アウトドアの社会課題を解決する服【完成編】/COVEROSS W×HILLS FIELDのチタンテックフリースが完成!

OpenAIがChatGPTを公開して以降、急に身近な存在となったAI。ナノテクノロジー、コールドフュージョン、タイムトラベル……。先端技術が今、実際のところどこまで進んでいるのか、研究者でもない私たちが知る機会はなかなかない。

一方、私たちが毎日着ている「服」も、最近ずいぶん進化しているような気もするが、相変わらず夏は暑く、冬も外へ出たくない。洗濯も面倒だ。しかし、もう少しすると35℃の真夏でも快適にゴルフができて、氷点下でも外出がしたくなる、しかも洗濯不要! そんな服が当たり前になるかもしれない。

そんな“新しい当たり前”を作らんとするブランドが、機能服のテクノロジーを日々前に進め、ファッションだけでなく産業界や行政からも話題を集めている「COVEROSS®(カバロス)」。我々の「衣」がこの先どこに向かって、今はどこまで来ているのか? Beginは密着取材を通してカバロスに聞いてみることにした。今回は番外編その2!

ミライ服共犯者 No.11

ヒルズフィールド やまとさん

1989年、静岡県生まれ。元自動車メーカー勤務。友人のけんいちさんが始めたYouTubeチャンネル「伊豆のぬし釣り」のクリエイターとして人気を博し、2020年にけんいちさんら仲間とともにアウトドアブランド「ヒルズフィールド」を立ち上げ、自身の経験や知見を元にしたキャンプ用品の開発に勤しむ。モットーは「遊び心のある毎日を」!

ミライ服共犯者 No.6

Begin グローバル戦略部 本田純一

2007年に世界文化社へ入社。パズル誌の編集を経てBegin編集部へ移り、現在は雑誌メディアの枠にとらわれず世界へ向けた発信を行うグローバル戦略部に所属。ハップ代表の鈴木さんとは昨年6月に出会い、意気投合。密着連載を進めながら、コラボレーベルの企画・発信に奔走する。座右の銘に「生きるはつなぐ」。

テクノロジーを駆使してさまざまな社会課題の解決を目指す「COVEROSS(カバロス)」とBeginのオリジナルレーベル「COVEROSS W(カバロス ダブル)」が、静岡発の気鋭アウトドアブランド「HILLSFIELD(ヒルズフィールド)」とのコラボレーションを始動した。

商品第一弾の「ICE PACK Tee(アイスパックT)」は、ヒルズフィールドのオンラインサイトでも軒並み完売。そして雪中キャンプのシーズンを迎えたいま、第二弾商品として「TITANIUM TECH FLEECE(チタニウムテックフリース)」をリリースする。

商品開発に込めた想いを、ヒルズフィールドのフロントマンでありYouTubeチャンネル「伊豆のぬし釣り」でもお馴染みのやまとさんに、ともに企画に携わったBegin本田が聞いた。

太陽光を熱に変える
チタニウムテックフリース、完成!

やってきたのは、静岡県三島市に拠点を構えるヒルズフィールドのオフィスにほど近い森。二人が着ているのは、完成したばかりの「チタニウムテックフリース」だ。

ふっくらしてモケモケのパイルは、一見するとフツウのフリース。だが胴回りのフリースには、チタンを練り込んだ特殊なそれが用いられている。

チタンには近赤外線を吸収する性質があり、太陽光を熱に変えることで、体温による保温にプラスアルファした温かさを享受できるのだ。胴回りにのみこれを用いているのは“温かくなりすぎない”ため。上下で黒と黒の微妙なグラデーションが生まれ、いい表情に繋がったのは偶然の収穫だった。

「いまの気温は14℃。今日はロングTシャツの上に着ていますが、これだけでかなり温かくて心地いい。完成してからというもの、外へ出るときにはほぼほぼ着ているんじゃないか?というくらい気に入っています」と、やまとさんも満足げだ。

胴回りの素材は、チタンを練り込んだうえ抗菌・防臭加工を施した、カバロスオリジナルの高機能フリース。金属が練り込まれているといっても、タッチはもこもこ、ふわふわの一般的なフリースと変わらない。チタンには近赤外線を吸収し熱に変える性質があり、太陽光のある環境では、一般的なフリースに比べ最大+10℃以上の温度上昇が確認されている。

「チタニウムテックフリース」はその開発にあたって、8月に開催したトークイベント来場者との“公開商品開発会議”の結果を反映している。

酷暑の中の開催だったが会場は満席に。やまとさん、Begin本田に加え、アウトドアスタイリストの近澤一雅さんをゲストに迎えたスペシャルなイベントは大盛況となった。

東急プラザ原宿「ハラカド」で行ったトークイベントでは、プロトタイプを来場者の皆さんに手にとっていただき、「どうしたらもっといい商品になるか」について意見を募った。誰からも声がなかったらどうしよう……というBeginとヒルズフィールドチームの心配をよそに、来場者からは、

「フードを付けたら?」
「ダブルジップにしてほしい」
「ロゴは目立たないほうがいいのでは?」
「サムホールは付けないの?」
「カイロの入るポケットを付けて」

などさまざまなアイデアが飛び交った。重ね着のしやすさの兼ね合いでフードやサムホールは泣く泣く省略したものの、当日いただいた多くのアイデアが製品に採用されている。

たとえば胸ロゴ。当初はアクセントカラーのイエローを予定していたのだが、完成品はよりシンプルなホワイトに変更。首裏のハンガーループやゲームポケットにはリフレクターを配し、ファッション性を高めつつ夜間の安全にも配慮した。

