【これ読めばOK】歴史・選び方・NYロゴまで!ベースボールキャップの基礎知識
【ベースボールキャップの歴史はワークウェアから始まった】
ファッションとしてもスポーツギアとしても重宝されるベースボールキャップですが、ルーツを辿れば元は作業着。形を変えて愛され続けてきた歴史を振り返りましょう!
Q.ベースボールキャップってなに?
A. 野球というスポーツの黎明期にあたる1850年代、野球はあくまで労働者たちが仕事あがりに仲間と楽しむ遊びの一つだった。彼らは頭部を保護する目的で被っていた仕事用の帽子を、そのまま野球をするときにも被った。
そのため地域ごと、チームごとにさまざまなスタイルの帽子が存在することとなった。ジョッキー帽、ストローハット、ボーター(カンカン帽の一種)、ニュースボーイ(キャスケットの一種)、エンジニアキャップなどがそうである。
現在のようなベースボールキャップは“ブルックリンスタイル”と呼ばれ、1858年に「ブルックリン・エクセルシオールズ」が初めて被った帽子を原型にしている。
かつて「クーパーズタウン ボールキャップ」が発刊していたカタログ。各球団で複数のバリエーションを用意していたことが分かる。
1895年には、カモのクチバシのようなカタチをしたステッチ入りのバイザーが採用されるなど、現在のベースボールキャップとほぼ同じ仕様となり、1920年代を迎える頃にはこのスタイルが主流となった。
Q.かつて、もうひとつの野球リーグがあったって本当?
A. 時代背景もあり、1920~1960年まで存在したのが黒人選手だけの野球リーグ「ニグロリーグ」。現在、横並びのNYマークが人気だが、ニグロリーグのニューヨーク・ブラックヤンキースのチームロゴである場合が多いとか。
Q.ワーク生まれのキャップをお洒落にしたのは誰?
A. 答えはトム・セレック。「誰? それ?」ではない。かつてはアメリカのセックスシンボルと呼ばれた俳優である。彼ほどキャップをお洒落にしたセレブはいないというのがアメリカでは常識となっている。
ちなみに、中日ドラゴンズを舞台にしたハリウッド映画『ミスター・ベースボール』(1992)では、助っ人外国人選手を演じている。
とはいえ正直なところ、日本では映画『パリ・テキサス』(1984)のなかでジャケットにキャップ姿を披露した俳優のハリー・ディーン・スタントンのほうがお洒落名人の印象は強いかもしれない。
Q.ベースボールキャップはどこを見ればいいの?
A. まず見ておきたいのが構造の違い。ベースボールキャップの構造は、6パネル(6枚はぎ)と8パネル(8枚はぎ)の2つに大別できる。歴史的には6パネルのほうが古く1860年には存在していた。
8パネルは1900年代に登場。はぎの枚数が多い分、より頭の形に近づくためフィット感が高まる。しかし、生産効率などの問題から1940年頃にプロ用としては姿を消している。
また構造以外にも、素材はウールか否か、バイザーは芯入りか否か、アジャスターの有無などを見ておきたい。6パネル+ウール+バイザー芯なし+アジャスターなしなら、それは最もクラシックなモデルといえるだろう。
パネル数の違い
6パネルより8パネルのほうが確かにフィット感は高いが、オールドスタイルの復刻版としてデザインされることが多いため、被りは浅くなりがちになる。
バイザーの違い
クラシカルな雰囲気を求めるなら芯なしを選ぶべきだが、バイザーの形を綺麗に決めて他のスタイリングで遊びたいなら芯ありを選ぶのがオススメだ。
アジャスターの違い
自分でサイズ調整したければアジャスターあり、クラシックな印象を優先するならアジャスターなしを選びたい。後者の場合はサイズに注意して購入すること。
Q.フロントロゴはいつ生まれたの?
A. 初期のベースボールキャップにフロントロゴはなく、帽子の色によってホームとビジターを分けていた。フロントロゴが登場するのは1890年頃、フェルトレターを縫い付ける仕様で、カレッジベースボールのチームが最初に採用した。
するとこれがバカウケ。1890年代半ばにはプロチームの大半が採用するようになった。ちなみにお馴染みのヤンキースのロゴ、デザインは、かのティファニーが考案したもの。
Q.ツバは曲げるべき? 真っ直ぐにすべき?
A. 結論からいえばどちらでもよい。お好み次第。ちなみにストリート系には、ツバはビシッとフラットなまま、バイザーステッカーも貼ったままで被るというスタイルがある。ルーツは貧困層にあった黒人たちが「どうだ! 新品を身につけてるぞ」をアピールしたもの。ブラックカルチャー発信であることは知っておきたい。
もっと知っ得コラム
キャップ通なら知っておきたいNYロゴの変遷
日本で一番人気のNYロゴ。じつはコレ、年代やリーグの違いでさまざまなバリエが存在する。知ればキャップの楽しみが倍増するかも。
ニューヨーク・キューパナス
ニューヨーク・ブラックヤンキース ニグロリーグ
ニューヨークヤンキース メジャーリーグ
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[ビギン2025年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。