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JAPAN BLUE JEANS ジャパンブルージーンズ サークルシリーズ

個性豊かなブランドが割拠する国産デニムシーンにあって、一歩も二歩も先を行くジャパンブルージーンズのエシカルな取り組みをレポートしたのは昨年のこと(以前の記事はこちら)。今回は、同社で最も人気を誇る「サークル」シリーズのモノづくりにフォーカス。同モデルのプロダクトを支えるキーマンたちに話を伺います。

高木ソーイング代表 高木秀史さん
高木秀史さん(50)。岡山県倉敷市出身。1972年創業の高木ソーイング代表。年間約7万本のジーンズを手掛ける。多趣味で、最近はアマチュア無線3級の資格を取得したとか。

メンズでカーブベルトなんて考えたことがなかった

ジャパンブルージーンズの新たなる定番ラインとしてリリースされた「サークル」シリーズ。裁断、縫製を手掛ける「高木ソーイング」の代表・高木秀史さんに訊いたところ

「開発で最も印象に残っているのはカーブベルトです」

と答えが返ってきました。

縫製される前のカーブベルト
縫製される前のカーブベルト

デニム好きはご存知かもしれませんが、ジーンズのウエストには2種類の形状が存在します。一般的なデニムは「ストレートベルト」と言って、ウエスト部に1枚の生地を直線で裁断し二つ折りに縫製したパーツを使用しますが、サークルでは、2枚の生地を貼り合わせた曲線の「カーブベルト」が採用されています。ストレートベルトを使ったオーソドックスなデニムが骨盤で穿くイメージなのに対して、カーブベルトは微妙に湾曲したラインが腰の曲線に沿うことで、フィット感が格段にアップ。

「ジーンズを穿いてしゃがむと、背中側のウエストが浮いて隙間から下着が覗くこともありますが、カーブベルトは、そんな着用時の不安を解消してくれるんです」

と高木さん。

カーブベルトのウエスト部
カーブベルトのウエスト部。よく見ると二重になっているのがわかる。

元々レディスデニムに多く採用される技術で、メンズデニムに採用したのは半世紀にわたる高木ソーイングの歴史で初の試みだったと言います。

「メンズでカーブベルトっていうのは今まで考えたことがなかったんですよ。ヴィンテージのジーパンを再現しようと思ったら発想がそこに行かない。だから最初、ジャパンブルージーンズさんから聞いた時、大丈夫ですかっていう話をしてたんです。でも、作ってるうちに、自分でカーブベルトを穿くとすごく楽だとわかって。今は愛用しています。体型的に少しお腹が出てきたという方も、動いたとき、とくに屈んだときに良さがわかっていただけると思いますよ」

JAPAN BLUE JEANS ジャパンブルージーンズ サークルシリーズ
カーブベルト効果で、かがんでもピッタリフィットする。

理想のシルエットを求め、途方もないサンプル製作

サークルが生まれた経緯には、ジャパンブルージーンズが海外向けブランドとしてスタートした背景があります。ヨーロッパのマーケットではジーンズも、まず見た目の美しさが重視される。そんなニーズからシルエットの見直しをテーマにスタートしたサークルシリーズ。カーブベルトをベースに、さらなる洗練さを追求した、クラシックストレート、ストレート、テーパード、スキニーと4つのモデルがリリースされました。

高木ソーイング代表 高木秀史さん

「サンプルの数も思い出したくもないくらい多くて(笑)、試行錯誤しながらサード、フォースまで作りましたね」

通常、32インチ前後のサイズを1本試作し、それを元に細部を詰めていくのですが、サークルでは、4モデル×9サイズ(28から38まで)×2種類の生地、のなんと合計72パターンをサンプルを製作。それを体型の合うモデルが着用し、実際穿いて現れる細かいシワやイメージと違う曲線を修正していったと言います。

高木秀史さんの私物サークル
着用歴2年、高木さんの私物サークル(クラシックストレート)

細部まで完成度を追求

高木ソーイングでは裁断、縫製の他、ボタンリベットやループ取り付けといった特殊作業も手がけています。サークルは18〜20の工程を必要としますが、生地の状態から形が完成するまで、全てを自社工場で管理できる同社だからこそ、細部まで完成度を追求できたといいます。

「じつはポケットのスレーキにプリントを入れていて、しかもモデルによって色が違うんです。もはや外からは見えない部分ですが(笑)。そんなところにも気が付いてくれたらうれしいですね」

と最後に教えてくれました。

高木ソーイング 縫製作業
高木ソーイングでは若手から熟練のベテランまで15名の職人が在籍。技術の継承を行いながら一本一本デニムの仕上げている。

初めてジーパンを買う人にもわかりやすく、がテーマです

従来のジーンズのイメージをヨーロッパのセンスでアップデート。楽チンで、美脚効果も高い。そんなサークルを生み出したもう一人の立役者が、パターンを手がけた西原浩美さんです。

