草履がビーチサンダルになり、スポサンが生まれた——サンダルの歴史と豆知識を知る
誰もが知っているあの「定番」にまつわる常識からウンチクまで、でサクッとお勉強! 今回のテーマは、この酷暑の中で避けては通れない「サンダル」です。

原始の靴である“サンダル”がファッションになるまでを知る
文明が誕生する以前から、植物や革で人間の足を守ったサンダルは、今や夏に欠かせないファッションのキーアイテム。どうせ履くなら、歴史や豆知識も知っておきましょう!
Q.サンダルの歴史を教えて!
A. あまりにも古くから人類の足を支えてきただけに、サンダルの源流は判明していないが、文明が誕生する前から履かれていたことは確かだ。樹皮、草、皮革に布。時代時代の最も身近にある素材でサンダルは作られ、さまざまな地域で独自の発展を遂げた。
洞窟に残っていた約1万年前のサンダル

なかでもユニークなサンダル文化を形成したのが、日本である。今も、和装において最もフォーマルな履き物といえば草履。明治以前は他にも、雨の日や用を足す際に用いる高下駄や、草表の草履の裏に革を貼って耐久性や耐水性を高めた雪駄など、多種多様なサンダルが日常的に用いられていた。
さて、その日本において戦後、サンダル革命が起こる。クッション性に優れるゴム製のビーチサンダルが発明され、レジャーに最適な履き物として米国へ輸出されたのだ。モチーフはもちろん「草履」であった。
Q.サンダルってどんな種類があるの?
A. 鼻緒で足を留めるビーチサンダル、甲を一本のベルトで覆うシャワーサンダル、足首まで固定するスポーツサンダル。レザーストラップを編み込み、つま先とかかとを覆うグルカサンダル。歩きやすさを追求したコンフォートサンダルなど、その姿は用途によって大きく異なる。
一般的に女性用が多いミュールは、かかとのないつっかけ型でヒールがあることが特徴。木靴をルーツに持つサボサンダルは、丸みのあるフォルムと安定感のある履き心地が魅力である。麻縄のソールを特徴とするエスパドリーユは、地中海のリゾートを思わせる軽やかな一足だ。
もともとは暑さをしのぎ、足を守るための簡素な履き物だったサンダルだが、今や海辺のレジャーから街履き、アウトドア、きれいめな装いにまで対応する万能選手へと進化した。構造はシンプルだが、選択肢は奥深い。それこそが、サンダルという定番の面白さなのである。
コンフォートサンダル

ビーチサンダル

サボサンダル

シャワーサンダル

ミュール

スポーツサンダル

エスパドリーユ

グルカサンダル

Q.ビーチサンダルは日本生まれって本当?
A. 前述のとおり本当だが、考案者は米国人の工業デザイナー、レイ・パスティン氏。彼は戦後の復興政策で来日した際、草履の合理性に衝撃を受けて帰ったという。
これをシンプルにし、クッション性のあるゴムで作ったら米国でも売れると考えた同氏は、ビーチサンダルの原案を持って再来日。内外ゴムの生田庄太郎氏と出会い、二人三脚での開発が始まる。
“ビーサン”生みの親はこのお二人

生田氏は戦時に発明した「独立気泡スポンジゴム」の使用を思い立ち、1952年、試作の末に履き心地柔らかな今日のビーチサンダルが完成した。左右が同じ形ではなく足に沿った形状をしていることも、草履からの大きな改良点といえるだろう。
開発当初“ビーサン”には木型があった

Q.ビーチサンダルはどうやって普及したの?
A. 1952年に誕生した世界初のビーチサンダル“ビーチウォーク”は、1956年にはハワイで月10万足を売り上げ、大ヒットを記録した。
時は移って1962年。ブラジルの靴メーカーがビーチサンダルの製造に乗り出す。これが現在世界トップシェアを誇るハワイアナスであり、まずブラジルの庶民層へビーチサンダルを広めることとなる。そしてʼ90年代の半ばにファッション方向へ舵を切ったハワイアナスは、2000年代に入ると、ハリウッドを舞台に仰天の戦略へ打って出る。
アカデミー賞ノミネート者に無料で配り、プライベートで履いてもらうことで、メディアへの露出を拡大。とともに一躍、セレブ御用達アイテムのイメージを築いたのだ。現在は世界60か国以上へ進出。文字どおり世界中へビーチサンダルを広めた。
Q.スポーツサンダルはどうやって生まれたの?
A. グランドキャニオンでリバーガイドを務めていたマーク・サッチャー氏は、ビーチサンダルにアンクルストラップを付けることを思いつく。サンダルが脱げ、川に流されてしまう客が多かったのだ。
脱げにくく、また動きやすいそのサンダルこそ、スポーツサンダルの元祖。当初はバンで売り歩いていたが、1984年に“テバ”を立ち上げ本格展開。大成功を収めた。

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[ビギン2026年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
