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日本全国、焼き物の産地で開催されている陶器市。人気商品の販売のほか、お値打ち品から市場に出回らない実験作まで、マニアでなくても参加してみたくなる焼き物のお祭りです。そんな陶器市、今オンライン上で楽しめるってご存じですか?

地域共創型オンラインストア・エンニチが開催中の「オンライン陶器市 2020秋」。単品買いより20%前後お得になる「5000円セット市」や期間限定の割引商品を取り揃えた「今週の目玉商品」など、エンニチだけの企画が盛りだくさん! 今回は、有田焼・波佐見焼・美濃焼・小石原焼を取り揃え、通常では一度に回ることのできない4大産地の焼き物をまとめてチェックできるのです。

ただ……膨大な商品の中から好みのモノを探すのは、焼き物ビギナーにはヤヤ難しそう。

というワケで、ビギンが取材し、【欲しい器】をセレクトしました!  窯元から商社まで、全7社をピックアップ。“作り手から直接買える”という陶器市ならではの醍醐味をしっかりお届けします。日本全国、みんなの毎日が“笑ん日”になりますように。

第7回にご紹介するのは、波佐見の地で異彩を放つ老舗窯元。“陶器”を作るその工房にお邪魔してきました。「欲しい器」連載も、これにてフィナーレ! ぜひ最後までご注目くださ〜い!!

【波佐見焼】利左エ門窯

専務取締役 武村博昭氏

今更ですが…みなさん「磁器」と「陶器」の違いってご存じですか? 簡単に説明すると、原料に違いがあるんですね。磁器が岩石なのに対して陶器は土。そんなワケで、当然焼き上がりも異なります。例えば波佐見焼の場合、“ツルッ”とした磁器のイメージが強いですよね。

ただし、今回ご紹介する利左エ門窯の主軸は陶器。その“何故”と“魅力”を解明すべく、ビギンは工房へ。デザイン担当の武村さんが取材に応じてくれました!

100字でわかる【波佐見焼】


1580年頃に長崎県波佐見町で生産が始まった陶磁器。長期にわたり有田焼として販売されていた歴史を持つ。代表作は唐草模様が特徴の日常食器“くらわんか碗”。若者の人気が高く、大手アパレル会社からも注目されている。


1968年に誕生した利左エ門窯。江戸時代中期に藩窯業を担っていた初代の名前から名付けられました。波佐見焼発祥の地、稗木場に工房を構えています。


代表取締役 武村裕宣氏
13代目当主は博昭さんの実兄。経営面で工房を支えている。器の焼成セクションも担当。

次男である博昭さん。家業はお兄さんに任せ、一度は別の道に進むことも考えました。しかしながら進学した京都の大学で、陶芸の魅力に改めて気付かされることに。利左エ門窯が陶器をメインに作り始めたのは自身の影響が大きいと、学生時代を振り返られます。

「京都の職人技術と器の美しさに圧倒されましたね。この技術を持ち帰り波佐見風にアレンジして、モノ作りをしたいと思ったんです。土のブレンド方法など、夢中になって勉強しました」

型の種類は数千に及びます。陶器の原料である粘土もさまざまな地域からピックアップ。それから何種類もの粘土を独自の配合で混ぜ合わせ、作りたい陶器のイメージに近づけます。

「ブレンドレシピは、あきれるくらいあります(笑)。作ることが好きすぎて、ついつい増えてしまうんです」

使い込むほどに感じられる手仕事の旨み

「マシンはありますが、ほとんど使いません。初めから終わりまで、手作業で器を仕上げます。手仕事にこだわるのは、人の手の温かみがでるからです」

手仕事&一貫生産を守り続ける利左エ門窯。その道を極めた職人の手により生み出される食器は、使えば使うほど“旨み”が増していきます。

作業現場を特別にチラ見せ♪

上を見ても左右を見回しても、360度所狭しと器が並ぶ工房内。職人たちの作業台には、必ず“見本”が置かれています。自分の技量を過信することなく、モノ作り真摯に取り組む。そんな姿勢があるからこそ、味わい深い食器となるのでしょう。

「すべての食器を手間隙かけて仕上げています。それがウチの魅力です。丁寧に仕上げた食器だからこそ、お客さんに使ってもらうと嬉しい。“すごくよかったよ”って言葉をかけられると本当にやりがいを感じます」

兄弟喧嘩はしょっ中です(笑)

Begin’s Select①
南蛮幾何学紋 小鉢セット


南蛮焼締という技法で仕上げられた小鉢の3点セット。土本来の素材感を引き出すため、釉薬をあえて掛けず焼成。その特徴はザラリとした触感。滑りにくく手によく馴染みます。原土に含まれる鉄分の影響により現れる、表面の細かな黒斑もポイント。軽量で、スタッキングもOKです。

縁には金彩で華やかさUP

【選定理由】お酒が進むアジ料理を盛り付けたい!

長崎県はアジの漁獲量全国No.1ってことなので、南蛮漬けにしたアジと一緒に日本酒をクイッと飲み干したい。そんな素敵な晩酌を彩ってくれる粋な器を利左エ門窯で発見しました。この幾何学模様が施された独特の褐色に、一目見たときからホの字に。内側の粉引とのバランスも絶妙ですよね。料理を引き立たせてくれるに違いありません。食器同様、素材の味を活かして刺身っていう手もありですよね〜。いずれにせよ、お酒が進むこと間違いなし。(通常価格から21%OFF/税込5000円/ 径140×H55mm)

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Begin’s Select②
R・karakusa横手急須

李朝唐草を現代風にアレンジ

【選定理由】赤みがかった蓋にキュン♡

創業当初、茶器を中心に生産していたという利左エ門窯。ってことで我々は、そのルーツを感じられるであろう急須をお目当てにラインナップを物色。そこで出会ったのがコチラの逸品。どうです? お湯のまわりがよさそうな、ぽってり丸い形が可愛いでしょ♡  聞くところによるとこの美しいシルエット、およそ30年前から同窯元に存在している形なんだとか! 陶器なので保温性も高いし、窯変によって生まれた蓋の赤みも素晴らしい。全国茶品評会にて3年連続農林水産大臣賞を受賞した長崎県の特産「そのぎ茶」をこの急須で淹れて、のんびり年末を迎えるなんてどうでしょう♪ (税込5280円)

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編集後記


広い工房の中、ビギンセレクトの食器を選ぶべく、そのストックが置いてあるという2階へ。階段を上がろうと思ったら……何やら蚊帳のような網がその入り口に張られていました。「10月頃になるとコウモリが入ってくるんです。間違いなくウチを洞窟だと思っている。幸福を運んでくると伝えられてますけどね〜(苦笑)」

ちなみに……コウモリの中国名は「蝙蝠(biān fú)」。縁起がいい生き物としてコウモリが知られているのは、どうやらこの漢字と発音による影響らしいです。

コウモリは、戦後第一号のカステラを製造したことでも知られる、老舗カステラ店「福砂屋」のロゴマークにも起用されています。長崎空港でお土産にカステラを買って自宅に戻ってパクり。とっても楽しい取材だったなぁ〜なんて思いにひたりながら原稿作成に取り掛かるのでした。


写真/松山タカヨシ 文/妹尾龍都

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