“清洲同盟”で実現した史上初!? 蝋引きインディゴ
モダナイズが巧みすぎる軍師に訊いた[ジャパンミリタリーの最前線]
昔カタギのミリタリーをそのまま令和で着こなすのはチと不似合い。巧みなアレンジ力で今にアジャストしたジャパミリこそ着る価値あり! ってことでデザイナーという名の軍師たちに、古さを取っ払うための計略をお聞きしました。
デザイナーという名の軍師に訊きました

ウティ デザイナー
宇多悠也さん
2016年にスタート。フランス語で“道具”を意味するブランド名通り、洋服=道具と考え、主に19世紀末から20世紀前半にかけてのフランスの労働着等をベースにデザイン。
[OUTIL]素材で攻略
ベースにしたのは50年代の英国軍のゴム引き士官コート。「オリジナルはとても重い生地なのでストレスフル。もっととっつきやすい物にモダナイズすべく思い立ったのが、パラフィン加工で撥水性をもたせたインディゴヘリンボーン生地を使う、というアイデアでした」。
ただこれを形にするのは至難の業だったそうで、宇多さんすら思い描いている生地はいち度も目にしたことがなかったそう。どうするパラフィン!?
「誰も作りたがらない理由はいたってシンプル。コーティングする段階で機械が汚れてしまうから。長年付き合いのある加工場や旗屋にオファーし続けることでようやく作成できました。おそらく同様の生地は存在しないはずです」。
不可能を可能にするほどの強固な蜜月関係は、まるで清洲同盟そのもの。家康も仰天の完成度に敬礼!
OUTIL[ウティ]
インディゴヘリンボーンコート
オリジナルの英国軍コートの弱点だった、袖の入りかたや肩の収まりの悪さを解消すべく、立体的なパターンに変更。ポケット位置や衿型など、全方位を見直して徹底的にモダナイズしている。12万1000円(にしのや)
パラフィン加工を施した無二のインディゴヘリンボーン
1561年 徳川家康が織田信長と結んだ軍事同盟
“清洲同盟”
駿河今川氏に従ってきた家康が、20歳を迎え信長と和解し、信長の居城の名をとって結んだ同盟。1582年の本能寺の変まで20年以上続いたが、これが戦国時代としては超異例の長さ。
※表示価格は税込み
[ビギン2024年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。