“鋒矢の陣”を脇に組み快適なラグラン仕様に
モダナイズが巧みすぎる軍師に訊いた[ジャパンミリタリーの最前線]
昔カタギのミリタリーをそのまま令和で着こなすのはチと不似合い。巧みなアレンジ力で今にアジャストしたジャパミリこそ着る価値あり! ってことでデザイナーという名の軍師たちに、古さを取っ払うための計略をお聞きしました。
デザイナーという名の軍師に訊きました

ハバーサック デザイナー
乗秀幸次さん
2001年設立。ミリタリー、ワーク、テーラードという普遍的要素を持つヴィンテージにインスパイアされつつ、原題的なエッセンスを落とし込んで、古さと新しさを両立させる匠。
[HAVERSACK]シルエットの攻略
重厚になりがちなダッフルを軽くて快適に。そんな狙い通りのもの、特集記事で紹介した商品以外(※1)なかなかありませんでした。が、ここにも大胆な計略で実現した薄軽ダッフルを発見!
「超強撚糸を用いて極限まで打ち込んだメルトン素材は、ウォーム感がありますが比較的薄い仕上がり。それを縫い代がゴロつかないよう、裁ち目を重ねて縫っているうえ、どうしても出現してしまうホツレもすべて手作業で除去しています」。
と、“軽くて快適”を担保するため、すでに十分な趣向を凝らしていますが、「ハイライトは脇に大きなマチを設けた一枚袖のラグランスリーブです。腕を動かしても身頃が引っ張られず快適そのもの。Aラインシルエットと相まって今までにないダッフルに仕上げています」。
矢印のような形のマチを設ける策は、まさに鋒矢の陣! お見事!
HAVERSACK[ハバーサック]
ヴィンテージメルトン ダッフルコート
ウールとナイロンを混紡したオリジナルの強撚縮絨メルトンを、カットオフ仕様の軽やかな一枚仕立てで仕上げた新感覚ダッフル。トグルやボタンにはリアルホーンを使用。7万5900円(ハバーサック フラッグシップストア)
可動域を広げる脇下のガゼット
1540年代 武田信玄も仕える山本勘助が生んだ
“鋒矢の陣”
兵法家、山本勘助の進言によって、かの武田信玄が中国から伝わった陣形を日本向けに練り直した、八陣という陣形のひとつ。上矢印のように先頭の隊に重点を置いた、攻撃重視の陣形。
※1 特集記事にて紹介
「“薄軽ダッフル”でいつもを脱する」はこちら
「“趣向で選ぼう”薄軽ダッフル3選」はこちら
※表示価格は税込み
[ビギン2024年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。