やっぱりビームスが好き!
BEAMSオリジナルアイテムはどう生まれるのか? モノづくりのウラ側を裏方3人に聞く!
38年と10か月、通算453号。ビームスから遅れること約11年で生まれたビギンは、創刊当初からず〜〜〜〜〜っと彼ら彼女らのことを追いかけてきました。めでたすぎる50周年を祝すとともに、次の50年を隣で走るべく、その過去を、現在を、未来を、ビギンらしく深掘りしていきますよ。公私混同上等、だってやっぱり、好きだから!

モノづくりのウラ側を裏方3人に聞く!
BEAMS ORIGINALのB面
セレクトした商品を揃えているから、誰が呼んだか「セレクトショップ」。一方でいまや欠かすことのできないのが、店名を掲げオリジナルで製作するアイテム群です。ビームスは伝統的にここへ注力。現在では海外の有力ショップに卸すまでに至っています。ここでは、ビームスの大黒柱『ビームス』レーベルからキーマン3人を招聘。普段はオモテに出ない、企画がカタチになるまでのアレコレ&熱い想いを語っていただきました!

ビームス ディレクター 吉川基希さん(中):1979年、新潟生まれ。2001年に入社して以来、ビームス セクション一筋のカジュアル番長。リーダーとしてオリジナルの製作を指揮する。
ビームスメンズカジュアル 生産管理 工藤孝太郎さん(左):1991年、青森生まれ。大学在学時に地元服店でアルバイトを経験し、2016年に入社。志願して現職へ。安心安全な服づくりがモットー。
来季の“ムード”を共有しチームで制作を進めていく
──さあ服をつくるぞというとき、まずは何から始めるのでしょう?
吉川 今季はこういう気分なんだよね、という指針を示す『組み立て会議』から始めます。ディレクターの私が、ピンタレストなどで集めたスタイル写真を一覧できるムードボードを作り、チーム内で意見を出し合うんです。春夏の服なら、前年の1月くらいにキックオフしないと間に合いません。


小倉 ディレクターの思いを受けて、今度は企画デザインチームが素材を選んで提案します。最初に手をつけるのは、シーズンを象徴する4ルック。大体16型くらいですね。素材はお取引先に当たったり、手持ちのスワッチから見つけたり。今日ここにお持ちしたフードが付いたコチラは、2026年秋冬のまさにシーズンラインの一着です。

工藤 素材を決め、こういう加工が必要とわかれば、それを受けて生産管理部門が、工場の見当をつけます。工場が何を得意としているかは現地で実際に見ないとわからないため、普段からよく国内外の工場に足を運んでいます。
──それにしても、フード付きのGジャンとは珍しいですね。どんな経緯でこのデザインに?
吉川 そもそもなぜデニムジャケットを作りたかったの? というところから説明すると、上がボクシーで短く、下が太くて長いというサイズバランスが最近の気分としてあったんですね。するとデニムジャケットは外せないだろうと。
さらに、そのシルエットなら1stや2ndじゃなく、3rd、それもポケット付きの『70506』が気分だよねということになったんですね。でも、当時あったカタチをそのままウチが作っても面白くない。ビームスには『ベーシック&エキサイティング』というコンセプトがあり、オリジナルの製作に当たっても、ビームスの原点であるベーシック=アメカジを礎にしながら、必ず新しい部分、エキサイティングな要素を加えるようにしているんです。
フードはまさに、エキサイティングの要ですね。こちらだと、ほかにもポケット脇にもう1つジップの付いたセキュリティポケットを付けて、スマホなどを安心して仕舞えるようにしました。こちらも現代に即したエキサイティングな要素です。
小倉 これは余談になりますが、僕はデザイナーズブランドが好きでデザインを学んだ経緯もあって、純粋なアメカジ畑を通ってこなかったんですね。でもいざビームスに来たら、ポケット1つにしても前提となる知識を共有していないと話にならない……。入社当初は必死に勉強しました(笑)。
吉川 だからイイんじゃないかな。ビームスのオリジナルって、ターゲットの年齢層がハンパじゃなく広くて、10代後半から50代までいろいろな年齢層のお客さまが着てくださる。年齢も得意も異なる人材が制作に関わるからこそ、幅広い支持をいただけるのかなと。
幾度も修正を重ねていざ、パリの展示会へ!
──1stサンプルとそれ以降のサンプルでは、ディテールにちょくちょく違いがありますね。
小倉 このGジャンの場合、最初のサンプルが上がってきたときにまず重くない? となって。それで、当初はポケットの袋布やフラップ裏も表地のデニムを使っていたのを、もっと薄い別布にして軽くしようと変更しました。
吉川 サンプルが上がってきたら、必ず袖を通します。着ないとわからないことがたくさんあるので、実際に着て、隅々まで確認するんです。これについては持った瞬間に重っ! となりましたが(笑)。それから、フードの形状についても時間を割いて話し合いましたね。

