特集・連載
肉の旨みを閉じ込めるタークのフライパン“スーパーシェフ”相場さんの一生モノ
とことん使える一生モノ また値上げぇ~!?と、こっちが音を上げてしまいそうな昨今の日本経済……。でもしょげてばかりじゃいられない。モノ好き賢者の成功体験を聞きながら、結局得する「一生モノ」をオールジャンルで紹介します。 この記事は特集・連載「とことん使える一生モノ」#32です。
「ぶ厚い肉はぶ厚いタークでムラなくやさしくジューシーに」
―LIFE オーナーシェフ 相場正一郎さん
初めてこれで肉を焼いたとき、いつもの何倍もおいしくなることに驚きました。鉄塊を職人が叩いて成形するタークのフライパンは、かなり厚みがあって温まりにくいんですけど、一度熱くなるとしっかり蓄熱してくれて肉の旨みをぎゅっと閉じ込めながら中までじっくり火を通すことができるんです。
薄いフライパンの場合、低温の肉によって一度表面が冷まされ、もう一度高温になるまでに肉の旨みが逃げちゃうんだけど、タークだとそれがない。優れた蓄熱性によって肉をのせても温度が下がりにくく、均一においしく美しく仕上がるんですね。
これはかれこれ10年使ってるけどいっこうに壊れる様子がなくて本当に丈夫。聞くところによると、タークの工場があるドイツのルール地方ではサビにくく強度の高い良質な鉄が採れるんだそう。使い始めて一度もサビたことがないのもそのおかげなんだろうな~と思うわけです。
ここ本店にはこの1枚しかありませんがそれで十分。心配になることもありません(笑)。分店では形違いのグリルパンでそのままお料理をお出ししています。熱々のまま置けるようにテーブルには無垢材を選んだりと、もはやターク料理はお店の顔です。
分厚い鉄フライパンゆえパスタパンみたいに振ったりはできないけど、じっくり肉を焼くにはまさに適材。少々重くても、僕に持ち上げる力がある限りは、タークを使って喜んでもらえるイタリアンを作り続けたいと思います。
タークのクラシックフライパン
160年以上前から変わらず、鉄の塊から鍛造によって取っ手まで繋ぎ目なく成形され「100年使える」と謳われるドイツのフライパン。一度温まると優れた蓄熱性を発揮、じっくり焼くことで食材がもつ本来の旨みを引き出す。6号28cm2万8600円(ザッカワークス)
中はしっとりジューシーで外には美しい焼き目が!
じつは料理道具に関する書籍も出してるんです

住所.東京都渋谷区富ヶ谷1-9-19 1F
営業時間.ランチ/11:45~14:30、ディナー/17:30~21:00(ラストオーダー20:30)
定休日.不定休
LIFE オーナーシェフ
相場正一郎さん
惣菜店を営む一家に生まれ10代でイタリアンの道に。20年目になる本店の他4店を運営し、秋は鎌倉に新店を予定する。書籍も多数。
[ビギン2023年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。