水晶に着目し、1959年にプロジェクトをスタート。なかなか小型化できなかったが、’69年12月に見事世界初のクォーツ腕時計「アストロン35SQ」を発売。金無垢で、価格は45万円だった。

 

 このセイコーによるクォーツの開発によってスイスの名門勢は壊滅的打撃を被り、長い暗黒の時代を迎えることが決定的となってしまったのだった……。

 
今、買える
直系&次世代現行モデル

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直系モデル
ハミルトン
ベンチュラ

エルヴィス・プレスリーをはじめ当時のセレブを魅了したデザインはそのまま、ムーブには高精度なクォーツを搭載する。幅32㎜。SSケース。カーフストラップ。9万1000円。(問)ハミルトン スウォッチ グループ ジャパン☎03-6254-7371

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次世代モデル
ブローバ
アキュトロン Ⅱ アルファ

名作「スペースビュー」を独自の〝ハイパフォーマンスクォーツ〞で復活。クォーツの8倍の振動で超高精度を叶え、針も流れるように運針する。径42㎜。PVD加工SSケース。5万4000円。(問)ブローバ相談室☎0570-03-1390

 

 

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次世代モデル
セイコー
アストロン 8 Xシリーズ デュアルタイム

世界初のGPSソーラー時計として登場したアストロン。簡単なボタン操作でGPS衛星
電波から現在地の正確な位置・時刻情報を取得。径45㎜。チタンケース&ブレス。23万円。(問)セイコーウオッチ☎0120-061-012

 

 

【他の名勝負を知りたい方はコチラ】
第一回:『傑作時計”伝説の名勝負”』月面着陸編

第二回:『傑作時計”伝説の名勝負”』自動巻きクロノグラフ開発編

 

 

[ビギン2017年7月号の記事を再構成]
価格は当時のものです。

文/吉田 巌(十万馬力)

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