string(38) "https://www.e-begin.jp/article/388295/"
int(1)
int(1)
  

1891年にフランスで産声を上げたジェイエムウエストン。ローファー界の王道シグニチャーローファー #180をはじめ、創業時より高品質で耐久性に優れたモデルをリリースしてきました。本国ではもちろん日本での人気も根強く、ビギン世代の足元にふさわしい品格を備えています。

今回ご紹介するのは、そんな老舗シューメーカーが2020年から取り組むプロジェクト、ウエストン・ヴィンテージ。自社製品をユーザーから下取りし、それを本国の工場でリペアして販売する。捨てようにも捨てられない、思い入れの深い一足を次世代へ継承するサポートをします。

ちなみに、ウエストン・ヴィンテージの売値は、およそ定価の半額! うまくサイズが合えば、税込13万円以上するローファーが6万円ちょっとでゲットできるってわけ。「リペアの質は?」「どこで買えるの?」など、気になる詳細をジェイエムウエストン ジャパンの後藤さんに伺ってきました。

教えてくれたのは……

ジェイエムウエストン ジャパン コマーシャルマネージャー 後藤 潤さん

2016年に入社。全国各地を飛び回り、現場スタッフの営業をサポート。自宅にあるレザーシューズは20足くらい。「妻も靴をたくさん持っていて。マイホームも収納力を第一優先に建てたんですが、結局お互いのスペースを取り合っています(笑)」

きっかけは本国チームが立ち寄った日本の古着屋

歩んだ道のりを次の世代へ。ウエストン・ヴィンテージが、本国のフランスだけでなく、日本でも進められているのは二つの理由があります。一つ目はヴィンテージ品に対する熱が高いから。このプロジェクトをコアメンバーとして引っ張ってきた後藤さん曰く、本社チームが東京の古着屋のクオリティに感動したのが、プロジェクトが動き出したきっかけ。

「古いものを古いものとして売るのではなくて、価値を高めて販売する日本のヴィンテージマーケットに感銘を受けていました」

ジェイエムウエストンの日本マーケットがフランスに次いで大きいことも、プロジェクトに取り掛かる後押しに。本国では50代前後のパリジャンがメインターゲットであるのに対し、日本では30代〜40代がコア層。シューズはけして安くはない価格ですが20代からの支持も厚く、インスタグラムの投稿写真に添えられるハッシュタグの割合も約40%が日本のユーザーです。

「ウエストン・ヴィンテージでは、役目を終えたシューズをリペアして販売します。なので、価格は定価の約半値。しかも同じモデルなら、どんな素材や状態だとしても値段は一緒。いいものは早い者勝ち。シンデレラになった気分でシューズを探しに来てください!」

もはや新品!?本国のリペアで生まれ変わった名作がズラリ

二つ目の理由は、自社の工場で行うクオリティの高いリペアを活かしたかったから。ジェイエムウエストンはフランスのリモージュにてシューズ製作の全てを担っているだけでなく、世界から寄せられるリペアの依頼も専門のチームを結成して対応しています。

その数は、年間でおよそ1万足以上! 修理する件数が多い分、工場にはリペアの熟練者が揃っており、ウエストン・ヴィンテージで販売するシューズも新品と見間違えるほど美しい。ライニングとソールを新しく蘇らせるだけでなく、クリーニングもしっかりと行われていてメンテナンスが隅々まで行き届いています。

「フランスでは、父親が自分の履いていた当社の革靴を子どもに引き継ぐ文化があるそうです。つまり、リペアをすれば、それだけ長く履き続けられるということ。デザインの美しさだけでなく、高い耐久性も自慢です」と後藤さん。

ヴィンテージ品だからといって侮るなかれ

リペアされたシューズは、フランスのシャンゼリゼ旗艦店及びサントレ店で販売されています。日本で購入できる場所は、伊勢丹新宿店メンズ館1階で開催しているポップアップショップのみ。2021年から年に一度、期間限定で開催されており販売スペースの前はいつも大行列。状態の良いシューズから直ぐに売れていき、日本の直営店で開催するには在庫の確保が難しい状況なんだとか。

実際、昨年開催した2週間限定のポップアップショップでは、約300足が来場者の手中に。5月23日(火)まで開催中のポップアップショップでも、オープン後わずか5日間で約200足が新たな人の足元へ旅立ったんだとか。日本でのヴィンテージ熱の高さは、この結果からも伺えます。

リペアをするシューズは、ブランドの顧客から下取りしたものが中心。大切に履かれたものは、すでに革が柔らかくなっているため、初めから足になじんで歩きやすい。前の持ち主の足型から、自分の足型へ徐々に変わっていく過程も楽しめます。

ただ、ヴィンテージアイテムを販売するためには各種手続きが山ほど。「当社ではこれまでにない取り組み。ゼロからプロジェクトを構築せねばならず大変でした」と後藤さん。

というのも、日本では万引きされた商品や盗まれた物の売買を未然に防ぐために、営業所のある都道府県ごとに都道府県公安委員会から古物商許可を受けなければ中古品の販売をしてはいけないようになっています。ですが、フランスではこうした制約はなく、本国のスタッフに日本のルールを理解してもらうのにもひと苦労。後藤さんも「古物商許可を受けるのに、とにかく時間がかかった。ローンチの日程は決まっていたし、間に合わせるのに必死でした(笑)」と当時を振り返り苦笑い。

