特集・連載
CORONAデザイナーが考える究極の3シーズンアウター“日常に着るミリタリー”
秋冬春の3シーズン使えるアウター探しました 暖冬、冷夏、季節外れの台風と、異常気象が続く現代ニッポン。闇雲にハイスペックの高価なアウターを買ったものの、着たのは真冬の数週間のみ……なんて人も少なくないはず。今どきスマートな上着は秋、冬、春と長きにわたって活躍してくれる、いわば3シーズンアウターと呼ぶべきものです。長いシーズン着られれば、結果としてコストパフォーマンスだって◎! そう、それこそがビギン流のサスティナブルなんです。究極の3シーズンアウターを是非是非お楽しみください! この記事は特集・連載「秋冬春の3シーズン使えるアウター探しました」#09です。
“究極のスリーシーズンアウター”とは?この質問をCORONAのデザイナー西さんにぶつけてみたら、M-65ですねと即答。そのココロとは? 真意を聞いてみました!
コロナデザイナー
西 英昭さん
1963年熊本県生まれ。’92年NYにて大淵氏とともにPOST O’ALLSを設立。’01年帰国。’05年にCORONAを設立する。
原点こそ究極の完成形。だから毎日着たくなる
“究極の3シーズンアウター”。ウチのラインナップでいうとMー65でしょうね。理由は原点となった米軍のMー65が、究極のアウターだから。
戦場という極限のフィールドに特化すべく設計されているうえに、膨大な量を必要とした米軍ならではの事情もあり、無駄なことをしていない。完成されていて、何かを足す必要も引く必要もない。そう確信しています!
ウチのMー65も2006年の発売以来、20回を超えるアップデートを行っていますが、ディテールは米軍のそれに準拠、アレンジはしていません。シルエットにしても、日本人には大きすぎる肩幅を少し詰めた程度。ことカタチについては、5年前から変わっていないんです。
日本人向きにサイズを詰めた肩幅
その代わりウチらしさにこだわっているのが素材で、最新作では’40年代のUSミリタリージャケットに採用されていた高密度ギャバジンを再現。よりライトで品のいい生地を使うことにより、日常というフィールドでの“実用性”をアップデートさせています!
軽くて品のよい高密度ギャバジン
と、こんなふうに素材にはこだわりますが、他みたいにトレンドに乗ってカタチを無闇に変えるようなことはしたくない。今どきのトレンドといえば、ビッグシルエットですが、Mー65は最初からシルエット大きめ。
ベトナム戦争の印象から熱帯地向けと思われがちですが、じつは対ソ連も想定されていたため防寒用ライナーが取り付けられるように大きめに作られているからです。
当然、ウチのMー65も同じです。ライナーこそありませんが、袖にも身幅にも余裕があるから寒ければ中に着込めるし、暖かければ一枚で羽織れる。いわば、寒暖差の激しい日本の四季も苦にしないデイリーウェアなんです。毎日着られる、着たくなる、そんな服こそ究極の3シーズンアウターだと、僕は思いますね。
CORONA[コロナ]
M-65 フィールド ジャケット
2006年発表の定番中の定番アウター。フィールドジャケットの最高傑作と呼ばれる米軍のM-65を踏襲。ただし、デイリーウェアに相応しく、生地を薄手で高密度な綿ギャバジンに載せ替える工夫も。4万9800円。(莫)
毎シーズン即完売の名コラボ
POST O’ALLS×CORONA[ポストオーバーオールズ×コロナ]
エンジニア ジャケット
アウター名人の西さんだが、じつはかつて在籍した古巣と定期的にコラボを行っている。こちらは毎シーズン、独自に生地を製作している西さんが、オリジナルの生地“キャバリーツイル”を、POST O’ALLSの定番アウター「エンジニアジャケット」に提供してできた別注品。6万8000円。(莫)
※表示価格は税抜き
[ビギン2021年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。