UNITED ARROWSのバイヤーが考える最高級カジュアルとは?
「最高級カジュアル」とは何か……? それを探るためには、やはり“プロの意見”を聞かないワケにはいきません。ここでは、日々その鋭い目を持って数々の名品と向き合う、MD&バイヤー陣を直撃! 今回はユナイテッドアローズ バイヤー 豊永譲司さんに聞きました。いったい何が選ばれるのでしょうか?
ベーシックなのにエレガント。ロゴに頼らない満足感が得られる
SALVATORE PICCOLO
Product_BDシャツ
Price_各2万4000円
柔らかい立体感は、着るとより実感できる。第1ボタンを開けた姿も自然と洒脱に。
ナポリで生まれ変わる日常のオックスBD
「まず頭に思い浮かんだのは、ここ数年で定番になったサルヴァトーレ ピッコロのオックスBDシャツですね」。
BDは誰もが1着は持っている定番であり、UAでも大事なアイテムの一つ。カジュアルからドレスまでいろんなスタイルで提案しているそうです。
「僕も好きでいろいろ買いましたが、とりわけ好きなのが’70~’80年代の米国のBDシャツ。生地もいいけど、第1、第2ボタンの間隔が絶妙。一般的なシャツは第1ボタンを開けても、まだちょっと窮屈なものが多い。でも第2ボタンまで開けるといやらしさが(苦笑)。当時のBDは中間的で、第1ボタンを開けると上品なリラックス感があってカッコいいんですよ」
このリラックス感をヒントに、アメトラベースで、ハンドメイドの柔らかみがあるナポリで作ることに。自身のシャツを持ち込み、サルヴァトーレ ピッコロで別注。
「代表のピッコロ氏は30代と若いですが、10代からイタリア軍のメジャーリングで経験を積み、今ではニューヨークにも多くの顧客がいる。感性もモダンで、僕の意図も『それはいいね!』と理解してくれました」。
出来栄えも大満足だそうで「ベーシックだけどエレガント。丁寧な仕立てはもちろん、やはり衿、袖付けなど手縫いの柔らかさ、立体感があるからですね」。
またサックス地もパキッとした色でなく、淡くて軽快なイタリアらしい新鮮味も。
「打ち出し感の強いロゴなどに頼らず満足感が得られる洋服といいますか、それがUAらしい最高級カジュアルではないかと思います」
往年のBDに見られた第1&2ボタンの間隔
今日よく見られるシャツよりも、第1ボタンと第2ボタンの間隔が広め。いわば第2ボタンが2.5ボタン的な位置にあり、ラフすぎずちょうどいいリラックス感のある着こなしに。
柔らかい表情を演出する衿回り
衿、台衿の縫い付けはナポリシャツならではの手縫い。衿も接着ではなくフラシ芯が使われ、平面的な印象がなく着心地もソフト。前立ては米国のBDシャツの幅を踏襲している。
ユナイテッドアローズ バイヤー 豊永譲司さん
UAの定番BDとなった、本作の企画を担当。サルヴァトーレ・ピッコロ氏は、このBDシャツのモデル名を「GEORGE」と名付けた。
(問)ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
TEL.03-3479-8180
http://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/
※表示価格は税抜き
[ビギン2017年10月号の記事を再構成]
写真/上野 敦、船元愛美(プルミエジュアン)
文/吉田 巌(十万馬力) 秦 大輔 いくら直幸 伊藤美玲 桐田政隆 安岡将文 黒澤卓也
スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/北村達彦