WOOLMARK COMPANY

10年ほど前から化粧品を軸とした新たな美健産業の集積地を目指す“コスメティック構想”を掲げる佐賀県唐津。アジア諸国と貿易のしやすい立地条件や豊かな自然、そして通関から流通加工までの作業を小範囲でスピーディーに行える環境が整っています。いま世界中のコスメ業界が注目する地域のひとつであり、大手からスタートアップまで多くの企業が事業を展開しています。

そして、そんな唐津で水事業専門だった九州シグマもコスメブランド「BEFORE.(ビフォー)」をスタート。地の利を活かし一本6役のユニセックス化粧品の開発にチャレンジ、前編では九州シグマの高柳さんにその動機を伺いました。いよいよ後編では「ビフォー」の開発秘話に迫ります。

今回のビギニン

株式会社九州シグマ 代表取締役 高柳幸介

1979年佐賀県唐津市生まれ。大学卒業後から約4年後、父親が創業した株式会社九州シグマへ。専務として12年間キャリアを重ね、佐賀県小城市を拠点とする飲料メーカーに転職。2020年、父親の後を継ぎ九州シグマの代表取締役に就任した。野球、アイスホッケー、サーフィンなどスポーツ好きで、高校時代には甲子園にも出場経験あり。

struggle:
繰り返される「棄ててください……」

高柳さんは前職で炭酸水の企画・営業をしていました。その経験もあって思い浮かんだのが「炭酸水のようにシュワシュワッと弾ける化粧水」というアイデア。新商品の企画案をコスメ事業を一緒に立ち上げる姉の美砂さんに共有し、美容大国・韓国でアイデアを形にしてくれる工場を探す段取りを組みました。

「韓国には水事業の仕事でよく行き来していましたが、コスメ系となると話は別。新規開拓を目指して、姉と一緒に何度も韓国に出向き市場調査を繰り返しました。すると偶然にも、全く同じではないけれど、バブル系の化粧品を作っている工場が見つかったんです」。

バブルエッセンスパックの生産を行う工場

早速約束を取り付け、その工場に美砂さん単身で直談判。その結果、見事生産を請け負ってくれることになり、美砂さんが作成したレシピをもとに化粧品の試作がいよいよスタートします。

しかし「これで事業が本格的にスタートできる!」と思った矢先、世界中がコロナ禍に。ウイルスの影響で韓国へ行けず、生産現場で工場とやりとりを交わせない状況に追い込まれてしまいました。高柳さんは当時を笑いながら振り返ります。

「指定していない原料が含まれていたり、日本の薬機法にそぐわない量の原料が混じっていたり。直接足を運べば簡単に終わることを何週間もかけてやりとりし、ブルームさんを通じてまたサンプルを調べてもらう。韓国の工場とうまくコミュニケーションが取れなくて、サンプルを作るだけで予想以上に時間がかかりました。しかもそのサンプルも思い通りにいかず、『これは棄ててください……』ってブルームさんに何度も言いました(笑)」。

特にこだわったのは製品の要である“泡立ち方”。発砲を促す原料をどれくらい混ぜ込むのか、泡のキメの細やかさや泡立つまでの時間を調整するため、韓国の工場に何度も試作を依頼しなければなりませんでした。

「バブルエッセンスパックの最大の魅力は美容成分バブル浸透システムです。そのシステムがあるからこそ、自発的にジェルが泡立ちバブル同士がぶつかり合う。肌がマッサージのように刺激されることによって、肌の角質層にまで美容成分が浸透します。それに化粧水を手で擦りこむ必要がないので肌にもやさしい。泡立ちには特にこだわりました」。

試作に試作を重ね、最終的に出来上がったのは5つのタイプ。高柳さんは美容サロン経営者や普段スキンケアに無頓着な男性など、様々な人を対象にサンプルを試してもらい意見を聞きました。そうして辿り着いたのが、“60秒後にシュワシュワッ”という理想的な泡立ち。60秒あれば化粧水を塗り慣れていない人でも美容ジェルが泡立つ前に顔へ塗り終えられます。

高柳さんが姉の美砂さんと二人三脚で始めたコスメ事業。コミュニケーションの壁に阻まれ難航を極めた韓国の工場とのやりとりが終わり、その最初のオリジナル商品がいよいよ完成の日を迎えました。

reach:
コスメの街、唐津をもっと発信していきたい

出来上がったバブルエッセンスパックは一本6役(美容液・乳液・パック・化粧水・マッサージ・保湿)の効果があるユニセックス化粧品。クラウドファンディングサービス「マクアケ」を利用して、初めて一般にリリースされました。

