偉人に名機あり！ レジェンドの名がついたアンティーク腕時計５選

映画に音楽に冒険に……。時代も性別も得意なフィールドも異なれど、偉業をなしたレジェンドたちは、装飾品も逐一チェックされるのが常。その煽りを受け、時計界には偉人に愛され、そのままその偉人の名で呼ばれる運命を辿った名機が多数存在しているんです！

日本一の冒険野郎の相棒！
「植村ダイバー」

【該当モデル】SEIKO 150mダイバー 2nd 後期型
1968年登場の傑作ダイバーのなかでも氏は’70年代中頃に作られた後期型を愛したとされる。
 

一説にはアラスカの犬ゾリの最中にロレックスから交換したとも

伝説の冒険家、植村直己。彼が数々の偉業を成したとき、腕にはいつもセイコーのプロ向けダイバーズが添えられていました。偉人のおかげで強靭ぶりが証明された同作は、素直に“植村ダイバー”と呼ばれることに。

1984年にマッキンリーに登頂して行方不明になった際は別の時計を着けていたそう。もしかしたら今作はお守りの役割も果たしていたのかもしれません。
 

セクシーさから名付けられた
「ソフィア・ローレン」

【該当モデル】GMTマスターⅡ 1st
1983～1988年まで、わずか5年の間しか製造されなかった希少品は、市場では常に枯渇状態。
 

ケースが05mm厚いため、グラマラスさで名付けられた

アカデミー主演女優賞の受賞経験もある名女優ながら、その演技よりもセクシーすぎるルックスで話題を集めていたソフィア・ローレン。

名機GMTマスターⅡの初期モデルは、それ以後のモデルと比べてケースがわずかに厚く、グラマラスなプロポーションを誇っていたことから、マニアの間でそのまま“ソフィア・ローレン”と呼ばれるに至りました（苦笑）。
 

ヴィンテージの代名詞
「ポール・ニューマン」

【該当モデル】デイトナ Ref.6239
1963年に登場し、わずか数年間しか作られなかった超希少品。偽造品も多く出回っている。
 

オリジナルモデルが、時計史上最高金額20億円で落札された。

ロレ好きの間でアガリ牌とも称されるキング・オブ・ヴィンテージが、このポール・ニューマン！

名優が妻から贈られた初代デイトナは、反転カラーダイヤルをはじめとするユニーク仕様がテンコ盛りで、流通数も極少。

オリジナルモデルが2017年にNYのオークションで約20億円という天文学的プライスで落札されるなど、ヴィンテージの代名詞として定着しています。
 

ロックスターは蛇腹がお好き
「エルヴィスモデル」

【該当モデル】ハミルトン ベンチュラ
1957年に登場した世界初の電池式腕時計。斬新な三角形フォルムでも偉人を魅了していた。
 

わざわざブレスを変えていた!?

スミソニアン博物館にも収蔵されるほど、芸術的なデザインで根強い人気を誇る、ハミルトンの名機ベンチュラ。

かのエルヴィスは1961年に公開された主演映画『ブルー・ハワイ』で同作を着用したことを契機として、プライベートでも愛用するほどベタ惚れ。

わざわざ革ベルトから金属製の蛇腹ベルトに交換して愛用していたという逸話も語り継がれています。
 

唯一の!?ネームモデル
「チャック・イエーガー」

【該当モデル】リアルマッコイズ別注GMTマスター
音速突破から50周年を迎える1997年に世界で150本だけ製造された激レアコラボモデル。
 

史上初の音速パイロット

1947年に世界で初めて超音速飛行を実現したチャック・イエーガー。人気ブランド、リアルマッコイズは、この米国の伝説的パイロットの偉業を称え、GMTマスターをベースにした別注モデルをロレックスに打診。

裏蓋に偉人の愛機“Bell X-1”の姿が刻印されているというレア仕様はもちろん、人物名が正式にモデル名に冠されたという希少性で通を仰天させました。

裏蓋に名前が

［ビギン2019年2月号の記事を再構成］イラスト／田中 斉　文／黒澤正人