ラグビー王国ニュージーランドと激突! 男女日本代表のビッグチャレンジは必見
ラグビーワールドカップ史上最多タイの優勝3度を誇る世界に冠たるラグビー王国、ニュージーランド。「オールブラックス」の愛称で親しまれるその代表チームが来日し、急ピッチで強化を進めている日本代表と対戦することになった。決戦は10月29日、舞台は国立競技場だ。
長きにわたり世界の頂点に君臨してきたオールブラックスに対し、日本代表は過去6回の対戦で一度も勝ち星がない。初対決は1987年の日本での2連戦で、1戦目は0-74、2戦目は4-106で完敗。1995年のラグビーワールドカップ南アフリカ大会は大会史上最多失点となる17-145で、その後の日本ラグビー界に重くのしかかる歴史的大敗を喫した。なお、ジェイミー・ジョセフ現・日本代表ヘッドコーチはその試合にオールブラックスの一員として出場している(後に日本代表としても活躍した)。
4度目の対戦は2011年のラグビーワールドカップ ニュージーランド大会。ホスト国のオールブラックスに対し、日本代表は1トライを決めたものの7-83と完敗(オールブラックスは大会優勝)。2013年の対戦は6-54(48点差)、2018年の対戦は31―69(38点差)といずれもホームゲームながら大差をつけられた日本代表だが、特に4年前の6戦目は5トライを挙げるなどアタックが機能し、徐々にではあるが戦える力をつけてきた。日本代表としては10月の7度目の対戦でさらにオールブラックスとの差を縮め、チームの現在地を再確認し、自信を深めたうえで来年9月開幕のラグビーワールドカップ フランス大会に臨みたいところだ。

ジョセフ ヘッドコーチは“古巣”オールブラックスと対戦するにあたり、このようにコメントしている。
「オールブラックスを東京に迎えて、日本のファンの皆様の前で対戦できますことを、非常に楽しみにしています。国内でニュージーランドと、ヨーロッパ遠征でイングランドとフランスと、いずれも来年のワールドカップで優勝を狙う3チームと対戦することになり、とてもワクワクしています。このようなレベルの試合こそ、来年のワールドカップに向けたチーム強化のために必要です。
前回2018年のニュージーランド戦では、我々は5トライを挙げたものの、ミスで攻められ、オープンプレーの攻撃にもフラストレーションが溜まり、フルタイムまでに10トライを献上しました。我々は以前よりも良いチームになっており、この秋ベストな状態で試合に臨んで、オールブラックスから勝利を奪いたいと思います」
今年6月から7月にかけては、コンディションの都合により姫野和樹、流大、中村亮土、松島幸太朗といった実績のある選手たちの参加が見送られたが(流大は共同キャプテンに指名されたが、合宿中に途中離脱)、それでも日本代表は7月にフランスと接戦を演じ、若手も含め強化の手応えをつかんだ。今秋は経験値の高い彼らがそこに加わることになる見通しで、日本代表のチーム力はさらに増すだろう。ジョセフ ヘッドコーチも触れているように、オールブラックス戦のみならず、11月の敵地でのイングランド戦、フランス戦も日本代表の真価が問われる試合となる。
一方、オールブラックスは今年7月のアイルランドとの3連戦で1勝2敗と負け越し、現在開催中の南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」でも南アフリカ、アルゼンチンに敗れ2勝2敗(第4節終了時点)と本調子とは言えない状態が続いている。もちろん日本代表が簡単に勝てる相手ではないものの、歴史的金星を狙うには絶好の機会と言えるだろう。

なお、今年10月にラグビーワールドカップ ニュージーランド大会を控えた15人制女子日本代表も、大会開幕前の9月24日(土)に女子ニュージーランド代表「ブラックファーンズ」と敵地で対戦する。会場は同国ラグビー界の聖地、イーデンパークだ。
男女揃ってニュージーランドに立ち向かう日本代表のパフォーマンスから目が離せない。
齋藤龍太郎
《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。
文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)