「若かった頃は自分のやっている仕事を友だちに胸を張って言えないでいましたが、今回ばかりは周りの人たちに応援してもらえるように声をかけまくりました。すると、翌日には目標額の30万円に到達。最終的には315%の達成率で着地となりました。うれしかったですね、とても」。

もちろんですが商品の特徴はバブル浸透システムだけではありません。実は一番開発に苦労したという、美砂さんこだわりの香りもスペシャル。フランスから取り寄せたオーガニックオイルをベースに合計3種以上の植物由来エッセンスを調合したグリーンローズの香りで、使用する度に朝露が残る森の中にいるようなフレッシュな気分に浸れます。

CICAの成分の元となる「ツボ草」

また多種目含まれている美容成分のなかには、現在巷で話題の整肌成分「CICA」も配合。ツボ草というハーブエキスを抽出した成分で、脂性肌の油分を抑え、乾燥肌には油分を補います。具体的には、ニキビ跡やひげ剃り後の炎症による肌の赤みを抑える効果も期待できます。

これまでにも説明してきた通り、使い方はいたってシンプル。まず3〜5プッシュ分の美容ジェルを洗顔後の肌に塗ります。すると、その美容ジェルが体温に反応し泡立ち始めるので、泡が真っ白になったら60秒放置。最後は顔に残った泡をやさしく肌になじませたら終了です。言葉にすると長くなりますが、要は「塗って」・「待って」・「なじませる」。たったこれだけ! 洗い流す必要もありません。

取材後、そのお手軽さに魅了され筆者も愛用中。一番効果を実感できるのは、やはりひげ剃り負けによる肌の赤みが軽減されることでしょうか。お手軽ってだけでなく、ちゃんと効果を実感できるのでお手入れをサボらず続けられています。

また、スキンケア用品を買うときにめんどくさいと思ってしまうのが、自分がどの肌質なのかわからず適正の商品を選べないこと。オイリー肌なのか乾燥肌なのか。少なくとも私の場合は「まぁいっか」で選ぶことが多く、恥ずかしながら買わないなんてこともありました(照)。

一方でビフォーのパックはCICA成分配合で勝手に油分の調整をしてくれるので、選択に悩む必要がありません。いうまでもなく個人差はあるのでしょうが、私は大満足で使用しています。

「さぁ行くぞ!」ではなく「気楽にリラックスして行きましょう」というような利用者に寄り添えるコスメを作って行きたい。そんな風に今後の展望を高柳さんは話します。ちなみに、話題のリラックス成分「CBD」を主成分とする新作のバームもまもなく発売されるそう。

「慌ただしい日常がはじまる、ちょっと前の時間に気軽に使える当社のコスメを使って、気分良く一日をスタートしてほしい。そんな思いで作ったのが『ビフォー』です。これから先はOEM事業やスタートアップ企業のサポートにも積極的に力を入れていき、『佐賀・唐津=コスメの街』という認知の拡大に少しでも貢献できたらうれしいと考えています」。

JCC主催の学生や若い企業家に向けたセミナーにも登壇し、自身の体験談を語る高柳さん。九州シグマの社員の方へはもちろん、インタビュー中の筆者にも壁を作らず親しみを持って接してくれたのが印象的でした。

バブル浸透システムよろしく「佐賀・唐津=コスメ」を世の中に浸透させる先駆けとして、きっと地元のコスメ産業を牽引する存在になられるのだろうと筆者は想像しています。これからのご活躍と「ビフォー」の新商品が今から楽しみです!!

BEFORE. / bubble essence pack
整肌成分CICAを配合、一本で6役(美容液・乳液・パック・化粧水・マッサージ・保湿)を担うユニセックス化粧品。本製品特有の美容成分バブル浸透システムにより、塗ってから約60秒後にとろっとしたジェル状の美容液が炭酸のように発砲し肌全体を包みこむ。盛り上がった泡を手で押し込むようになじませれば簡単に毎日のスキンケアが完結。爽やかなグリーンローズの香り。5,390円(税込)

BEFORE. / CBD balm
話題の「CBD」を配合したバーム。CBDはヘンプに含まれる主要成分のひとつで、心身ともにリラックス効果を得られることから世界的な注目を集めている。こめかみや耳の裏、手首、首筋、肩などになじませて使用。質の高い睡眠にも効果的だ。さらにシアバター、ホホバオイル配合で保湿効果もあり。6,930円(税込)

(問)九州シグマ コスメ事業部

https://cosme-before.com/


写真/松山タカヨシ 文/妹尾龍都

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