特集・連載
アメ横時代からシップス一筋50年 雨宮教夫さんの一生モノ3選
結局得する「一生モノ」 うまい棒に牛丼、電気代まで値上がりだって!? どうする?どうなる?日本経済、ぼくらの未来。Beginが愛するベーシックな服や靴や小物を見ても、値上がりこそすれ、値下がる気配はありません……。こんな時代に誰がした? 否、こんな時代だからこそ!せっかく買うなら、ず~っと使えて、長~く愛せるモノこそ絶対正義! この記事は特集・連載「結局得する「一生モノ」」#05です。
「作り手の“想い”が伝わるものを、やっぱり愛でているんですね」―シップス 雨宮教夫さん
青い色みに惹かれ、1970年代からターコイズのインディアンジュエリーを身に着けるようになりました。遠ざかっていた頃もあるけれど、15年前くらいからまた熱が上がり始めましてね。
ドレスのフロアに立つときも、ネクタイと一緒に身に着けちゃう。それでいろいろ見るうちに大好きになったのが、ダリル・ディーン・ビゲイというナバホ族のアーティスト。今日着けているバングルは、ポップアップで来日した際、手持ちのターコイズを彼にお渡しして作って頂いたものです。
オーダーに課したお題は自由。アーティストを相手にあまり自分の意見をいうのもナンセンスと思いましてね。すると完成したバングルには、2匹の鯉が躍っていた。ナバホ族のアーティストの作品がまさか鯉モチーフとは驚きましたが、一目見て気に入りました。僕の宝物。正真正銘の一生モノですね。
僕はこういう作り手の想いが感じられるものが好き。革へ細かくカービングが施されたザ・トレス・アウトローズのウエスタンブーツもそうで、細工のレベルがそこらのそれとはまるで違います。パーティなんかの特別な日に身に着けると、気分がアガりますね。
それから、懐中時計はプライベートな一生モノ。会ったことのないおじいちゃんから3代にわたり受け継がれているもので、オーバーホールには一度も出していませんが、今でも普通に動きます。ブランドは“トップシー”って書いてあるんだけど、見たことも聞いたこともないのはご愛敬です(笑)。
アメ横時代からシップス一筋50年
シップス 銀座店
雨宮教夫さん(68)
前身であるアメ横の三浦商店でアルバイトを始めてから、50年弱にわたりシップス一筋。多くの顧客、後輩に慕われるレジェンドスタッフだ。インディアンジュエリー、ターコイズをこよなく愛し、石だけでも約300個を所有。
No.1[6年愛用]ダリル・ディーン・ビゲイ作 オーダーターコイズバングル
「まさかの“鯉”モチーフ。一目見て気に入りました」
Darryl Dean Begay[ダリル・ディーン・ビゲイ]
オーダーターコイズバングル
トゥファキャスト(鋳造)の名手に、手持ちのターコイズを渡してオーダー。「彼は先住民の有名なアートショー『インディアンマーケット』で、2008年のベストに選出された人物。柄の細かな彼の作風が大好きです。ちなみに、本当はダリルでなくダローと言うんだそう」
No.2[9年愛用]ザ・トレス・アウトローズのウエスタンブーツ
「カービングのレベルが違う。もはやアートです」
The Tres Outlaws[ザ・トレス・アウトローズ]
ウエスタンブーツ
かつて神宮前にあったルグローブの閉店に伴い購入した、テキサスはエルパソのブランドのブーツ。「手彫りの細かさ、美しさに惚れて買いました。靴だけどもはやアートですね。パーティとか撮影とか、特別な何かがあるときに、スーツと合わせて履いています」
No.3[100年愛用!?]トップシーのアンティーク懐中時計
「スリーピースの装いのいいアクセントになります」
Antique TOPSY
トップシーのアンティーク懐中時計
「七兵衛という名前しか知らない父方の祖父から父へ、僕へと3代受け継いだ時計。おそらく100年くらい前のものじゃないでしょうか」という金時計は、今も現役。スーツのベストに合わせて使っているとか。「飾りみたいなもんだし、動けばそれでいいかな」と雨宮さん。
バングル/シップスで催されるポップアップイベント(10月開催予定)にてオーダーできるほか、既成品を購入可能。既成品はターコイズ付きバングルで20万6800円~(シップス 銀座店)
ブーツ/現在日本での取り扱いは確認できず。
懐中時計/ググっても真偽不明情報しか出てこない幻のブランド「TOPSY」。誰か知ってる?
手放しちゃってとほほ……
リーバイスのコーデュロイ Gジャン“サード”タイプ
モノは捨てない主義。でもあげちゃったのが、スナップボタンのサード型。「金茶の珍しいのでね。仲間が故郷に戻るときにあげたけど、以来、このタイプのには出会えないなぁ」。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。