二大巨頭「エル・エル・ビーン」「ダニエル&ボブ」から見るトートバッグの歴史

【トートバッグの歴史を変えた二大巨頭を知っておく】
2ハンドルの手提げカバン自体は太古からあったはず。しかし今日イメージされるトートの原型は「ビーントート」であろう。ビギン的に欠かせないダニボブと併せて紹介!
“トートバッグ”のご本尊たる
エル・エル・ビーン

L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
ボート・アンド・トート
1944年、凍結した湖から削り出された氷を運ぶバッグとして「ビーンズ・アイス・キャリア」が誕生したのがルーツ。1965年には、現在の商品名でカタログに再登場。ファッショニスタたちに愛され、トートの象徴として君臨するに至った。約W33 × H30 × D15cm(Mサイズ)。1万1000円(エル・エル・ビーンカスタマーサービスセンター)
重い荷物でもビクともしない底面の三角マチ
元は氷運び用バッグとして生まれたのはあまりに有名

L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
レオン・レオンウッド・ビーンが、自身の狩猟経験から、実用的な「メイン・ハンティング・シューズ(ビーン・ブーツ)」を発明したことに端を発する。カタログ販売で顧客を全米に広げ、飛躍的な成長を遂げた。メイン州の本店は、アウトドアラバーがいつ来ても対応できるように、今もなお24時間営業を続けている。
もっと知っ得コラム
あまりにシンプル、ゆえにタフ!
ボディの生地&ボトムの補強布、持ち手を二重にしたハンドル用のベルトという、たったの4パーツで構築しているボート・アンド・トート。この情報だけを聞くと心もとないような気がしてしまうかもしれないが、自社のテストではなんと500ポンド(約226kg)の荷重にも耐える強度が実証されているというのだから驚き。
本社を置くメイン州の自社工場にて専任の職人が、重厚な24オンスのキャンバス生地を、極太ボンデッドナイロン糸でガッチリ縫製。布地の端のセルビッジまで使い、しつけ縫いや仮止めをすることなく熟練の技で一気に縫い上げることで、強靭な構造を実現している。一切の無駄がないからこそむしろ、壊れにくいということなのだ。
たったの4パーツで構築した一切ムダのないシンプルデザイン
“男のトートバッグ”を広めた
ダニエル&ボブ

Daniel&Bob[ダニエル&ボブ]
クロドーロ ローディ スムース
2007年に誕生し、弊誌で紹介すると大・大・大ヒット。ラフに“男持ち”した男が街に急増した。本商品は、従来より控えめなシワ加工を施した「ローディー スムース」を採用しており、より洗練された面持ちに。ボタンを外して開口部を広げることで荷物の増加に対応できるのも当時と同じだ。W36 × H34 × D20cm。15万1800円(八木通商)
“男持ち”した際に身体に沿ってたわむのがダニボブの醍醐味
一見スマートだけど……こんなに入る!
2007年に登場しビギンと共に一世風靡しました

Daniel&Bob[ダニエル&ボブ]
創業者が友人のために作ったベルトが評判を呼んだことで小さな工房を構えるようになり、次第にコレクションを広げていったという経緯が。日本には2003年に初上陸。“肩掛けくったりレザー”のバッグで、一躍名門ブランドとしての地位を確立した。近年はショルダーや巾着系など、小型バッグも人気を博している。
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ダニボブでしか味わえない絶妙なくったり感
ダニボブ旋風を知る人ならば、唯一無二のシワ感が特徴的な「ローディー」を想起する人は多いだろう。これは、イタリア・サンタクローチェ地区に所在するタンニンレザーのタンナー「モンタナ」との協業で生まれたオリジナルレザー。ダニボブだけが使用することができるエクスクルーシブ&プレミアムな素材でもある。
濡らした革を3人がかりで絞り、2日間乾燥。さらに広げて、2日間乾燥させることで独特のシワ感を表現している。2回にわたる手染めで醸し出された色ムラも、この革の個性。使い込むほどに手に馴染み、深い味わいが生まれていくのも計算づくだ。上記のように、シワ加工控えめな「ローディー スムース」も仲間入りしている。
手絞りでシワ付けすることで独特のシワ感が生まれる
※表示価格は税込み
[ビギン2025年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