ジャパンブルージーンズ 西原浩美さん
西原浩美さん。広島県出身。2014年ジャパンブルージーンズに入社。パターンの仕事をして12年目。趣味はパン屋さん巡り。岡山は美味しいベーカリーが多いそう。

ジャパンブルージーンズの製品生産部のパターン室に勤める西原さん。

「(ジャパンブルージーンズに)以前からカーブベルトのメンズ向け商品がなかったわけではないのですが、メインはストレートベルトのアイテムでした。生地もシルエットも多岐に渡っていたので、新しい定番(サークルシリーズ)を作るにあたって改めて『初めてジーパンを買う人にもわかりやすく』というテーマに立ち戻り、特徴としてカーブベルトを採用することになりました」

カーブが強すぎるとフェミニンな雰囲気になるので、メンズっぽさが残る曲線を検討。たどり着いたのが現在のラインでした。上下の差は約3cmで、ジーンズに組み込まれるとパッと見ではカーブベルトとわからないですが、穿くとフィット感がしっかり伝わってきます。

「レディスのジーンズにはもっとカーブがキツイものもあるのですが、そうすると、工場での付け方が変わってくるんです。手に取りやすい価格で本格的なジーパンを楽しめるというのもジャパンブルージーンズの大切なコンセプトなので、工賃を抑えた仕様にすることも課題でした」

ジャパンブルージーンズ サークルのパターン
門外不出サークルのパターン

シルエットが違っても同じサイズが穿けるよう工夫しました。

サークルは11のパーツから出来ています。セルビッチデニムを使うとサイドが直線になるなど、シンプルゆえデザインには制限があり、差をつけるのが難しいと言われるジーンズですが、サークルには様々な工夫が施されています。

「定番モデルを4つに絞っていくなかで、シルエットが違っても同じサイズが穿けるよう寸法にこだわりました。ウエストは統一し、ワタリ、ひざ、裾の部分で調整しています。『クラシックストレート』は一番太い形なので大胆に。『ストレート』はズドンとやると微妙に広がって見えるので、少しだけ裾周りを絞りました。やりすぎるとテーパードとの差がなくなるので、ストレートとテーパードは違いを追求しました。ちなみに私は『テーパード』が好みです。穿きやすいシルエットになったんじゃないかなと。あと股上が浅いと人を選ぶので、腰回りは全体的にゆったりデザインしています。『スキニー』も股上は浅くないので、使いやすいと思います」

ジャパンブルージーンズ 西原浩美さん
「外見的な特徴として、後ろポケットのサイズ感にはとてもこだわりました」

じつは、後ろから見た時、尻ポケットの場所や大きさでジーンズの印象はかなり変わります。存在感はあっても主張しすぎず、引き締まった印象に見えるよう、各モデルの絶妙な位置に付けられたポケットの位置、大きさも必見です。

JAPAN BLUE JEANS ジャパンブルージーンズ サークルシリーズ

ジャパンブルージーンズの新定番を掲げるサークルシリーズ。一年間にわたる試行錯誤の末に完成したパターンと、半世紀に渡って培われてきた確かな縫製技術から生まれるフィット感を一度、体験してみては?

J301
CIRCLE ストレート / 14.8oz アメリカ綿セルヴィッチ

ジャパンブルージーンズ J301 CIRCLE ストレート

ラフで武骨な生地を作るためアメリカテキサス産の綿をやや強めに紡績。さらに強度を高め、ムラの形状も少し激しめにし、糸の打ち込みを極限まで入れることで、穿き込んでも硬さが持続するセルヴィッチデニムを使用している。穿き込むことでコントラストのある色落ちが楽しる。シルエットは基本のストレートモデル。太ももから裾に向かってのテーパードをゆるやかにかけ、脚をすっきり見せるため裾を少しだけ絞っている。ほどよい細身のデザインは海外からの評価も高く、長く愛用できる1本。1万4000円。

J401
CIRCLE クラシックストレート / 14.8oz アメリカ綿セルヴィッチ

ジャパンブルージーンズ J401 CIRCLE クラシックストレート

上モデルと同じく、米・テキサス産コットン製の14.8ozのセルヴィッチデニムを使用。深めの股上に、全体的にゆったりしたクラシックなストレートシルエットで雄々しく穿ける一方、ほんのり利かせたテーパードにより野暮ったさを感じさせない。1万4000円。

J205
CIRCLE テーパード / 12.5oz ストレッチセルヴィッチ

ジャパンブルージーンズ J201 CIRCLE テーパード

より楽チンに穿けるストレッチデニムを採用した一本。生地表面に立体的な凸凹が出来るよう弱テンション織を採用。経糸のテンションを手織りに近い風合いで優しく織り上げ、染め、織りの工程を綿100%の生地と同様に施すことで「ナチュラルな色落ち」が楽しめる。シルエットはテーパード。1万4000円。

問い合わせ先/ジャパンブルー ☎ 086-486-0002
https://www.denimlabo.com/c/japanbluejeans
サークルシリーズを詳しく見る

※表示価格は税抜き


写真/井上雅央 依藤寛人 文/森田哲徳

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