特集・連載
男服の一大オリジン産地はこの軍隊。やっぱり米軍が最強!
名作オリジン探訪 ヴィンテージ界には、さまざまなブランドから元ネタとして寵愛されている、男服の“オリジン”が存在します。そのどれもが玄人筋から“わかってるねぇ”のお墨付きが得られる名作ばかり。ですが、ここではさらにU-3万円というリアルプライスで買える、優良元ネタ服を一挙にご紹介。安くてウマいオリジンをご賞味あれ〜。 この記事は特集・連載「名作オリジン探訪」#02です。
ミリタリー界には元ネタにされる名品がゴロゴロ転がってますが、そのなかでダントツで人気が高いのは、やっぱり米軍モノ。シャツもニットもパンツもコスられるコスられる(苦笑)。にもかかわらず、流通量の多さからか、安価で入手しやすいのが美味しいとこ。軍由来の個性派ディテールで玄人感をアピってくれる名品、集めました。
A-1セーター
ここがオリジン[Vネック&タイトフィット]
数ある軍用ニットのなかで屈指の元ネタ率を誇るのが、26年から44年頃まで米国陸軍航空隊に採用されていたウールニット。特徴はタイドアップした際に衿元をしっかり見せられるV字ネックと、インナー使いも◎なタイトシルエット。
もともとは航空機などを整備するメカニックのために開発されたものだったが、この2つの意匠に加え、折り返してフィット感を高められる袖リブなどの仕様も大ウケして、パイロットにも寵愛されることになったそうな。
今では上質ウールに衣替えして、キレイめに転生させるブランドも多数。相場価格は2万5000円前後。
着もたれしないタイト設計がウマい!
M-43 シャンブレーシャツ
ここがオリジン[青ボタン]
白ボタンを備えたワークシャンブレーに対し、海を思わせる青ボタンを備えているのがミリタリーシャンブレーの特徴。とくに43年に米軍に採用されたM-1943は、その最定番に位置付けられ、元ネタにされてきた回数は数えきれず。
青色の尿素樹脂ボタンや三角マチをはじめ、玄人好みな仕様が凝縮されている。ヴィンテージ界でも流通量は減少の一途。ゆったり着られる大きめサイズともなれば、見つけたら即買いが鉄則! 相場価格は2万5000円前後。
海を連想させる同一色ボタンがウマい!
M-65パーカ ライナー&M-65フィールドジャケットライナー
ここがオリジン[キルトステッチ]
左/M-65パーカ ライナー 右/M-65フィールドジャケットライナー
ここ数年の間で大ブレイクし、サンプリングするブランドも急激に増えているのが、傑作アウターM-65パーカ及びフィールドジャケットのために開発された着脱式ライナー。やっぱり一番のウマ味は、ひと目でそれとわかるこのユニークなキルトステッチ!
これは中綿が偏りにくいようにと考案されたもの。で、実は2種類あるって知ってた? 長丈のパーカにはタテ向きのひょうたん型が、短丈のフィールドジャケットにはヨコ向きの玉ねぎ型が配されてるけど、どうやらこれは生地の取り都合によって変えているという説が有力だそうな。
名作の陰にウンチクあり、こういう知識欲を満たしてくれる語れる要素も、通には響くんだよね~。相場価格はどちらも5000円前後。
波々独特キルティングがウマい!
ベイカーパンツ
ここがオリジン[軍パンらしからぬシンプル意匠]
パン職人にも着用されるようなオールマイティ設計がウマい!
ミリタリーの背景を感じ取れないほどベーシックな顔つきから、これまで星の数ほど多くのブランドから元ネタにされてきた、キング・オブ・オリジン軍パン。
一般的には作業用パンツとして認識されているが、実は傑作ジャングルファティーグパンツの前身的モデルで、入隊後の訓練から熱帯戦まで幅広く使われていた、れっきとした戦用パンツだったそうな。
正式名称は“OG-107 コットンサテン ユーティリティ トラウザーズ”だけど、パン職人が穿いていたパンツとデザインが酷似していたことから、“ベイカー”の愛称で親しまれることになったとか。ジーンズやチノに勝るとも劣らない汎用性の高さは、トレンドに関係なくいつの時代でも激ウマ! 相場価格は8000円前後。
ブーニーハット
ここがオリジン[ブランチループ]
ベトナム戦争時に野戦用作業帽子として支給された、通称ブーニーハット。広めのツバが日除けにもってこいじゃん!ということで、これまでに数多くのアウトドアブランドから元ネタにされてきた。
ただのツバ広帽子との違いは、ぐるりと備えられたブランチループ。これは枝や葉っぱなどを挿してカモフラージュできるように考案された、ミリタリー濃度の高~いディテール。軍用というロマンをさりげな〜く主張できるってとこが、通に刺さるポイントかも。相場価格は6000円前後。
ステルスアクション由来というロマンがウマい!
※相場価格は編集部調べです。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年7月号の記事を再構成]文/黒澤正人 イラスト/TOMOYA