小倉 フードが大きすぎたのもあって、カタチが綺麗に出なかったんですよね。1stサンプルではフードの中央に1本だけハギを入れていたのを、2ndサンプルでは2本にしたのも、表情と保形性を考えての変更でした。それから、フードの端を当初は折り返しただけの簡易な仕様にしていましたが、ここにもハギを追加しました。

工藤 ハギにステッチが入るので、洗いによってそこにパッカリングが浮かび、表情が増すんですね。ちなみに2ndサンプルのことを我々は展示会サンプルと呼んでいて、パリのファッションウィークでこれを展示します。そこで注文を受けるので、それまでに工場が作れる数やコスト、納期について詰めておく必要があります。

吉川 今回のGジャンはクオリティがとてもよかったのでこのまま進めましたが、展示会後に仕様を変更することもあります。逆に、仕上がりが悪くて展示会に出さない判断をする場合もありますね。
──その後は、どんな流れを経てお店に並ぶのでしょう?
工藤 工場で量産に入る段階で、ここでもまず先上げサンプルを作ってもらい、異常がないか、我々が思い描いている仕様にしっかりなっているか検品します。とりわけデニムなどユーズド加工を要する服に関しては、少量を加工するのと、まとまった量を加工するのとでは表情にムラができたりするので、2ndとは顔が違ってきたりするんです。個体差も生まれるので、複数枚のサンプルを比べてチェックします。問題があれば対策を協議しますが、このGジャンについては個体差が許容範囲内だったので、そのまま量産ラインに乗せてもらいました。
工場との密なやりとりがクオリティを担保する
──ビームスのオリジナル商品は、価格に対するクオリティ=コストパフォーマンスの面でも信頼がありますが、意識していることは?
工藤 普段からお取引先の方とも情報共有をして、こんな工場があって、何を得意としているなどの情報のアップデートを心掛けています。そして、必ず現場に行ってコミュニケーションを取る。ここの仕様をこうして、というだけでなく、ビームスのフィロソフィーを作り手に理解して貰うことも、大切だと思っています。またコストを抑えるという点では、『ここはこう縫ったほうが効率がいいよ』という工場からの提案を受け入れることもあります。もちろん譲れないところは譲れないと伝えますが、新しい知見が得られるのも、現場へ赴いてこそですから。
モノづくりも結局、人の想いがあってこそ!
──皆さんの思いと多くの人の手を通って、商品が店頭に並ぶ……一番シアワセを感じるときは?
小倉 半年以上前から、チームで時間を掛けて作ってきたものですから、店頭に並んだときの喜びはひとしおです。スタッフを通じてお客さまの反応が伝わってきたときは、やはり一番嬉しいですね。

工藤 カッコいい言い方をすると、自分が担当した服は我が子のような感覚なんですね。難産だった子もいますが、実際に世の中に送り出せたときは、ああ、よかったなと思う。お客さまの反応がよければ、なおさら嬉しいですよね。

吉川 我々制作チームのほかにも、MDやVMDといったさまざざまな人が関わって、服が世に出る。その最初が、パリの展示会なんですね。現地のバイヤーからの反応がよければ嬉しいし、チームにも共有したいと思う。そしてみんなで喜びをわかち合えたときに、私は一番喜びを感じます。モノづくりも結局、人が行うもの。熱い思いをもった人が集まっているのが、ビームスのよさだと思っています。
※表示価格は税込み
[ビギン2026年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