定番品から今じゃ買えないお宝モデルまでよりどりみどり♪

やはり店頭人気は定番モデルに集中しています。「ジェイエムウエストンではセールを実施しないのでプライスも含め、これまで購入を悩んでいた方でも手に取ってもらいやすいはず」と後藤さんが紹介してくれたのは、シグニチャーローファー #180とゴルフダービィ #641。

両者ともにジェイエムウエストンの看板モデルとしてマニアの間では有名です。それゆえ下取りに持ち込まれる量も多く、キレイな状態のシューズも集まりやすい。高確率で掘り出し物に出会えます。

隠れた名品も取りこぼしなし

ポップアップショップの店頭に並んでいるのは、日本で下取りしたシューズに加えてフランスで持ち込まれたヴィンテージ品も多く入荷。ウエストン・ヴィンテージプロジェクトでは下取りするモデルを限定していますが、今回のポップアップに向けてレアなモデルも限定入荷。

ラインナップには廃盤になったモデルや国内ではお目にかかれないレアモデルもちらほら。生産数の少ない一足を良心的な価格でゲットできるのも、ウエストン・ヴィンテージの醍醐味です。

後藤さんの推しモデルは、サイドゴアブーツ #705。古くから存在する定番品ですが、ウエストン・ヴィンテージでは希少なモデルのひとつ。写真の一足は履き口のゴム部分も新品に取り替えられており着用感はほとんどありません。「これが定価の半額!?」とビギン取材班もびっくり。

センターの滑らかなクリースラインに惚れ込んでます

直接お店に行かなくてもOK
お得なオンライン下取りサービスを開始

ウエストン・ヴィンテージでリペアするシューズは、ユーザーから下取りした役目を終えたシューズ。しかも、受け付けているシューズの種類は、オールソールが可能であればOKという太っ腹査定! 下取りサービスは誰でも利用でき、傷が付いていたり履きシワの目立つものも基本的に査定してもらえます。

下取り金額は、販売価格と同じでモデルごとに決められており、どんな素材や状態でも値段に差はありません。例えばシグニチャーローファー #180は2万円、ゴルフ #641は2万5000円というように。ユニークなのは、換金がジェイエムウエストンで使えるクーポンだということ。新しい革靴を買い足すために使えます。ゆえに、もし自宅に履いていないジェイエムウエストンがあるなら、下取りサービスを利用するのが吉!  そのまま靴箱に眠らせているのは宝の持ち腐れですよ。下取りサービスはオンラインに加え、ジェイエムウエストン 青山店、丸の内店、心斎橋店の3店舗でも受け付けているそう。

状態によっては下取りできないケースもありますが、その場合はシューケアを施して愛着のある一足がキレイになって戻ってくるんだから利用しない手はなし! 老舗の粋な計らいにブランドへの愛は増すばかり。ユーザーからの要望に応えて今春からオンライン下取りもスタートしているので、全国どこからでもプロジェクトに参加できる環境が整っているんですね。

革靴を次世代につなぐ。利益度外視で取り組むプロジェクト

「ここだけのハナシ、利益はほとんどゼロなんです」と後藤さん。ミーティングでは、「プロジェクトにかかるコストと労力が議題に上がり、一度は日本での下取りサービスを中止する方針が提案されたこともある」と言います。それでも、ジェイエムウエストンがこのプロジェクトを続けるには、「サステナブルなアイテムである革靴を、より多くの方達が楽しんでもらいたい」という強い思いがあったから。

「我々のテーマは伝統と革新。そのビジョンに共感してくれるお客様と一緒に、ジェイエムウエストンの革靴を次世代につなげていきたい。タイムレスに履き続けられる一足で、ファッションを自由に楽しんでもらえたら。持続可能な社会へ向けて、今後もウエストン・ヴィンテージをはじめとしたさまざまな挑戦を続けていきます」

5月23日まで! 年に一度のスペシャルショップ営業中

ジェイエムウエストン ポップアップ
今回で3度目となる人気企画。ウエストン・ヴィンテージのコーナーには、リペアによって息を吹き返したシューズがずらりと並び、定価の約半値で購入可能。ポップアップ限定商品も多数ラインナップする。購入目的でなくても、タイミングがよければレア品や廃盤モデルも拝めるので、ミュージアム感覚で立ち寄るもよし!
※ウエストン・ヴィンテージのアイテムはヴィンテージ品となるため1点ものとなります。

期間:5月3日(水)〜5月23日(火)
場所:伊勢丹新宿店 メンズ館一階 ザ・ステージ
問い合わせ:☎03-6805-1691


※表示価格は税込み


写真/丸益功紀(BOIL) 文/妹尾龍都

特集・連載「SD”SEEDs”」の最新記事

あの「J.M.WESTON」が6万円台⁉「ウエストン・ヴィンテージ」は革靴好きのロマンだ!

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