特集・連載
「世界のカモシタ」の異名をとるウェルドレッサー 鴨志田康人さんの一生モノ3選
結局得する「一生モノ」 うまい棒に牛丼、電気代まで値上がりだって!? どうする?どうなる?日本経済、ぼくらの未来。Beginが愛するベーシックな服や靴や小物を見ても、値上がりこそすれ、値下がる気配はありません……。こんな時代に誰がした? 否、こんな時代だからこそ!せっかく買うなら、ず~っと使えて、長~く愛せるモノこそ絶対正義! この記事は特集・連載「結局得する「一生モノ」」#03です。
「一生モノとは、自身のスタイルを構成するうえで欠かせないもの」―クリエイティブアドバイザー 鴨志田康人さん
目をつぶっていても綺麗にパッキングできるくらい使い倒してきたのがこのリモワ。最近のスーツケースと比べたらシンプルな作りですが、今も現役バリバリで使っています。じつは使い勝手もなかなかいいんですよ。
とくにこの時代のリモワは内側の張り出しが少なく、荷物をぎっしり詰め込めるのが嬉しい。でも一番の魅力は、傷や凹みすら味わいに変えてくれるアルミの素材感ですね。この風格は、ソフトなケース素材には真似できないものでしょう。
名作ゆえに空港でカブりがちなところが難点ですが、こんなふうに旅先で入手したステッカーをペタペタ貼っていればターンテーブルに出てきたときにすぐ発見できます。このステッカーは自分にとっては旅のアルバムみたいなもので、数が増えるたび愛おしさが増していく気がします。
愛おしいといえば、ミラノで買ったカルティエのタンクもそう。華奢な数字がプラチナケースとマッチしていて眺めるたびにニヤニヤしてしまう(笑)。
フォーマルはもちろん、たとえばTシャツ一枚のときにもこれを着けることでエレガントに見せられるのも気に入っています。ボクのスタイルを構成するうえで欠かせない時計ですね。
最後に紹介するジョンロブは、自分の結婚式の際に買ったもの。エッグトウの綺麗さに定評のあるジョンロブですが、その美点が最も表れた一足ではないでしょうか。また、この時代のロブは革質も作りも最高なんです。これからも大切に履き続けたいですね。
「世界のカモシタ」の異名をとるウェルドレッサー
クリエイティブアドバイザー
鴨志田康人さん(64)
ビームスを経てユナイテッドアローズの設立に参画。長年クリエイティブディレクターとして活躍し、2018年より現職に。08年からは自身のブランド「カモシタ」を展開。現在はポール・スチュアートの日本におけるディレクターも務める。
No.1[25年愛用]リモワのスーツケース
「簡素だけど頼りになるじつにドイツらしいトロリー」
RIMOWA[リモワ]
スーツケース
ご存じアルミ製スーツケースの傑作。鴨志田さん愛用モデルは、テレスコープハンドルを持たない旧型だ。随所のステッカーには、ドイツ・ベルリンが東西に分裂していた時代の国境検問所のものも! 「いろんな旅の思い出が詰まっていて、手放せません」
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No.2[10年愛用]1970年代 カルティエのタンク プラチナ
「どんな格好もシックにまとめてくれるオーラあり」
Vintage Cartier
1970年代 カルティエのタンク プラチナ
知り合いのイタリア人で時計マニアの紹介で訪れたミラノのアンティーク時計店にて、約70万円で購入したそう。「タンクには珍しいプラチナケースもさることながら、華奢なローマ数字のインデックスが雰囲気よくて一目惚れ。孫子の代まで大事にしたい時計です」
No.3[30年愛用]ジョンロブのガルニエⅡ
「革質も素晴らしいエッグトウの最高傑作」
John Lobb[ジョンロブ]
ガルニエⅡ
名門を代表する内羽根&プレーントウのフォーマルシューズ。鴨志田さんのものは靴紐がグログランリボンのため、よりドレッシーな趣だ。「木型がとにかく美しい。ドレスシューズとして完璧な形だと思います。小ぶりのヒールカップはフィット感も最高です!」
トロリー/現行で近しいモデルのチェックインMは17万1600円(リモワ クライアントサービス)
時計/かなりレアだという鴨志田さんと同年代のタンク プラチナは500~600万円程度(江口時計店)
靴/ジョンロブのガルニエⅡは店頭展開は終了しているが、オーダーは可能。33万6600円(ジョン ロブ ジャパン)
手放しちゃってとほほ……
スカーフ柄のエルメスのネクタイ
80年代に好んで着けていたエルメスのタイだが、ある日突然ダサく感じて同僚に譲ってしまったそう。「今あればかなり小粋なアクセントになるのに……」と後悔しきりのご様子。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。