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雨傘 長傘 UNNURELLA LONG 65

業界を牽引してきた大阪の雨具メーカー「ワールドパーティー」。2015年に最高クラスの撥水性を持つ傘「アンヌレラ」をリリースしますが、次々に類似商品が出回る事態に直面します。発起人の角谷 圭一朗さんはこのピンチをチャンスと捉え、類似商品の追随ではなく、さらなる利便性と進化を追求することを決意。傘業界が今まで大きな課題として残してきた「撥水の持続」の実現に向け動き出します。第一弾から開発協力を依頼している世界屈指のファブリックメーカー「小松マテーレ」に再度相談を持ちかけました。

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今回のビギニン

ワールドパーティー 角谷 圭一朗
ワールドパーティー 角谷 圭一朗

1984年生まれ。和歌山県出身。福岡で染め物の見習い職人として経験を積んだ後、2009年に入社。現在は同社の執行役員兼営業本部長として商品企画から広告戦略、販売まで幅広い分野を統括している。平日は大阪と東京を行き来する生活、休日は趣味のフットサルで汗を流すのが定番。

struggle:
THE世界仰天! 超耐久撥水加工を傘に

ワールドパーティー 角谷 圭一朗

新生「アンヌレラ」の一番の特徴は撥水性の持続力。最初の発売から6年間、何度何度もアップデートを重ねた結果ようやく獲得した日本一の機能です。

「『もうちょっと、もうちょっとだけでもいいので耐久性をあげることはできないですか?』なんて、小松マテーレさんにお願いして、アンヌレラは発売以来ずっと地道にアップデートを重ねてきました。でも、撥水性の持続力を確認する試験って結構手間がかかるんですよね。きっと、嫌がっていただろうと思います(笑)」

小松マテーレと二人三脚で開発を進めていた角谷さん。ある日、工場側から提案された「ゴルフウェアなどに使っている撥水加工を傘に応用してみてはどうでしょう。」というアイデアに突破口を見出します。そして、その加工こそが現在アンヌレラの魅力を最大限に引き上げている「ダントツ撥水」。小松マテーレが生んだ優れた撥水性と高い耐久性を誇る超耐久撥水加工技術です。他の撥水加工と比べて、いったい何がそんなに特別なのでしょう。

ダントツ撥水の仕組み

まず、「ダントツ撥水」が施された生地は水滴との接触角が鈍角になります。難しいメカニズムは割愛しますが、それすなわち接触面積が小さくなり水滴が表面を伝って転がりやすくなるということ。撥水性は評価基準最高ランクの5等級を記録しています。

撥水耐久力の試験結果

撥水性能も低下しづらく、1回5分の家庭洗濯を100回繰り返しても生地は3等級の撥水性をキープ。通常の加工技術であれば100回以降は効果がなくなるところ、「ダントツ撥水」は200回洗っても撥水機能は持続します。これは世界的に見ても最高クラスの撥水耐久力で、有名アウトドアウェアメーカーからも熱視線。ちなみにこの洗濯試験、200回洗って効果を測定するのに、およそ3ヶ月もかかります。

ダントツ撥水の加工工程

また「ダントツ撥水」は「PFOAフリー」の加工剤を用いている点においても注目を集める技術。「PFOA」は従来の撥水加工に用いられてきたフッ素系加工剤(C8タイプ)の構成成分で、米国の環境省により毒性を出現させる環境安全上の懸念材料として現状使用が禁止されています。つまり、「ダントツ撥水」は地球にも人にも都合のいい画期的な加工技術というワケです。

「ダントツ撥水」の技術を使った傘はこの世界に「アンヌレラ」だけ。というのも、本来ウェアに使用している加工技術を傘に応用するには溶剤の配合を変えなければならず、生産が一筋縄ではいかないため。開発中は生地の厚みや溶剤の組み合わせを何パターンもテストし、最適な素材になるよう試行錯誤の日々だったんだそう。つまり「アンヌレラ」は、生地も他とは違うスペシャル仕様なんです。

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「生地に関しても小松マテーレとの共同開発です。ポリエステル100%の細い糸で、通常の傘よりも高密度にキュッと詰めて織っています。それゆえ生地自体も撥水性を獲得しているんです。溶剤との相性を確認するためテストには何度も立ち会いましたし、実際にいくつかパターンか試しては工場にサンプルを送って要望を伝えました。すると工場の方でも生地の研究を進めてくれていたりして。二人三脚で完成までこぎつけた自慢の撥水加工生地に仕上がりました。」

