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【祝25th】だれもが夢中になるパック界の雄「ミステリーランチ」読本

Mr.Mystery Ranchに訊く
背負い続ける理由
「ヴィンテージ」と「アウトドア」。専門とするフィールドこそ違うものの、ミステリーランチのギアを、深く、長〜く見つめ続けてきた2人のスペシャリストにインタビュー。なぜ愛用し続けるのか。そして他社との違いはどこにあるのか。 その褪せない魅力について、深く、熱〜く語っていただきました。
妥協しない物作りの姿勢にらしさを感じる
「ここの製品は作り手の熱量がヒシヒシと伝わってくるんです」
バックストリート店長 布施喜規さん
古着のメッカとして名高い、東京・町田で2000年に創業し、“アウトドアヴィンテージ”というジャンルを開拓した名店のキーマン。バックパックコレクターとしても著名。/住所:東京都町田市中町1-17-4 町田中町第一ビル2F
あのデイナが手掛けているブランドだけに、当然チェックはしていましたが、実際に店で取り扱い始めたのは、たしか2007年頃からだったと思います。うちはあくまでヴィンテージショップ。ファッション的側面も重要なので、主にアメリカ製の部材にこだわっているところがいいなって。
おそらく縫い手の技量って、ある程度の工場ならどこの国でも変わらないと思うんです。だから、雰囲気を変えるのは部材だと。例えば生地とかジッパーも、同じ会社が作っていたとしても、アメリカ製と他の地域で作られたものだと、やっぱりカバンとして完成したときのオーラが違うように感じます。
USA製のレアなミステリーランチを厳選

すでにヴィンテージとしての価値も秘めている名作モデルたちがズラリと並ぶ様子は、モノ好きならヨダレもの。中古品という特性上、入荷したギアは大幅な修理や補修が必要なケースも珍しくないそうだが、ミステリーランチは、一部の劣化が免れないパーツを除いて、その必要は少ないんだとか。
しかもミステリーランチは、足し算で物作りしていることが伝わる。使い手のことを考えて、作るのに手間がかかったとしても、複雑な構造に設計してますよね。ただその代わり重さは無視してるから、小学生から老人まで背負える製品ではない(笑)。でもだからこそ狭いゾーンにはとてつもなく深く刺さるんじゃないでしょうか。
あとは未だに新しいギアを提案し続けてるのも凄い。一部の名品は「デイナデザイン」時代から受け継いでますけど、しっかり歴史を更新し続けていて、過去の製品を擦り倒さないところは、素直にリスペクトできますね。
なんだかツラツラと褒めちぎっちゃいましたけど、個人的にそういういいところがすべて詰まってるのが「アウトサイダー」。ショルダーみたいなメッセンジャーしかなかったのに、これはバックパックみたいなショルダーという感じ。ワンショルダーなのに背負ってる感じがするというか、フィット感が半端ない。これほど作り手の熱量を感じる製品はそうそうないから、手放せないんですよね。

MYSTERY RANCH[ミステリーランチ]
OUTSIDER(アウトサイダー)
15年以上愛用している布施さんのベスト・オブ・ミステリーランチ。パッドの大きさ、形状、バックルの位置、ジップの曲線美……。すべてに意図を感じる完璧な完成度と大絶賛! すでに廃盤だが同店では稀に入荷することも。
ハードな環境でも信頼。頼りになる山の相棒
「絵に描いたような質実剛健さがすばらしい!」
山岳ライター 高橋庄太郎さん
高校の山岳部で山歩きを始め、出版社勤務を経てフリーランスに。ウェブメディアや山雑誌に連載を持ち、著書に『テント泊登山の基本テクニック』(山と渓谷社)などがある。好きな山域は北アルプスや北海道の知床。
今から15年ほど前だから、ミステリーランチが創業して10年くらいの時期だろうか? 僕はとあるショップで同社の「G5000」というモデルを初めて手に取った。
フロントへ縦に2本つけられた、その独特のポケットのカッコよさったら! バックパック界の伝説、デイナ・グリーソンが手掛けたブランドだとは知っていたが、当時のミステリーランチは今ほど注目されていなかった存在。現物を見る機会は限られていたのだ。
しかし購入はためらわれた。当時の価格はたしか12~13万円。使用生地のタフさや各種パーツの頑丈さから、手に入れてしまえば長年使い続けられることは一目でわかる。だが、なにぶんあまりに高価すぎて、手を出せるレベルではなかったのである。
その後、僕は2014年にミステリーランチ本社へ取材に行く機会に恵まれた。ちょうどそのころ、同社は生産の中心をアメリカからアジアに移動し始め、その結果、製品の多くは以前に比べると格段に買いやすい価格に抑えられるようになりつつあった。
巷には「メイド・イン・USA」に価値を見出す人も多い。だが、取材中の僕は「デザインと試作は今まで通りにアメリカで行って、実際の製品は低賃金で勤勉なアジア人が行って価格を抑えるなんて、じつは理想的なのでは?」などと考えていたのだった。
実際、そのころから僕が所有するミステリーランチの数は激増した。大型~小型のバックパックからアクセサリー類まで含めると、いったいいくつになるのか?
アクセサリー類も旅の必需品

同社はアクセサリー類も充実。僕はレインカバーにフードをプラスした「スーパーフライカバー」や、サブバッグとして「ウィングマン マルチポケット」を愛用し、「ウィングマンAFP」には熊スプレーを入れて持ち歩いている。スーパーフライカバー M(上)/1万4300円(掲載カラーは廃盤)、ウィングマン AFP(中)/4620円、ウィングマン マルチポケット(下)/7700円。
僕がミステリーランチを愛する理由は簡単だ。言葉にすれば“質実剛健”。山という過酷な環境でも簡単に壊れないタフさがあり、信頼して使えるからである。
最近のモデルでとくに気に入っているのは「クーリー 25」だ。ミステリーランチらしいフロントのY字型ジッパーはすばやく開いて使いやすく、フロントとサイドのポケットも絶妙に配置されていて、見た目も実に美しい。これは近年の名作だろう。
もうひとつは「ブリッジャー 55」。このモデルにはY字型ジッパーやフロントの縦型ポケットなど、従来の“わかりやすい”ミステリーランチ風のディテールは少ない。
しかし、Y字型ではないものの、リッドの下には同様にすばやく開くジッパーが設けられていたり、ボトムの荷室へのアクセス部分を左右から閉じるバックルがつけられていたりと、よく見ればやはりミステリーランチ。それでいて耐久性を損なわずに軽量化も考えられていて、まさにこれは同社の最新型バックパックである。
今年の夏、僕は北海道の山々を歩き渡る長期遠征を行った。お供は「ブリッジャー 55」。内部にテント泊装備一式を収め、胸元には熊スプレー。登山道すらない無人の荒野でも信頼して背負うことができたのは言うまでもない。

MYSTERY RANCH[ミステリーランチ]
COULEE 25/BRIDGER 55(クーリー 25/ブリッジャー 55)
発売直後から使い続けている「ブリッジャー 55」は、今年の北海道・知床のテント泊山行(下の写真)でも活躍。日帰り登山で出番が多いのは「クーリー 25」で、フロントからサイドの大型ポケットがお気に入りだ。クーリー 25(廃盤)、ブリッジャー 55/5万3900円(掲載カラーは廃盤)。
