【ナイジェルケーボンなど】ストーリーが詰まった“唯一無二”の個性派カバン4選
その道を愛する創造主による【独創カバン】
便利と等しく背景も重視した〜い!というロマン派は、機能と一緒に作り手の想いが満載されたカバンにグッとくるはず。ってことで、ここでは我が道を貫く4人の名デザイナーの皆々様に、思いの丈をカタチにした結果、無二の個性を秘めることとなった独創カバンを自ら推していただきました。
「米軍の名作バッグにスイス軍の名作生地をドッキングしました」
MILITARYを愛するナイジェル・ケーボンさん
ナイジェル御大がミリタリーに精通してるなんざ今更説明不要ですが、今作にかける想いはとくに強い!=ミリタリー濃度が超濃イイ!
「定番として展開しているヘルメットバッグに、同じく定番のスイスアーミーの“ごま塩”生地をドッキングさせたら、ユニークな物が作れるんじゃないかと思ったんです」。そう! 今作はいわば米瑞(スイスね)の連合軍!
「ただオリジナルを忠実復刻していた従来のごま塩生地は、少し重たく感じていたので一新することに。コットンの13番手の三子織り糸と10番手の五子織り糸を使い、旧式力織機で限界まで高密度に織り上げることで、荒々しい杢感とハリ感をキープしながら、軽くすることに成功しました」。
なんと1時間でわずか4〜5mしか織れないという特注生地を使った今作。その雄々しさはまさに唯一無二!
左・ナイジェル・ケーボンのパンツ3万8500円(アウターリミッツ)
Nigel Cabourn[ナイジェル・ケーボン]
スイスアーミー ヘルメットバッグ
硫化染めしたオリーブ糸と、反応染めしたベージュ糸という、染色技法の異なる糸で織り上げているおかげで、褪せ方に差が生じ、使い込むほどに渋いいムラ感が。育つヘルメットバッグなんてそそられるでしょ? W44×H45cm。4万9500円(アウターリミッツ)
オリーブ × ベージュのごま塩なんてまぁ洒脱♪
「レトロスポーツマニアが焦がれる名作バッグのヤレ感を再現しました」
VINTAGEを愛する小林 学さん
欧米列強のヴィンテージに精通し、日本のモノ作り力でそれを令和版へと再編集する術に長けたオーベルジュ。今作にもヴィンテージ解析官たる小林さんの御技が炸裂してます。
「着想元は某スポーツブランドが80年代頃に展開していたボストンバッグ。アラ還世代にとっては部活バッグとしてお馴染みなんですが、これが笑っちゃうくらい合皮感があって、水墨画みたいな滲みや色ムラもある(苦笑)。でもそれが逆に面白いと思って、帆布生地に衣替えしつつ、京都の染色職人たちに手作業でムラ染めしてもらうことで、そのヤレ感を再現してもらったんです。おかげで汚れには見えないけど味はある、絶妙な佇まいに! イタリア・トスカーナ州のタンナーがベジタブルタンニン鞣しした牛革とのコンビネーションも想定以上で、男っぽさとアートっぽさを両立できたと自負しています」
左・オーベルジュのカバーオール7万400円(オーベルジュ)
AUBERGE[オーベルジュ]
BOURSE
“程よく収納力はあるリュック以外のバッグ”を目指して、80年代に流行した“ハマトラ(横浜トラディショナルね)”の女子バッグだった巾着に、この手染め帆布 × ベジタンレザーの黄金コンビを投入。う〜ん、渋い! φ約20×H32cm。6万8200円(オーベルジュ)
京都の染色人たちが帆布を手作業でムラ染め
「生地、装備、サイズ感と全方位を釣り目線で設計しています」
FISHINGを愛する三浦健人さん
テンカラ釣りをテーマにした稀有なブランドとして著名な同ブランド。今作にも釣りを愛するディレクター・三浦さんの知見が随所に生かされてます。
「まずメインウェアと同じ、防水透湿性に優れた3レイヤー生地を使っているのがポイント。ただ他にもフロントのループに多様な釣り用具をカラビナなどでフッキングすることができたり、フロントポケットもフライケースや仕掛けなどがバランスよく収納できるサイズに調整したりと、細部まで緻密に設計しています」。と、全方位が釣り目線で仕立てられているんですが、実はこれが副産物的に普段使いにも効果大。
「サイズ感的には街にも適していますし、背中に当たる部分がフラットな形状で、メッセンジャーバッグのように背負えるため、自転車に乗る時も便利。私自身釣りと街、双方で活用しています」
右・サウス2ウエスト8のシャツ3万4100円(サウス2ウエスト8)
SOUTH2 WEST8[サウス2 ウエスト8]
リバートレックバッグ
付属しているゴムのストラップはウエスト部分で固定すればベルトのような役割を果たし、アクティブな動きにもずれずに対応してくれる。独自の3レイヤー防水素材 × 止水ジップで釣りにも◎=当然雨でも余裕♪ W38×H24cm。3万4100円(サウス2ウエスト8)
オリジナルの防水生地は“丈夫で濡れない”の極み
「利便性を考え抜いた結果外ポケ × ネオプレンに行きつきました」
HIGH TECHを愛する山根敏史さん
利に適った構造 × 先端素材で、“機能的かつ都会的”というキャラ像を盤石にしているエフシーイー。前面に6つのポケットが配された独創顔の今作も、デザイナー・山根さん自身が求めた理想のカタチなんだそう。
「ここ数年海外出張が多くて、細かく荷物を仕分けられるバックパックを作りたかったんですが、ある国の軍で採用されていたカスタム可能なモジュラーバッグを見て“コレだ!”と。名刺入れやアイコス、コンデジといったクイックに取り出したいアイテムは、やっぱり外側に収納しておくのが合理的。だから大きさと位置のバランスを考慮して、できるだけ多く備えました。あとは、首に触れるハーネスの内側と背面パッドにネオプレン素材を使っているのもこだわり。フィット感に優れるうえ、ウール地の衣類に引っかからないのも魅力なんです」
右・エフシーイーのベスト4万8400円(エフシーイーフラッグシップストアトウキョウ)
F/CE.[エフシーイー]
420re/corタクティカルBP
メインに用いたリサイクル素材の“コーデュラ re/cor”は、完全別注のもの。極細の420デニール糸を高密度に織り上げており、軽量&耐久性にも優れ、上品な光沢も放つ万能生地。W34×H52×D18cm。3万9600円(エフシーイーフラッグシップストアトウキョウ)
クッション性も抜群でウール地の服も引っかからない
※表示価格は税込み
[ビギン2025年6月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。