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連載 通ジマン時計

最高峰の夜光塗料「X2」を使った“夜間映え時計”で通ジマンしちゃう?

PANERAI

【時計マニアのあいだではこんな自慢バトルが繰り広げられています】
時計通ってヤツは、スキありゃ所有時計のジマンをネジ込んでくるモノ。こちらもダマって聞き流さず、ソレに負けないユニークピースで迎撃したい。そこで、通も一目置くポイントを備えた注目モデルをご紹介。

夜光塗料スーパールミノバX2自慢也
手首に巻く“ホタル”に誰もが二度見しちゃう!?

口火トーク

えっ? キャンプ場で暗いのにキミの時計だけはなんで光っているんだ?? って。そりゃ、最高峰の夜光塗料X2を使った時計だからね(笑)

いまや未曾有の電化社会。充電が枯渇したならジュースも買えなきゃ電車に乗れない場合も。しかしインフラ整備のお陰で電気は周囲に溢れる状況だ。ただし本格アウトドアは別世界。夜は懐中電灯を用意しておかなきゃトイレにも行けないほど真っ暗だ。

そこをよく知るキャンプ達人の野生時君は時計も通常の夜光塗料式ではなく、デジタル系をキャンプには連れていく。ただしこの手の時計は、ボタンを押すか、傾けないとバックライトが点かない。なのに夜でも異様に明るい、この私の時計に対し、興味シンシン……。

「ソレって随分明るく光るけど、特別な電池式?」。そもそもパネライのルミノールは伊軍由来の潜水時計ゆえ、海中など暗所でも確実に作業できるよう、初期から夜光塗料を文字盤や針に使用する本格機械式。「さらにこの新作は、最高峰の夜光塗料を採用しているのよ。まあ、言うなればレジャー用とミッション部隊用の違いかな?」とジマンできちゃう逸品なのだ。

その最高塗料こそ“スーパールミノバ X2”。スーパールミノバには等級があり、下からスタンダード、グレードA、X1の順に輝度が高い。そして最新X2はX1に較べ、10%もの明るさアップを実現したトップクラスの蓄光力を誇るのだ。

「しかも電池不要の明るさだから、バッテリーの交換はもちろん充電などとも無縁。つまり地球に優しいエコ発光時計ってワケ。穏やかな蛍光グリーンがホタルっぽくてなんだか風流でしょ」と追いジマンまでカマせられるチャンス。

キャンプの前半戦は、とかくテントの設営や食事作りで慌ただしいもの。逆に後半戦となる夜間のまったりタイムこそ、持ち物ジマンを発動させる絶好のシーン。ジンワリ光り輝く高級時計は、ワザとらしくなく会話の端緒になってくれる存在なのだ。

ただし、調子に乗って500m防水とか3日間パワーリザーブまでジマンするとヤリすぎてしまう場合もある。野生時(児)君を本当の闇(病み)に葬りかねないので、くれぐれも注意したい。

相手を闇に葬り去る時計!?

相手を闇に葬り去る時計?

操作しなければ文字盤が光らない電池式のデジタル時計に対し、パネライ ルミノールは美麗なグリーン夜光で優れた時刻視認性を発揮。ライバル時計を寄せ付けない確かな明るさは、リアルな軍用の歴史があればこそ!

【アンティーク時計の夜光塗料事情とは】
リダン(書き換え)の判別はガイガーカウンターで!?

 
ルミノバ等の蓄光式塗料が開発される以前の夜光塗料として、放射性物質である自発光式のラジウム、トリチウムが使われていた。人体に直接触れなければ害はないが、オリジナルか判別するため、ガイガーカウンターを導入し審査をするアンティーク時計ショップもあるという。

クラシカル顔なのにインデックス塗料は最新

PANERAI

PANERAI[パネライ]
ルミノール マリーナ PAM03312

イタリア海軍の要請から生まれた本格的なダイバーズ。リューズプロテクト機構は1955年に特許申請済み。夜光表示も含め視認性の高いデザイン。SSケース、レザーストラップ、径44mm、自動巻き。50気圧防水。132万円(オフィチーネ パネライ)

なんとX1より輝度が10%も向上!!

なんとX1より輝度が10%も向上

PANERAI

シースルーバックからは、ハック機能付きかつ3日間のパワーリザーブを保持する新型のcal.980が鑑賞可能。テンワを両持ちで受けるなど、頑強さとクロノメーター級の精度を兼備。

PANERAI

通ジマン用語解説
 
【夜光塗料】
暗所での視認性を確保するため、1900年代頃から文字盤や針に自発光式のラジウムやトリチウムが使われた。より安全性を求め1990年代からは、ルミノバ等の蓄光塗料が使われている。
 
【スーパールミノバ】
1998年に日本の根本特殊化学とスイス企業の合弁会社により開発された発光量に優れる夜光塗料。輝度に複数のグレードがあり、以前はX1が最上級だった。近年より明るいX2が登場した。
 
【ラジウム、トリチウム】
放出する放射線が蛍光物質を刺激し、発光をもたらす夜光塗料の素材。ラジウム(半減期約1600年)は、より被爆性が高いため1960年頃からはトリチウム(半減期約12年)に代替された。
 
【本当の闇(病み)】
ジマンも過ぎればただのイバリとなる。ホドホドにしないと、聞かされる相手の気分を害してしまい、折角のトークタイムの空気が悪くなるので気を付けて。
 

ハンハルトもX2を採用
鮮烈かつ機能的な「赤」にも注目!

ハンハルトは初のクロノグラフを1938年に開発。赤いプッシュボタンなど、色使いにも個性を持つドイツブランドだ。なかでも1960年代に打ち出した「415ES」は、同社の技術を結集させた傑作クロノグラフ。

通常のタキメーターの他、100分割の赤色目盛りを持ち、作業時間や生産時間の管理もこなせる。このスタイルは新型である415ES Pureにも引き継がれており、最新の夜光表示に加え本格的な多機能クロノグラフとして完成している。

hanhart

hanhart[ハンハルト]
415ES Pure

クロノグラフなど計測機器を得意とするハンハルト。1960年代に製造された「415ES」を現代的にアップグレードさせた新作がこちらのモデルだ。スーパールミノバ X2に加え、耐磁ケースや10気圧防水、それにビンテージ風の小振りケースが特徴。SSケース、レザーストラップ、径39mm、手巻き。60万5000円(ムラキ 時計部)

hanhart

文字盤と針には白色のX2を用い清廉な印象を放つ415ES Pure。一転、暗所では淡いグリーンに強く光り視認性を確保する。昼夜で見え方が変わるところも、本モデルの個性だ。

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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