「ナイロンの傘も多いですが、素材が温度によって伸縮し傘の骨に負担がかかるため、アンヌレラでは採用しませんでした。」と角谷さん。2021年2月ようやく熱意と努力が実り「いくら差しても濡れない傘」が完成します。

reach:
いくら差しても濡れない傘

雨傘 折りたたみ傘 UNNURELLA MINI 60 HANDOPEN / AUTOMATIC

超耐久撥水力を持った新生「アンヌレラ」は、撥水機能が高いだけでなく使い勝手も抜かりなく素晴らしい出来。生地は薄くて軽量、紫外線を90%カットするため猛暑日には日傘としても活躍します。また傘の骨には柔軟性の高いカーボンファイバーやグラスファイバーを使用。強風が吹いても安心感があります。

「2016年くらいに香港で活動するユーチューバーが動画内でアンヌレラの撥水実験をしてくれたんです。元々ある程度認知度はあったんですが、それをきっかけに国内だけでなくアジア各国にアンヌレラのファンが増えたんです。この新生アンヌレラもぜひ、世界中の人たちに試してもらいたいです。使ってもらったら絶対満足してもらえる自信があります。」

かくいうわたし(筆者)もアンヌレラのファンの1人。憂鬱だった雨の日の外出も、傘が濡れないだけで随分と快適になりました。「うっかりハンカチを忘れてしまった!」なんて日でも、スマホや本を濡れた手で触らずに済んでいます。カラバリも豊富なので、ギフトにもオススメ。ビニール傘で過ごしていた毎日が今となっては懐かしい。もう、戻れません(笑)。

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さて前半でもお伝えしましたが、ダントツ撥水を施したアンヌレラといえど撥水性は永遠ではありません。ただ手入れをすればより長くその撥水効果を実感することができます。そこで、角谷さんにそのケア方法を伝授してもらいました。ポイントは、針のような構造をしている撥水剤をドライヤーで復活させること。

「傘のメンテナンスは、1ヶ月に1回程度で構いません。まずは浴室などでシャワーを使って傘全体に水をかけて汚れを洗い流してください。次に一度陰干し。直射日光は厳禁です。十分乾いたら10cmくらい生地から離してドライヤーで熱を加えます。撥水剤って細かい針のような形をしていて、雨に濡れることでその針が寝ちゃうんです。そうなると、水滴の転がりが悪くなり撥水性が失われていきます。髪の毛を乾かすように、ドライアーの熱でその針を立たせてあげるイメージです。このメンテナンスをすれば、かなりの期間、十分な効果を実感できながら普通に使えます。」

ワールドパーティー 角谷 圭一朗

傘の起源をたどると、古代エジプトでは王様の威光のシンボルとして使用されていたと当時の壁画から確認できるんだそう。日本でも神事や祭事に重要な道具として用いられる神秘的な存在と捉えられてきた経緯があります。話がやや逸れてしまいましたが、環境のことを考えると現代を生きる我々も、使い捨ての傘を使うのではなくお気に入りの一本を長く使っていきたいものですよね。最後に角谷さんに、今後の展望をお伺いしました。

「アンヌレラとしては、この生地をバッグや服に積極的に応用する予定はありません。それよりも、いろんな人に今のプロダクトを知ってもらいたいんです。たとえば風に強いアンヌレラとか、軽量なアンヌレラとか。そういったアンヌレラ自身の良さを知ってもらうような商品展開を今後はしていきたいと思っています。」

角谷さんの言葉から察するに、今後もアンヌレラの可能性はどんどん広がっていきそうです。濡れない傘の使い勝手の良さと衝撃、あなたも味わってみてはいかがでしょう。

雨傘 長傘 UNNURELLA LONG 65
業界屈指の耐久性を誇る撥水力が魅力の傘。一般的な傘に比べ効果は倍以上も継続、雨粒を長い間キレイに振り払うことができる。加えて紫外線遮蔽率も90%をマーク。猛暑日の日傘としても使用可能だ。持ち手は片手で開くジャンプ仕様で、持ち手の先には机などに引っ掛けやすいよう滑り止め加工が施されている。汚れや摩擦からボディを守れる、ファスナーケース付き。450g。4840円(税込)

 

雨傘 折りたたみ傘 UNNURELLA MINI 60 HANDOPEN / AUTOMATIC
先に紹介した長傘の折りたたみバージョン。ボタン1つで傘が開閉できる自動式と、手開き式の2種類を展開。軽量化を図るため自動式は傘の骨が5本に変更されている。豊富なカラバリも魅力でギフトにも最適だ。側面が大きく開く傘を収納しやすいジップケース付き。自動式280g。5500円(税込)。手開き式220g。4620円(税込)

(問)ワールドパーティー
https://unnurella.jp/index.html


写真/穂苅麻衣 文/妹尾龍都

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