大流行のストレッチ服は伸びるのに意外とデリケートって知ってた?
毎日のようにケアが必要な衣類のメンテ=メインは洗濯ってことで、ここでは「洗濯王子」としても名を馳せる中村祐一さんに取材。あまりに身近すぎておざなりになりがちな洗濯&メンテのあれやこれやをお送りします。
じつは…ストレッチ素材の多くは意外とデリケート!
イージーケアとはいえ結構デリケート
カジュアルセットアップやイージーパンツなど、大流行しているポリウレタン混のストレッチ服。イージーケアを謳うものも多いですが、それはウール素材のスーツなどに比べて「自宅で洗濯できる」「シワになりにくい」という点で、ケアが楽だということ。
「ポリウレタンは基本的にゴムと同じ素材で、右に挙げるように意外とデリケートなんです。たとえば水に濡れると伸びるという性質がありますし。また、素材の寿命は3年程度といわれています。私たちを甘やかしてくれる楽チン服ですが、その分こちらからも労って洗濯してあげてください」。
【1】伸びやすい
ポリウレタンはJIS規格でもゴムの一種に分類される素材。それゆえ、よく伸び縮みするが、その分、劣化しやすい。しかも水に濡れている時間が長いほど劣化が進むので、注意が必要だ。
洗うと伸びる
水分を含んだ状態で遠心力をかけると、必要以上に伸びてしまう。ヘンに絡まった場合は簡単に臨界点を超え、戻り切らないことも。
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ネット洗いに
そのような悲劇を防ぐためには、不用意に他の衣服と接触しないよう洗濯ネットに入れるべし。これだけでずいぶんと違う。
【2】紫外線に弱い
ポリウレタンはことさら紫外線への耐性が弱く、直射日光に当たると、ただでさえ長くはない繊維の寿命がより短命になってしまう。
干すなら陰干し
やはり日陰に干したほうが無難。その際はハンガーを2本使う、ピンチで複数箇所留めて吊るすなど、荷重の分散を心がけること。
【3】熱に弱い
ゴムの一種なので熱にも強くない。速乾性があるものの、乾燥機は積極的にはすすめられない。乾燥機を使う場合、終了後にそのまま放置すると変なクセがつく恐れもある。
アイロンは当て布で
アイロンも基本的には避ける。シワには強いのであまり困らないはずだが、どうしてもアイロンを掛けたい場合は当て布をすること。
まとめ
☑洗うときはネット
☑干すときは日陰で立体干しor平干し
☑アイロンは当て布必須
ストレッチ素材のカジュアルセットアップなどは、自宅で洗濯できるといっても、デリケートなお洒落着と同様の扱いをしてあげるべき。具体的には上の3箇条を心がけること。幸いにも乾きが早いので、乾燥機には頼らないことが望ましい。また、下記のNG項目も参照されたし。
【補足】コレは絶対ダメ
漂白剤を使うと酸化が進み、生地が老化してしまう。すなわちポリウレタンならではの弾力が損なわれる。自殺行為に等しいのだ。
繰り返しになるが、ポリウレタンは水に濡れている時間が長いほど劣化が進む(加水分解)。そのため浸け置き洗いも言語道断。
[ 洗濯家 ]
中村祐一さん
メンテナンス達人
家業がクリーニング店だったことから洗濯の奥深さに目覚め、日本初の洗濯アドバイザーとして活躍。メディアへの出演も多数。
[ビギン2018年1月号の記事を再構成]
写真/植野 淳 文/山田純貴 間中美希子 礒村真介 黒澤正人 スタイリング/佐々木 誠