十人十色の一生モノ

渋カジの生き証人・中曽根信一さんが40年愛用する一生モノの「ロレックス」を語る

トレンドの最前線に身を置き、日々新たなモノに触れている方でも、当然ながら、長年手放せないモノや、何度もリピート買いしているモノはあるものです。なぜそれを愛し続けてきたのか? 彼ら賢者のコメントから、一生モノを入手するヒントを見つけてくださいませ!

ロレックス ROLEX オイスターパーペチュアル デイトジャスト

渋カジブームの生き証人、中曽根さんに聞く!
愛用歴の最も長い一生モノとは何ですか?

PROFILE
中曽根信一さん

中曽根信一さん

ラブラドールレトリバー代表

70年代に伝説のショップ「バックドロップ」でキャリアをスタート。その後80〜90年代の渋カジブームをど真ん中で牽引したレジェンドです。本誌で「中曽根信一の新しい古着の話」を好評連載中。

華麗な時計遍歴を経て改めて価値に気づく1本

十把一絡げで売られていた古着のジーンズを自分なりに体系化して販売。その後も優れた嗅覚でありとあらゆるアメリカの名品を日本の若者に紹介し、その都度ヒットさせてきた中曽根信一さん。まさに80〜90年代の渋カジブームを巻き起こした張本人的存在です。

そんな目利き中の目利きゆえ、今まで個人的に所有してきた腕時計を伺うと、世の時計好きが涎を垂らして羨む名品がズラリ。

ロレックスだけにしぼっても、サブマリーナのノンデイトに始まり、今や天文学的値段となっている手巻きデイトナのポール・ニューマンダイヤル、さらにサンフランシスコで文字盤にティファニー銘の入ったエクスプローラーⅠを発掘したことをきっかけに、一時期はティファニーとのダブルネームモデルをフルコンプ(!)していたという逸話も、中曽根さんのビギン本誌連載をお読みの方なら、ご承知でしょう。

しかし意外とコレクター気質は薄いようで、現在所有するロレックスは、ティファニーとのダブルネームのエクスプローラーⅠと、取材時にお持ちいただいたデイトジャストのボーイズサイズのみ。このデイトジャスト、SSとゴールドのコンビということもあり、控えめなサイズに比してヴィンテージなオーラがプンプンでした。

気負わずに使える物がずーっと手元に残る

「これはティファニーとのダブルネームモデルを購入する以前の、1986年に購入。ちょうどデイトナのポール・ニューマンダイヤルを飽きて売ってしまった頃で、次はちょっと小さなサイズの時計が欲しかったんです。別にその頃ボーイズサイズの時計が流行っていたわけではなく、単純に、気負わず着用できるロレックスのコンビモデルが欲しいなと」

ロレックス ROLEX オイスターパーペチュアル デイトジャスト

当時、日本で売られているボーイズサイズのデイトジャストは、ギザギザの刻みがついたフルーテッドベゼルと、5連のジュビリーブレスを組み合わせたものが主流。それらは好みじゃなかったようですが、ビームスにいた友人から、ロレックスのジュネーブ本店であれば、好みのベゼルやブレスにカスタムできると聞き、その友人がジュネーブに旅行に行った際に買ってきてもらったそうです。

「黒文字盤のデイトジャストに、フラットベゼルとスポーティな3連ブレスが付いていたらカッコいいなと日々夢想していたところ、そんな話を聞いたものだから、ぜひその仕様で買ってきてくれと。届いたデイトジャストは、まんま自分好みの仕上がりでした。その後もいろんな時計を買いましたが、結局、コイツを一番多く着けてきた気がします。当たり障りがないというか、どんな服やシーンにもスッと馴染むからでしょうね」

コンビモデルのため、同じく長年、中曽根さんの右腕にあるカルティエのゴールドのラブブレスとの相性もばっちりとか。ちなみにラブブレスは、1991年にニューヨークで購入。ラブリングやラブブレスは、今でこそカルティエを代表するジュエリーとして知られますが、当時は認知度が低く、周りでは誰も着けていなかったそうです。

「ネジ留めのため、いったん腕につけたら一人で取り外せないというのが面白いと思ったんですよね。一度、肘の手術の際にカルティエのお店で取り外してもらったこともありますが、腕にない間は身体のバランスが崩れた気がして落ち着きませんでした(笑)。もうボクの身体の一部なんでしょうね」

ボーイズサイズのデイトジャストにしろ、ラブブレスにしろ、誰も目をつけていない頃に手に入れているのが、さすが数々のトレンドを生み出した中曽根さんです。

「ボクがいうのはおかしいかもしれないけれど、流行りのものに興味が向かわないんです。最近は一部のヴィンテージデニムや高級時計の高騰ぶりが凄まじく、それらを資産として購入する方も多いようですが、そういう気持ちも一切ありません。誰かに踊らされている気がしてバカバカしい」

この言葉は、自分の目でこれぞという品を見抜き、常に適正な価格でユーザーに紹介してきた伝説のバイヤーの矜持でしょう。最後に、溺愛するデイトジャストのように、気負わずに付き合える一生モノを手にする秘訣を伺いました。

「ボクの時代が幸運だったのは、ネットがなかったこと。自分でコツコツ情報を集める必要があるけれど、その分、作られた情報に踊らされなかった。ネットは便利ですが、それで完結せず、気になる品があったら街に出て、自分の価値観やライフスタイルと照らし合わせてしっかり見定めた方がいい。愛着ってそういうストーリーから生まれるものだと思います」

40年愛用のデイトジャスト

ロレックス ROLEX オイスターパーペチュアル デイトジャスト

小径だからコンビでも派手に見えない
2026年で40年選手となるロレックスのオイスターパーペチュアル デイトジャスト、径31mmのボーイズサイズで、最近の小径時計のトレンドにもぴったりだ。ハワイの海で遊んでいた時、ベゼルから水が侵入してしまったため、黒文字盤は一度交換済み。以前はもっとマットな黒だったそう。

 
※表示価格は税込み


[ビギン2026年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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