特集・連載
“お洒落でお茶目な重鎮ダンディ”和田 健さんの一生モノ3選
とことん使える一生モノ また値上げぇ~!?と、こっちが音を上げてしまいそうな昨今の日本経済……。でもしょげてばかりじゃいられない。モノ好き賢者の成功体験を聞きながら、結局得する「一生モノ」をオールジャンルで紹介します。 この記事は特集・連載「とことん使える一生モノ」#01です。
「王道から少しズレたモノにこそ愛しさを感じてしまうんです」―ネイビードットブルー 代表 和田 健さん
私的な一生モノの一番手として挙げたアロハは、今はなきハワイの「ウイ・マイカイ」のもの。全然人気のないブランドだから知りませんよね?
ヴィンテージアロハはレーヨン生地が人気の中、ここは梨地や平織りのコットンのみですから、マニアからはスルーされてるんですよ。
でも僕は20年前にLAの古着市でここのアロハを偶然見つけたとき、何よりもこの生地に痺れた。コットンだから肌触りが心地よく、発色もどこか優しげ。柄もどこか洗練された大人なムードをたたえているし、以後見かけるたびに買い集め、今では15枚ほど持っています。
そもそも僕は王道から少しズレたものが好きなんです。ベーシックなモノを購入する場合も、どこかヒネリやハズしの要素を求める節がある。
たとえば次に挙げたブルックス ブラザーズの15年モノの紺ブレも、購入時にフロントの金ボタンを3つとも違うデザインで注文。着こなしもレジメンタルタイを合わせる王道のトラッドはせず、スカーフを巻いたり、Tシャツをあわせたりと、フレンチな感じで仕上げることが多いです。
最後に挙げた白のダービー靴も、レンガソールといい、一見アメトラ靴ながら、じつは仏靴の名門ジェイエムウエストン製というのが面白いでしょ?
こうしてラインナップを見渡すと自分の天邪鬼な性格とともに、さりげなく差のつくスタイルを求めて奮闘してきた歴史もわかり、改めて大切にしたいなと感じているところです。
お洒落でお茶目な重鎮ダンディ
ネイビードットブルー 代表
和田 健さん
1980年ベイクルーズ入社。エディフィスなど数々のショップを軌道に乗せるなど辣腕を振るい、2023年退社。現在、新プロジェクトを準備中。
①ウイ・マイカイのヴィンテージアロハ
「いつか復刻したいと思うほどコットンアロハに惚れています」
今はなきハワイのブランドが、60〜70年代にかけて生産したものをコツコツ収集。「ポケットの完璧な柄合わせや裾の手まつりなど、丁寧な仕立てもお気に入り。大抵はショーツと合わせるんですが、チンピラ風にならず、どこかノーブルにまとまるのがいいですね」
②ブルックス ブラザーズのUSA製ブレザー
「こういう王道のブレザーをノンシャランに着るのが和田流」
15年ほど前、日本限定200着で販売された希少なUSA製。「当時イタリア製ジャケットが主流で、久々に王道のボックスシルエットを着たいと購入。とはいえ着こなしはフレンチとするのがマイルール。タイを締めるときも大抵シャルべのプリントタイを選びます」
③ジェイエムウエストン×メゾンキツネのダービーシューズ
「持ってるウエストンの中で一番のお気に入りはコイツ」
白スエードとレンガソールの合わせがいかにもアメトラ靴的だが、じつはウエストンとキツネのコラボ品。2012年に販売されるや一瞬で完売した幻のモデルだ。「オンオフともに似合うので重宝。どこの靴?と聞かれることも多く、履くたびに気分のアガる一足です」
アロハシャツ/ヴィンテージ市場の相場は1万円に満たない程度で、手頃な値段も魅力。
ブレザー/USA製ブレザーは年代によって価格差はあるが、約3〜6万円程度で購入可能。現行の定番、シングルの段返り3釦のマディソンは8万1400円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
シューズ/ウエストンのホワイトバックスは珍しく入手は難しいかも。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。