首裏にはハンガーループがあり、フックに吊り下げることが可能。「新幹線での移動にも便利なはず」とやまとさん。

背面のゲームポケットも、“カイロの入るポケットを”という声から発展したものだ。

カイロを入れるのにうってつけのゲームポケットには、リフレクターのラインを配置。スタイルへアクセントを添えつつ、夜間の安全性に配慮している。

ちなみにこのポケットには、さらなる意外な機能を加えているとやまとさんはいう。

「フリースをこのポケットに畳んで収納できる、パッカブル仕様にしました。さらに枕としても使えるのがミソ。ふわふわのフリース面を上にして寝ると、とても気持ちがいいですよ」。

コンパクトに畳んだフリースは、枕としても使える! 肌触りのよさはいわずもがな♡

テクノロジーと工夫で“兼ねる”を極める

「チタニウムテックフリース」は、3シーズンにわたり快適に着られるフリースを求めて開発を進めた。春や秋、初冬は太陽光の吸収による温熱が生きるアウターとして。真冬は、シェルのインナーとして。イン、アウト双方に着やすいよう、シルエットにはゆとりを設けながらもダブつきのないバランスを追求している。

程よくゆとりのあるシルエットで、アウターとしてもミッドレイヤーとしても着用しやすい。

「雪中キャンプへ行くときにも最高の相棒になるはず」と、やまとさんは自信を語る。

「雪中という響きからは寒そうなイメージが湧きますが、荷物を運んだり雪を掻いて踏み固めたりといった作業をしていると、どんどん暑くなってくるんですね。でも、このくらいの厚みのフリースをミッドレイヤーとして着込んでおけば、シェルを脱がなくても快適に過ごせます。さらに、パッカブルなうえ畳めば枕にもなりますから、最小限の荷物で雪中キャンプに臨めるというわけです」。

両脇のポケットにはメッシュを採用。ジップを開けることでベンチレーションとしても機能する。テントの設営など、汗をかく力仕事にも重宝。

フリースを脱いで寝袋に入ったら夜寒いのでは?と思うかもしれないが、「ダウンの寝袋には、薄着で入ったほうが体温を活かせるので温かかったりします」とやまとさん。フリースを枕に──は理に叶っているというわけだ。カバロス得意の抗菌・防臭加工が施されているのも心強い。

また「チタニウムテックフリース」はアウトドアのみならず、多様なシーンで着られるデザイン性にも注力したとBegin本田は熱を込める。

「ブラック基調のミニマルな顔にしたのは、街使いのしやすさを鑑みてのこと。やまとさんはリフレクターのラインの入れ方ひとつにも相当こだわっていましたね。ディテールの1つ1つに腐心したため、本当は11月にリリース予定だったのが12月になってしまったのは裏話ですが、雪中キャンプシーズンに間に合ったのはよかった(笑)」。

取材の最後に、雪中キャンプに興味のある人へ、やまとさんがその魅力を語ってくれた。

「雪中キャンプは人が少なく、降り積もった雪が音を消してくれるので、周囲がしんと静まり返ります。そんな非日常が、とても心地いい。キャンプ場の明るさにもよりますが、晴れた日の夜は星もキレイです。雪を掘ってテーブルや椅子を作り、そこで焼肉をしてみたり熱燗でお酒を飲んだり──というのも楽しい。現地の食べ物と地酒の組み合わせは、もう最高ですよ。冬は虫もいませんし、キャンプには興味があるけれど虫が苦手という方も、このシーズンにぜひ挑戦していただきたいですね」。

「このフリースを着て雪中キャンプに行くのが楽しみ」というやまとさん。雪山から街まで、3シーズンをまたいで活躍するそのフリースは、日本が大切にしてきたサステナビリティの知恵である“兼ねる”の精神を体現するものだ。毎日の快適な暮らしに、ぜひ役立ていただきたい。

「チタニウムテックフリース」の完成を祝って、そして皆さまの楽しいキャンプライフを願って、恒例の「キャンプあ〜い♡」。

ご近所から雪山まで
その温もりがキモチいい♡

ヒルズフィールド×カバロス ダブルの
チタニウムテックフリース

太陽光などの近赤外線を吸収し熱に変える機能をもつ、チタンを練り込んだ再生ポリエステルフリースを胴回りに使用。プラスアルファの保温機能を加えた、3シーズンに対応するフリースだ。背面にはゲームポケットを備え、カイロを入れてさらなる温かさを得ることも可能。このポケットへ本体を収納できるパッカブル仕様で、“枕”として使うこともできる。製品には抗菌・防臭加工も施しており、匂い対策もバッチリ。街馴染みもいいシンプルフェイスゆえ、アウトドアのみならず日常のお供にもどうぞ。商品をチェックする>>

フリースは、ヒルズフィールドのオフィシャルサイトでも同時発売。その他のアウトドアギアも要チェックだ。

HILLS FIELDオフィシャルサイト
https://www.hills-field.com/


写真/武蔵俊介 文/秦 大輔

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